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改正・最新動向|

労働基準法改正の最新動向(2025-2026年)企業が知るべき5つのポイント

2025年1月、厚生労働省「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表。2026年通常国会への法案提出は見送りとなりましたが、連続勤務規制、勤務間インターバル義務化、つながらない権利など、企業が知るべき5つの改正ポイントと今後の見通しを解説します。

労働基準法改正の最新動向(2025-2026年)企業が知るべき5つのポイント

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ 2025年1月、厚生労働省「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表し、労働基準法の抜本的な見直しを提言しました。2026年通常国会への法案提出は見送りとなりましたが、連続勤務規制、勤務間インターバル制度の義務化、つながらない権利のガイドライン策定など、今後も議論は継続される見込みです。

この記事の対象読者

  • 人事・労務担当者
  • 経営者・管理職
  • 労働法改正の動向を把握したい方

ポイント(5ステップ)​

  1. 13日を超える連続勤務の禁止規定を新設
  2. 勤務間インターバル制度を義務化へ
  3. 「つながらない権利」のガイドライン策定
  4. 法定休日の特定を義務化
  5. 週44時間特例の廃止を検討

よくある誤解3つ

  • 誤解1: すでに法改正が決定した → 実際は2026年通常国会への提出は見送り、引き続き検討中
  • 誤解2: 2026年中に施行される → 実際は法案提出見送りにより施行時期は未定
  • 誤解3: すべての企業に即座に適用 → 実際は経過措置や段階的適用の可能性あり

根拠: 厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」(2025年1月8日公表)

数字・期限 早見表

項目内容
報告書公表日2025年1月8日
研究会開催回数全16回(2024年1月〜)
2026年通常国会法案提出見送り(2025年12月発表)
連続勤務上限(提言)13日(14日以上の連続勤務禁止)
勤務間インターバル(提言)11時間の確保を義務化検討
週44時間特例廃止を検討

【最新情報】2026年通常国会への法案提出は見送り

2025年12月、厚生労働省は2026年通常国会への労働基準法改正案の提出を見送る方針を固めました。

見送りの背景

  • 労働時間規制の緩和検討の指示
  • 労働者側からの反対意見
  • 現状ではとりまとめが困難と判断

ただし、これは議論の終了を意味するものではありません。研究会報告書で提言された内容は引き続き検討され、今後の労働政策審議会での議論を経て、改めて法案化が検討される見込みです。

企業としては、法改正の動向を注視しつつ、報告書で提言された内容を先取りして対策を進めることが重要です。

労働基準関係法制研究会とは何か?

労働基準関係法制研究会は、厚生労働省に設置された有識者会議です。座長は荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授が務め、労働法などを専門とする学識者が参加しています。

2024年1月から全16回にわたり、以下のテーマについて議論が行われました。

  • 労働基準関係法制の将来像
  • 働き方改革関連法の施行状況の検証
  • コロナ禍以降の働き方の多様化への対応
  • 労働者を「守る」視点と「支える」視点の両立

報告書では、「社会・経済の構造変化をふまえ、労働基準関係法制が果たすべき役割を再検討し、将来像について抜本的な検討を行う時期に来ている」と提言されています。約40年ぶりの労働基準法大改正に向けた重要な報告書です。

主な改正ポイント1: 連続勤務規制はどう変わる?

現行制度の課題

現行の労働基準法では、「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定されています(第35条)。しかし、4週4休の変形休日制を採用すると、最大で24日間の連続勤務が法律上可能となります。極端な例では、8週間で見た場合、連続48日勤務も可能になってしまいます。

報告書の提言内容

研究会報告書では、以下の規定を新設すべきと提言しています。

「13日を超える連続勤務をさせてはならない」

この背景には、精神障害の労災認定基準において「2週間以上の連続勤務」が心理的負荷の評価対象となっている点があります。長時間の連続勤務は、睡眠不足や疲労蓄積を招き、メンタルヘルス不調のリスクを高めます。

また、変形休日制の特例についても2週2日に見直すことが検討されています。

企業への影響

  • シフト制勤務の見直しが必要になる可能性
  • 人員配置計画の再検討
  • 勤怠管理システムの連続勤務チェック機能の活用

主な改正ポイント2: 勤務間インターバル制度とは?

制度の概要

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後から次の勤務開始までに一定時間以上の休息時間を確保する制度です。EU加盟国では「11時間以上」のインターバルが義務化されています。

現行制度と今後の方向性

項目現行報告書の提言
法的位置づけ努力義務義務化を視野に検討
インターバル時間規定なし11時間を原則、9時間を最低ライン
対象全事業場全事業場(例外規定あり)

報告書では、「勤務間インターバル制度の導入を促進し、将来的には義務化も視野に入れた検討を行うべき」と提言されています。EU基準に近い11時間の確保を原則としつつ、業種や業務の特性に応じて9時間を最低ラインとする案が有力視されています。

期待される効果

  • 十分な睡眠時間の確保による疲労回復
  • 長時間労働の抑制
  • ワーク・ライフ・バランスの改善
  • メンタルヘルス不調の予防

主な改正ポイント3: 「つながらない権利」とは何か?

