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導入事例|

建設業界のストレスチェック活用事例|現場作業員への実施と安全管理との連携

建設業界のストレスチェック活用事例を解説。現場分散、重層下請構造、外国人労働者の増加など建設業特有の課題に対応した実施方法と、集団分析結果を安全管理と連携させた職場環境改善の事例を紹介。スマホ対応・12カ国語対応で全員参加を実現。

建設業界のストレスチェック活用事例|現場作業員への実施と安全管理との連携

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ 建設業は死亡災害の3割以上が墜落・転落によるもので、その背景にストレスや集中力低下がある。ストレスチェックの集団分析と安全管理の連携が、労働災害の未然防止に効果を発揮する。

この記事の対象読者

  • 建設業の安全衛生担当者・総務担当者
  • 重層下請構造の中でストレスチェックを検討している元請企業の担当者
  • 外国人技能実習生・特定技能労働者を雇用する建設会社の管理者

ポイント(5つのステップ)​

  1. Step1: 建設業特有のストレス要因を理解する
  2. Step2: 現場分散・重層下請構造に対応した実施体制を整える
  3. Step3: 多言語対応で外国人労働者を含めた全員参加を実現する
  4. Step4: 集団分析結果を安全管理と連携させる
  5. Step5: 職場環境改善を通じて労働災害の未然防止につなげる

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 現場が分散しているからストレスチェックは難しい → スマホ対応で場所を選ばず実施可能
  • 誤解2: 外国人労働者には日本語の調査票しかない → 12カ国語対応のサービスがある
  • 誤解3: ストレスチェックは安全管理とは関係ない → 集団分析結果は職場環境改善を通じて災害防止に活用できる

根拠: 厚生労働省「令和6年労働災害発生状況」、こころの耳「職場のメンタルヘルス対策の取組事例」

数字・期限 早見表

項目内容
建設業の死亡者数(令和6年)232人(前年比9人増、4.0%増)
墜落・転落による死亡者数77人(建設業死亡災害の約33%)
外国人労働者数(建設業)約17.8万人(前年比22.7%増)
うち技能実習生約10.7万人(全体の約6割)
ストレスチェック実施義務対象常時50人以上の労働者を使用する事業場
実施頻度年1回以上

建設業界が抱えるメンタルヘルスの課題とは?

建設業界は他の業種と比較して、メンタルヘルスに関する特有の課題を抱えています。その背景には、業界固有の就労環境があります。

建設業特有のストレス要因

建設業界では、以下のような要因が従業員のストレスを増大させる傾向にあります。

1. 現場の分散と移動

建設現場は工事ごとに異なる場所に設置されます。作業員は日々異なる現場へ移動する必要があり、通勤時間の長さや不規則な勤務パターンがストレス要因となります。また、現場ごとに環境が変わるため、常に新しい状況への適応が求められます。

2. 重層下請構造

建設業界は重層下請構造が特徴的です。元請、一次下請、二次下請と多層的な請負関係の中で、指揮命令系統が複雑になりがちです。コミュニケーション不全や責任の所在が曖昧になることで、精神的な負担が増加することがあります。

3. 危険作業への従事

高所作業、重機の操作、騒音や粉塵の中での作業など、建設現場には危険が伴います。厚生労働省の統計によると、令和6年の労働災害による死亡者数は業種別で建設業が232人と最多でした。事故の型別では建設業における「墜落・転落」による死亡が77人(約33%)と最も多く、常に危険と隣り合わせの環境が精神的な緊張を生み出しています。

4. 季節変動と工期のプレッシャー​

天候に左右される屋外作業、工期厳守のプレッシャー、繁忙期と閑散期の波など、建設業特有の不安定さがあります。特に工期末には残業や休日出勤が増加し、心身の負担が高まります。

5. 外国人労働者の増加と言語の壁

建設業で働く外国人労働者は約17.8万人に達し、前年比22.7%増と急速に増加しています。そのうち約6割を技能実習生が占めています。言語や文化の違いによるコミュニケーション不全は、本人のストレスだけでなく、現場全体の安全管理にも影響を与えます。

建設業では、ストレスによる集中力低下が労働災害につながるリスクがあります。メンタルヘルス対策は安全管理の一環として位置づけることが重要です。

ストレスチェックと安全管理の関係とは?

