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ストレスチェックの継続的実施|2年目以降のPDCAサイクルと経年比較の活用法

ストレスチェックの継続的実施とPDCAサイクルの回し方を解説。2年目以降のチェックポイント、経年比較の活用方法、改善効果の測定まで。衛生委員会での振り返りから職場環境改善の効果検証まで網羅。

ストレスチェックの継続的実施|2年目以降のPDCAサイクルと経年比較の活用法

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ ストレスチェックは「年1回実施して終わり」ではなく、​PDCAサイクルを回して継続的に改善することで効果を最大化できる。2年目以降は経年比較を活用し、職場環境改善の効果を測定・検証することが重要。

この記事の対象読者

  • ストレスチェックを2年目以降も継続実施する人事・総務担当者
  • 集団分析結果の経年比較を活用したい衛生管理者
  • 職場環境改善の効果を測定したい産業保健スタッフ

ポイント(5つの要点)​

  1. 年1回実施の意義:セルフケアの気づきと職場環境改善の両輪
  2. 2年目以降のチェックポイント:実施規程、体制、周知方法の見直し
  3. PDCAサイクル:計画→実施→評価→改善を毎年回す
  4. 経年比較の活用:前年との比較で改善効果を可視化
  5. 改善効果の測定:健康リスク、高ストレス者率、関連指標の推移を確認

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 毎年同じように実施すればよい → 実際は衛生委員会で前年の振り返りと改善が必要
  • 誤解2: 結果が変わらなければ効果がない → 実際は維持も効果、悪化防止の観点が重要
  • 誤解3: 経年比較は専門知識がないとできない → 実際はMentalMapなら自動でレポート生成

根拠: 厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」、「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」、こころの耳


継続実施の効果 数字早見表

項目数値・内容
法定実施頻度年1回以上
結果保存期間5年間
労基署報告1年以内ごとに1回
職場環境改善実施率(1年目)37%(厚労省調査)
職場環境改善実施率(2年目)44%​​(1年目より増加)
改善効果「有用だった」回答率60%​の労働者
費用便益効果投資7,660円/人 → 効果15,200円/人​(約2倍)

年1回実施の意義とは?

法的根拠

労働安全衛生法第66条の10により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、​年1回以上のストレスチェック実施が義務付けられています。

項目内容
根拠法令労働安全衛生法第66条の10
対象常時50人以上の事業場
頻度1年以内ごとに1回、定期に実施
50人未満努力義務(2028年頃に義務化予定)

年1回実施する2つの目的

ストレスチェック制度には、2つの主要な目的があります。

目的内容対象
セルフケア促進労働者自身がストレスの状況に気づき、対処するきっかけにする個人
職場環境改善集団分析結果を活用し、職場のストレス要因を改善する組織

​「年1回」の意味

年1回の実施は最低限の頻度です。労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)​が制度の主目的であり、定期的に状況を把握することで、問題の早期発見・早期対応が可能になります。

なぜ「継続」が重要なのか?

1回だけの実施では、その時点のスナップショットしか得られません。継続実施することで、以下のメリットがあります。

メリット内容
傾向の把握改善傾向か悪化傾向かを判断できる
効果測定職場環境改善施策の効果を検証できる
早期発見新たな課題の発生を早期に発見できる
継続的改善PDCAサイクルで段階的に職場を改善できる

2年目以降は何を確認すべき?

衛生委員会での振り返り

2年目以降のストレスチェック実施にあたり、衛生委員会で前年度の振り返りを行うことが重要です。

確認すべき項目:

項目確認内容
受検率目標を達成したか、低い部署はどこか
高ストレス者率前年と比較して増減があったか
面接指導実施率高ストレス者のうち何%が面接を受けたか
集団分析結果健康リスクの高い部署はどこか
職場環境改善前年度の改善施策は実施されたか

実施規程の見直し

2年目以降は、前年度の経験を踏まえて実施規程を見直します。

見直し項目検討ポイント
実施時期健康診断と同時期が効率的か、繁忙期を避けられているか
調査票57問版で十分か、80問版以上に変更するか
高ストレス者基準基準の妥当性、面接指導の実施状況
周知方法受検率向上のための工夫、リマインド頻度
集団分析の単位部署統合の方法、10人未満の対応

実施体制の確認

役割確認事項
実施者医師・保健師等の確保、外部委託の場合は契約更新
実施事務従事者人事権を持たない者か、守秘義務の再確認
産業医面接指導の体制、意見書作成の対応力
衛生管理者集団分析結果の活用、職場環境改善の推進

人事異動に注意

人事異動により、実施事務従事者が人事権を持つ立場に変わっていないか確認してください。人事権を持つ者(人事課長、部門長など)は実施事務従事者になれません。


PDCAサイクルはどう回す?

