メンタルヘルス不調による休職・労災認定の統計|最新データで見る職場の課題
精神障害による労災認定件数は令和6年度に1,055件と過去最多を記録。パワハラ224件、カスハラ108件が主要因。メンタルヘルス不調で休職者がいる事業所は10.2%。厚生労働省の最新統計から、業種別・年代別の傾向と対策を解説。

結論(2行で分かる) 精神障害による労災認定件数は令和6年度に1,055件と過去最多を記録。メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者がいる事業所は10.2%に達する。パワハラ・カスハラが主要因であり、ストレスチェック制度を活用した予防対策が急務。
この記事の対象読者
- 自社のメンタルヘルス対策の妥当性を統計データで確認したい人事・総務担当者
- 経営層への報告資料に労災認定・休職統計を活用したい方
- 業種別・年代別の傾向を把握して対策を検討したい担当者
ポイント(5つの統計)
- 精神障害の労災認定件数: 令和6年度1,055件(過去最多、6年連続増加)
- 労災認定の主要因: パワハラ224件、カスハラ108件(前年比倍増)
- 休職者がいる事業所: 10.2%(連続1か月以上休業)
- 強いストレスを感じる労働者: 68.3%(令和5年の82.7%から14.4pt低下)
- メンタルヘルス対策実施率: 50人以上事業所で94.3%
根拠: 厚生労働省「令和6年度 過労死等の労災補償状況」「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」
メンタルヘルスの最新統計はどうなっている?
| 指標 | 数値 | 前年比 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 精神障害の労災認定件数 | 1,055件 | +172件 | 令和6年度 過労死等労災補償状況 |
| 精神障害の労災請求件数 | 3,780件 | +205件 | 同上 |
| 自殺(未遂含む)認定 | 88件 | +9件 | 同上 |
| 休職者がいる事業所割合 | 10.2% | -0.2pt | 令和6年 労働安全衛生調査 |
| 退職者がいる事業所割合 | 6.2% | -0.2pt | 同上 |
| 強いストレスを感じる労働者 | 68.3% | -14.4pt | 令和6年 労働安全衛生調査 |
| メンタルヘルス対策実施率(50人以上) | 94.3% | +3.0pt | 令和6年 労働安全衛生調査 |
| ストレスチェック実施率(50人以上) | 89.8% | +0.2pt | 同上 |
精神障害の労災認定件数はどう推移している?
6年連続で過去最多を更新
厚生労働省「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災認定(支給決定)件数は増加を続けている。
| 年度 | 支給決定件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 608件 | +99件 |
| 令和3年度 | 629件 | +21件 |
| 令和4年度 | 710件 | +81件 |
| 令和5年度 | 883件 | +173件 |
| 令和6年度 | 1,055件 | +172件 |
令和6年度に初めて1,000件を超え、統計開始(1983年)以来の最多を記録。5年間で約1.7倍に増加しており、職場のメンタルヘルス問題が深刻化していることを示している。
請求件数も増加傾向
労災請求件数は令和6年度で3,780件(前年度比205件増)。請求件数の増加は、メンタルヘルス問題への認知向上と労災申請のハードル低下を反映している。
どの業種で労災認定が多い?
業種別の請求・認定件数(令和6年度)
| 業種 | 請求件数 | 支給決定件数 |
|---|---|---|
| 医療・福祉 | 983件 | 270件 |
| 製造業 | 583件 | 161件 |
| 卸売業・小売業 | 545件 | 120件 |
「医療・福祉」が請求・認定件数ともに最多。感情労働、人手不足、夜勤など複合的な要因がある。自社が該当業種の場合、業界平均以上のメンタルヘルス対策が必要。
職種別の傾向
| 職種 | 請求件数 | 支給決定件数 |
|---|---|---|
| 専門的・技術的職業従事者 | 1,030件 | 300件 |
| 事務従事者 | 796件 | 160件 |
| サービス職業従事者 | 556件 | 182件 |
専門的・技術的職業従事者(医療・IT・研究職など)が最多。高度な専門性を求められる職種ほど、業務上のストレスが精神障害につながりやすい傾向がある。
どの年代で労災認定が多い?