概念の説明

「つながらない権利」(Right to Disconnect)とは、勤務時間外に業務上のメールや電話への対応を拒否できる権利です。テレワークの普及により、勤務時間と私生活の境界が曖昧になる中で注目されています。

報告書の提言

研究会報告書では、法律による直接規制ではなく、「ガイドライン」の策定を検討すべきとしています。

具体的には以下の点が議論されています。

  • 勤務時間外の連絡に関する社内ルールの策定推奨
  • 「つながらない権利」の周知啓発
  • 労使協議による運用ルールの整備

企業が検討すべきこと

  • 勤務時間外のメール送信ルールの策定(送信予約機能の活用等)
  • 緊急連絡の基準の明確化
  • 休日・深夜の連絡に対する返信義務の免除
  • 管理職への意識啓発

主な改正ポイント4: 法定休日の特定はなぜ必要か?

現行制度の問題点

現行法では、法定休日を「特定の曜日」として定める義務はありません。そのため、どの休日が「法定休日」でどの休日が「所定休日」なのかが不明確なケースがあります。

報告書の提言

報告書では、法定休日を特定して労働者に周知することを義務化すべきと提言しています。

期待される効果

  • 休日労働の割増賃金計算の明確化
  • 労働者の予見可能性の向上
  • 労務管理の適正化

主な改正ポイント5: 週44時間特例の廃止とは?

現行の特例措置

労働基準法では、一部の業種(商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業で常時10人未満の労働者を使用する事業場)について、週40時間ではなく週44時間を法定労働時間とする特例が設けられています。

報告書の提言

報告書では、この特例措置について「廃止を含め検討すべき」と提言されています。

背景

  • 制度創設から長期間が経過し、社会情勢が変化
  • 働き方改革の趣旨との整合性
  • 同一労働同一賃金の観点からの見直し

例外・特殊ケースの対応

中小企業への配慮

報告書では、中小企業への影響を考慮し、経過措置や段階的適用の検討が必要としています。特に人員確保が困難な業種については、現実的な対応策の検討が求められます。

特定業種への対応

医療・介護、運輸、建設など、24時間対応や長時間労働が常態化しやすい業種については、業種特性を踏まえた検討が必要とされています。

今後のスケジュールはどうなる?

審議の流れ

時期内容
2025年1月研究会報告書公表
2025年12月2026年通常国会への法案提出見送りを発表
2026年〜労働政策審議会で引き続き審議
未定法案作成・国会提出
未定施行時期

企業が今から準備すべきこと

法改正の施行時期は未定ですが、報告書の提言内容は従業員の健康保護の観点から合理的なものです。法改正を待たず、以下の準備を進めておくことを推奨します。

  1. 現状の把握: 連続勤務日数、勤務間インターバルの実態調査
  2. 勤怠管理の見直し: 連続勤務・インターバルを可視化できるシステムの導入
  3. 就業規則の点検: 法定休日の特定状況、勤務間インターバルの規定確認
  4. 労使協議: 勤務時間外の連絡ルール等の検討
  5. ストレスチェックの活用: 集団分析で長時間労働部署のストレス傾向を把握

注意: 本記事の内容は2026年1月時点の情報に基づいています。2026年通常国会への法案提出は見送りとなりましたが、今後の労働政策審議会での議論により、内容が変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。

ミニ用語集

用語意味
労働基準関係法制研究会労働基準法等の見直しを検討する厚生労働省の有識者会議
勤務間インターバル勤務終了から次の勤務開始までの休息時間
つながらない権利勤務時間外に業務連絡への対応を拒否できる権利
法定休日労働基準法で定められた最低限の休日(週1日または4週4日)
週44時間特例特定業種・規模の事業場に認められた法定労働時間の特例
労働政策審議会労働政策に関する重要事項を審議する厚生労働省の審議会

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よくある質問

A. 2025年12月、厚生労働省は2026年通常国会への法案提出を見送る方針を固めました。労働時間規制の緩和検討の指示や労働者側からの反対意見があり、現状ではとりまとめが困難と判断されたためです。施行時期は未定ですが、議論は継続される見込みです。

A. 現在は努力義務です。研究会報告書では将来的な義務化を視野に入れた検討を提言しており、11時間を原則、9時間を最低ラインとする案が検討されています。現時点では法的義務ではありませんが、導入企業には助成金制度があります。

A. 報告書の提言段階であり、具体的な適用範囲は今後の審議で決定されます。業種特性や中小企業への配慮として、経過措置や例外規定が設けられる可能性があります。

A. 研究会報告書では、法律による直接規制ではなく、ガイドラインの策定を検討すべきとしています。各企業が労使協議により運用ルールを整備することが推奨されています。

A. 報告書では「廃止を含め検討すべき」と提言されていますが、法案提出が見送られたため、具体的な廃止時期は決まっていません。対象となる事業場は今後の動向に注意が必要です。

A. 労働時間規制の緩和検討の指示や労働者側からの反対意見があり、現状ではとりまとめが困難と判断されたためです。ただし、議論が終了したわけではなく、今後も労働政策審議会での検討は継続される見込みです。

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