ストレスチェック制度におけるPDCA

厚生労働省は、ストレスチェック制度をPDCAサイクルに沿って組織的に取り組むことを推奨しています。

フェーズ内容主な活動
Plan(計画)​実施計画の策定衛生委員会での審議、実施規程の策定、目標設定
Do(実施)​ストレスチェックの実施受検案内、調査実施、結果通知、面接指導、集団分析
Check(評価)​結果の評価受検率、高ストレス者率、健康リスクの確認
Act(改善)​改善策の実施職場環境改善、次年度への反映

Plan(計画)フェーズ

実施計画の策定

  1. 前年度の振り返り:受検率、高ストレス者率、改善効果の確認
  2. 今年度の目標設定:受検率○○%以上、健康リスク○○以下など
  3. 実施スケジュールの決定:繁忙期を避け、健康診断と連動
  4. 体制の確認:実施者、実施事務従事者、予算の確保
  5. 衛生委員会での審議:労使で合意形成

成果物: 実施計画書、年間スケジュール、衛生委員会議事録

Do(実施)フェーズ

6つの実施ステップ

ステップ内容ポイント
1. ストレスチェック実施調査票による検査受検率向上の工夫(リマインド等)
2. 結果通知本人への直接通知事業者への通知は本人同意が必要
3. 高ストレス者への対応面接指導の勧奨申出しやすい環境づくり
4. 医師による面接指導高ストレス者への面談就業上の措置につなげる
5. 集団分析部署別の結果集計10人以上の単位で実施
6. 職場環境改善改善施策の実施参加型で進める

小さなPDCAを回す

実行フェーズの各段階で随時振り返りを行い、必要に応じて改善をする等、​小さなPDCAサイクルを回していくことが推奨されています。例えば、受検率が低い場合は途中でリマインド方法を変更するなど、柔軟に対応します。

Check(評価)フェーズ

評価すべき指標

指標確認内容目標例
受検率全対象者のうち何%が受検したか80%以上
高ストレス者率受検者のうち何%が高ストレス判定か全国平均以下
面接指導実施率高ストレス者のうち何%が面接を受けたか前年より向上
健康リスク集団分析の総合健康リスク120未満
経年変化前年度との比較で改善しているか改善傾向

Act(改善)フェーズ

改善策の検討と実施

  1. 課題の特定:評価結果から優先度の高い課題を抽出
  2. 改善策の立案:職場環境改善、研修実施、制度見直し等
  3. 実施計画への反映:次年度の計画に改善策を織り込む
  4. 衛生委員会での報告:改善状況を定期的に共有

経年比較はどう活用する?

経年比較とは?

経年比較とは、毎年のストレスチェック結果を比較・分析し、​改善傾向か悪化傾向かを把握する手法です。

比較項目活用方法
高ストレス者率の推移全社・部署別の傾向を把握
健康リスクの推移改善施策の効果を測定
受検率の推移制度の浸透度を確認
面接指導実施率の推移申出しやすい環境の評価

経年比較で見るべきポイント

1. 全社レベルの推移

年度受検率高ストレス者率総合健康リスク
2024年75%12.5%118
2025年82%11.8%112
2026年85%10.2%105

上記のように、年々改善していれば施策が効果を上げていると判断できます。

2. 部署別の推移

部署ごとに経年比較を行い、特に以下のパターンに注目します。

パターン状況対応
継続的に改善施策が効果を発揮成功事例として横展開
継続的に悪化構造的な問題がある優先的に原因分析・対策
急激に悪化組織変更等の影響背景要因の確認
横ばい現状維持新たな施策の検討

​「維持」も効果の一つ

健康リスクが横ばいの場合、「改善していない」とネガティブに捉えがちですが、​悪化を防いでいるという観点では効果があると言えます。特に、組織変更や業務負荷増加があった場合は、維持できていること自体が成果です。

経年比較の注意点

注意点内容
調査票の変更57問版から80問版への変更など、比較の前提が変わる場合がある
組織変更の影響部署統合・分割があると単純比較が難しい
回答者の変動入退社により母集団が変わる
季節要因実施時期により結果が変動する可能性がある

改善効果はどう測定する?

測定すべき指標

職場環境改善の効果を測定するため、以下の指標を継続的にモニタリングします。

主要指標(ストレスチェック関連)​

指標測定方法改善の判断基準
高ストレス者率高ストレス者数 ÷ 受検者数前年より低下
総合健康リスク量-コントロール × サポート ÷ 100120未満、前年より低下
仕事のストレス要因各尺度の平均点全国平均より良好
心身のストレス反応各尺度の平均点前年より改善

関連指標(組織全体)​

指標測定方法期待される変化
欠勤率欠勤日数 ÷ 勤務予定日数低下
離職率退職者数 ÷ 在籍者数低下
休職者数メンタルヘルス不調による休職者減少
残業時間平均残業時間適正化