年代別の支給決定件数(令和6年度)
| 年代 | 支給決定件数 |
|---|---|
| 40〜49歳 | 283件 |
| 30〜39歳 | 245件 |
| 20〜29歳 | 243件 |
請求件数では40〜49歳が1,041件で最多、次いで30〜39歳889件、50〜59歳870件と続く。
40代が請求・認定ともに最多。管理職として部下を持つ立場になる年代であり、責任の増加やプレイングマネージャーとしての負担が背景にある。一方、20代の認定件数も243件と高く、若年層対策も重要。
労災認定の主な原因は何か?
出来事別の支給決定件数(令和6年度)
| 出来事 | 支給決定件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| パワーハラスメント | 224件 | +67件 |
| 仕事内容・仕事量の大きな変化 | 119件 | 大幅増 |
| 顧客等からの迷惑行為(カスハラ) | 108件 | +56件 |
| セクシュアルハラスメント | 105件 | +2件 |
パワハラが最多かつ前年比1.4倍に増加。カスハラは前年比約2倍に急増。2023年9月の労災認定基準改正でカスハラが認定項目に追加されたことも影響している。
ハラスメント対策の重要性
パワハラとカスハラで合計332件(全体の約31%)を占める。ハラスメント対策は労災予防の観点からも最優先課題といえる。
メンタルヘルス不調による休職者はどのくらい?
休職・退職者がいる事業所の割合
厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%。
| 項目 | 令和6年調査 | 令和5年調査 |
|---|---|---|
| 休業または退職者がいた事業所 | 12.8% | 13.5% |
| 連続1か月以上休業者がいた事業所 | 10.2% | 10.4% |
| 退職者がいた事業所 | 6.2% | 6.4% |
約8社に1社で、過去1年間にメンタルヘルス不調による長期休業者または退職者が発生している。自社でも発生する可能性を前提とした対策が必要。
業種別の休職・退職発生状況
| 業種 | 休業・退職者がいた事業所割合 |
|---|---|
| 情報通信業 | 39.2% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 32.7% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 3.4% |
情報通信業では約4割の事業所で発生。IT業界は長時間労働や納期プレッシャーが課題とされる。
労働者のストレス状況はどうなっている?
強いストレスを感じる労働者の割合
「令和6年 労働安全衛生調査(個人調査)」によると、現在の仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は68.3%(令和5年の82.7%から14.4ポイント低下)。
令和6年調査では設問形式が変更されている。「強い」の文言が回答選択肢にも明記され、太字下線で強調される形式に変更されたため、厚生労働省は「趣旨明確化の観点から設問形式を変更したため、数値の比較には留意が必要」としている。14.4ポイントの低下は調査方法の変更による影響が大きく、職場環境が急激に改善したとは言い切れない点に注意。
ストレスの原因(上位3つ)
| ストレスの内容 | 割合 |
|---|---|
| 仕事の量 | 43.2% |
| 仕事の失敗、責任の発生等 | 36.2% |
| 仕事の質 | 26.4% |
前年の82.7%から大幅に低下したものの、依然として約7割の労働者がストレスを感じている。ストレス原因では「仕事の量」が最多に浮上。労災認定に至る前段階の「予備軍」が多数存在しており、ストレスチェックによる早期発見と職場環境改善が引き続き重要。
メンタルヘルス対策の実施状況は?
事業所規模別のメンタルヘルス対策実施率
| 事業所規模 | メンタルヘルス対策実施率 |
|---|---|
| 50人以上 | 94.3% |
| 30〜49人 | 69.1% |
| 10〜29人 | 55.3% |
| 全体 | 63.2% |
メンタルヘルス対策の取組内容
メンタルヘルス対策に取り組む事業所の具体的な取組内容(複数回答):
| 取組内容 | 実施率 |
|---|---|
| ストレスチェックの実施 | 65.3% |
| 職場環境等の評価及び改善 | 54.7% |
| 不調者への必要な配慮の実施 | 47.9% |
| 相談体制の整備 | 46.1% |
| 教育研修・情報提供 | 36.8% |
ストレスチェック制度にはどのような効果がある?
事業所規模別のストレスチェック実施率
| 事業所規模 | 実施率 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 100% |
| 50人以上 | 89.8% |
| 30〜49人 | 57.8% |
| 10〜29人 | 58.1% |
集団分析の活用状況
ストレスチェック実施事業所のうち、集団分析を実施した事業所は75.4%(前年69.2%)。そのうち76.8%が分析結果を活用している。
具体的な活用内容:
| 活用内容 | 割合 |
|---|---|
| 残業時間削減、休暇取得に向けた取組 | 48.5% |
| 相談窓口の設置 | 41.2% |
| 上司・同僚に支援を求めやすい環境の整備 | 36.7% |
| 業務配分の見直し | 34.8% |
集団分析の実施率は上昇傾向にあり、単なる「実施して終わり」から「結果を活用した職場改善」へとシフトしつつある。ただし、高ストレス者のうち医師面接を受けた割合は1割未満という課題も残る。
2028年のストレスチェック全事業場義務化に向けて何をすべき?