効果検証の実証データ

厚生労働省の調査によると、ストレスチェックと職場環境改善を経験した労働者は、​約60%が「自分たちのストレスを減らすのに有用だった」​と回答しています。

調査項目結果
職場環境改善実施率(1年目)37%
職場環境改善実施率(2年目)44%(増加傾向)
「有用だった」回答率約60%
心理的ストレス反応改善(非実施事業場と比較)

費用対効果(ROI)

職場環境改善の費用便益に関する研究では、以下の結果が報告されています。

項目金額(1人あたり)
職場環境改善の実施費用7,660円
生産性向上による利益15,200円
投資対効果(ROI)​約2倍

経営層への説明材料

費用便益効果約2倍という数値は、経営層にストレスチェック制度への投資を説明する際の有力な根拠になります。集団分析と職場環境改善は「コスト」ではなく「投資」として位置づけることが重要です。


継続実施を成功させるには?

ポイント1: 衛生委員会を活用する

衛生委員会は、ストレスチェック制度のPDCAを回すための中核的な場です。

時期衛生委員会での議題
実施前実施計画の審議、前年度の振り返り
実施中進捗状況の確認、受検率向上策の検討
実施後結果報告、集団分析の共有、改善策の審議
通年職場環境改善の進捗確認

ポイント2: 結果を経営層・管理職と共有する

集団分析結果を経営層・管理職と共有することで、組織的な改善につなげます。

報告先報告内容ポイント
経営層全社サマリー、経年比較、投資対効果意思決定の材料として
管理職担当部署の結果、改善の方向性具体的な改善行動につなげる
従業員全社傾向、改善施策の説明参加意識の向上

ポイント3: 小さな改善から始める

大規模な組織変更より、すぐに実行できる身近な改善から着手します。

改善規模メリット
会議時間の短縮、朝礼の見直しすぐに効果が見える
1on1ミーティング導入、業務分担の見直し中期的に効果が出る
組織再編、人員増強抜本的な改善が期待できる

ポイント4: 参加型で進める

厚生労働省が最も効果的としている「参加型職場環境改善」を取り入れます。

参加型のメリット:

  • 現場の実態に即した改善策が出る
  • 従業員の当事者意識が高まる
  • 改善策の実行率が上がる

ポイント5: 継続を前提とした体制を構築する

単年度で終わらせず、継続的に取り組む体制を構築します。

要素具体策
担当者の育成複数名で対応、ノウハウの文書化
外部委託の活用継続的なパートナーシップ構築
予算の確保年間計画に組み込む
システム活用経年比較が容易なツールを選定

ミニ用語集

用語意味
PDCAサイクルPlan(計画)→ Do(実施)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返し、継続的に改善する手法
経年比較毎年のストレスチェック結果を比較し、改善傾向か悪化傾向かを把握する分析手法
一次予防メンタルヘルス不調の未然防止。ストレスチェック制度の主目的
衛生委員会労使が参加し、労働者の健康・安全について調査審議する場。50人以上の事業場で設置義務
総合健康リスク集団分析で算出される指標。全国平均100を基準とし、120以上は要注意
参加型職場環境改善従業員が改善策の検討・実施に参加する手法。最も効果的とされる

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  • 部署別経年分析:部署ごとの改善傾向・悪化傾向を一目で把握

傾向分析機能

  • 属性別分析:年齢層、勤続年数、役職別の傾向を把握
  • 改善効果の可視化:施策実施前後の変化を数値で確認
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継続運用サポート

  • 5年間のデータ保存:法定保存期間に対応
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多言語対応

  • 日本語+12カ国語対応(計13言語、追加料金なし)
  • 外国人従業員も母国語で回答可能

よくある質問

A. 経年比較を正確に行うためには、同じ調査票・同じ基準で継続実施することが望ましいです。ただし、前年度の振り返りを踏まえて、受検率向上のための周知方法改善など、運用面の見直しは積極的に行いましょう。

A. 主な指標は、高ストレス者率、総合健康リスク(仕事のストレス判定図による)、受検率、面接指導実施率です。これに加えて、欠勤率・離職率・休職者数などの関連指標も併せて確認すると、より総合的な評価ができます。

A. まず「悪化していないこと」自体が効果である可能性を考慮してください。その上で、改善施策が計画通り実施されたか確認し、新たな課題が発生していないか検討します。構造的な問題がある場合は、中長期的な視点での対策が必要です。

A. 一般的に1〜2年の継続的な取り組みが必要です。厚労省調査によると、職場環境改善を経験した労働者の約60%が「有用だった」と回答しており、費用対効果は約2倍(投資7,660円/人に対し効果15,200円/人)とされています。

A. 実施前は計画の審議と前年度の振り返り、実施中は進捗確認、実施後は結果報告と改善策の審議を行います。通年では職場環境改善の進捗を確認し、PDCAサイクルの中核的な場として活用します。

A. 部署再編があった場合は新組織での比較を基本とします。旧組織との完全な連続比較は難しいですが、全社レベルの傾向や、再編の影響を受けていない部署との比較は可能です。

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