法改正の概要
2025年5月14日に改正労働安全衛生法が公布され、50人未満の事業場を含む全ての事業場にストレスチェック実施が義務化される(公布から3年以内に施行、2028年頃)。
国の目標(第14次労働災害防止計画)
| 目標項目 | 数値目標 | 期限 |
|---|---|---|
| メンタルヘルス対策実施事業場 | 80%以上 | 2027年 |
| 50人未満事業場のストレスチェック実施率 | 50%以上 | 2027年 |
| 強いストレスを感じる労働者の割合 | 50%未満 | 2027年 |
現状とのギャップ
| 項目 | 現状 | 目標 | ギャップ |
|---|---|---|---|
| ストレスチェック実施率(50人未満) | 約32% | 50% | 約18pt |
| 強いストレスを感じる労働者 | 68.3%※ | 50%未満 | 約18pt |
※令和6年調査は設問形式変更のため前年と単純比較不可。
現状と目標にはギャップがあり、義務化を待たずに対策を進めることが重要。
統計データをどう活用すべき?
経営層への報告に使う
自社の結果を全国平均と比較することで、客観的な立ち位置を説明できる。
報告例:
- 「全国では10.2%の事業所でメンタルヘルス不調による休職者が発生。当社の予防対策が重要」
- 「労災認定の31%がハラスメント起因。ハラスメント対策は労務リスク低減に直結」
- 「40代の認定件数が最多。中間管理職のケアを強化すべき」
対策の優先順位付けに使う
統計データから導かれる対策の優先順位:
- ハラスメント対策の強化(パワハラ・カスハラで認定の3割)
- 業務量・業務配分の適正化(ストレス原因の上位)
- 管理職のケアと研修(40代の認定が最多)
- 若年層への早期対応(20代の認定も高水準)
- 集団分析の活用(実施するだけでなく改善につなげる)
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ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 労災認定(支給決定) | 労働災害として認定され、労災保険給付が決定されること |
| 精神障害の労災認定基準 | 業務による心理的負荷が精神障害の発病に寄与したかを判断する基準 |
| パワーハラスメント | 職場での優越的な関係を背景とした言動により、就業環境を害すること |
| カスタマーハラスメント | 顧客等からの著しい迷惑行為 |
| ストレスチェック制度 | 労働者のストレス状況を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防止する制度 |
| 集団分析 | ストレスチェック結果を部署等の単位で集計・分析し、職場環境改善に活用すること |
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参考文献・出典
よくある質問
A. はい、増加を続けています。令和6年度の精神障害による労災認定(支給決定)件数は1,055件で、統計開始(1983年)以来初めて1,000件を超え、過去最多を記録しました。6年連続で増加しており、5年前(令和2年度:608件)と比較すると約1.7倍に増加しています。
A. 令和6年度の統計では、「パワーハラスメント」が224件で最多です。次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化」が119件、「顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)」が108件と続きます。パワハラとカスハラで合計332件(全体の約31%)を占めており、ハラスメント対策が労災予防の観点からも最優先課題といえます。
A. 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.2%です。退職した労働者がいた事業所は6.2%で、両方を合わせると12.8%の事業所で休業または退職者が発生しています。約8社に1社で発生している計算です。
A. 精神障害の労災認定件数では「医療・福祉」が270件で最多、次いで「製造業」161件、「卸売業・小売業」120件です。休職・退職者の発生率では「情報通信業」が39.2%と最も高く、「電気・ガス・熱供給・水道業」が32.7%と続きます。業種によって傾向が異なるため、業界特有のリスク要因を踏まえた対策が必要です。
A. ストレスチェック制度は単独での効果測定が難しいものの、集団分析を活用した職場環境改善と組み合わせることで効果が期待できます。令和6年調査では、ストレスチェック実施事業所の75.4%が集団分析を実施し、そのうち76.8%が結果を活用しています。具体的な活用内容として「残業時間削減」48.5%、「相談窓口の設置」41.2%などが挙げられています。