建設業においてストレスチェックを実施することの意義は、単なる法令遵守にとどまりません。ストレスチェックの結果を安全管理と連携させることで、労働災害の未然防止につなげることができます。

ストレスと労働災害の関連性

厚生労働省の資料によると、建設業における労働災害の背景には、以下のような人的要因が含まれています。

  • 注意力・集中力の低下
  • 疲労による判断ミス
  • コミュニケーション不足による連携ミス
  • 焦りや過信による不安全行動

これらの要因の多くは、ストレスや心身の不調と関連しています。ストレスチェックを通じて従業員のメンタルヘルス状態を把握し、早期に対処することで、労働災害のリスクを低減できる可能性があります。

集団分析を安全管理に活かす

ストレスチェックの集団分析結果は、職場環境改善のための重要なデータとなります。建設業界では、この集団分析結果を安全管理と連携させる取り組みが広がっています。

集団分析で把握できる指標の例

指標安全管理との関連
仕事の量的負担過重労働による疲労・判断ミスのリスク
仕事のコントロール度自己裁量の低さによる焦りやミスのリスク
上司からのサポートコミュニケーション不全による連携ミスのリスク
同僚からのサポートチームワーク低下による安全確認不足のリスク
職場環境によるストレス物理的な環境改善の必要性

集団分析結果は10人未満の集団では個人が特定されるおそれがあるため、複数の部署や現場を合わせて分析するなどの配慮が必要です。

建設業でのストレスチェック実施の課題とは?

建設業界でストレスチェックを実施する際には、他の業種とは異なる課題があります。これらの課題を理解し、適切に対応することが成功の鍵となります。

1. 現場分散への対応

建設現場は全国各地に点在しており、作業員は日々異なる現場で働いています。一箇所に集まって紙のアンケートに回答することが難しいため、スマートフォンやタブレットを活用したオンライン実施が有効です。

2. 重層下請構造への対応

ストレスチェックの実施義務は、それぞれの事業者(雇用主)にあります。下請企業の労働者であっても、ストレスチェックの実施責任は各下請企業にあります。ただし、集団分析を効果的に行うためには、同じ現場で働く労働者全体を対象とした分析が望ましい場合もあります。

厚生労働省のQ&Aによると、建設現場など関係請負人の労働者が同じ場所で働いている場合でも、ストレスチェックの実施義務はそれぞれの事業者に適用されます。ただし、元請事業者が統括管理の一環として、下請事業者の労働者を含めた集団分析を行うことは可能です。

3. 外国人労働者への対応

建設業では外国人労働者の割合が高く、日本語を母語としない労働者への対応が必要です。ストレスチェックの調査票を多言語で提供できるサービスを選択することで、外国人労働者も適切に回答できるようになります。

厚生労働省の指針でも、外国人労働者を含む全ての労働者がストレスチェックを受検できるよう、言語対応を含めた適切な措置を講じることが求められています。

4. 繁忙期・閑散期への対応

建設業には繁忙期と閑散期があり、実施時期の選定が重要です。工期末の繁忙期を避け、比較的余裕のある時期に実施することで、回答率を高めることができます。また、毎年同じ時期に実施することで、経年比較が可能になります。

建設業での成功事例:職場環境改善と安全管理の連携

厚生労働省の「こころの耳」ポータルサイトでは、建設業におけるメンタルヘルス対策の取り組み事例が紹介されています。ここでは、その事例を参考に、ストレスチェックと安全管理を連携させた取り組みの流れを解説します。

事例:建設会社での「無記名ストレスチェック」と職場環境改善

ある建設会社では、法定のストレスチェック制度とは別に、建設現場独自の取り組みとして「無記名ストレスチェック」を実施しています。この取り組みは建設業労働災害防止協会(建災防)が推進する「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」に基づいています。

取り組みの流れ

  1. 所長による宣言 現場の所長がメンタルヘルス対策に積極的に取り組むことを宣言し、現場全体で意識を高める。

  2. ​「健康KY」の実施 毎日の朝礼で作業員の様子を確認し、体調不良やストレスのサインに気づくポイントを共有する。

  3. 無記名ストレスチェックの実施 職業性ストレス簡易調査票(23項目の簡易版)を無記名で実施。気兼ねなく正直に回答できる環境を整える。

  4. 集団分析と職場環境改善シートの作成 回答を集計・分析し、「量的負担の調整」「仕事量のコントロール」「上司や同僚の支援」などの数値を可視化。

  5. 職長会議での協議 職長を集めて会議を開催し、分析結果をもとに具体的な改善策を話し合う。

  6. 改善策の実行と効果測定 決定した改善策を実行し、2回目のチェックで効果を測定。

得られた成果

  • 集団分析の数値が改善
  • 特に「上司の支援」が増加した現場で顕著な効果
  • うっかりミスやぼんやりミスによる労働災害の防止に寄与

この事例のポイントは、ストレスチェックの結果をメンタルヘルス対策だけでなく、労働災害防止にも活用している点です。「健康KY」と組み合わせることで、日々の安全管理の中にメンタルヘルスの視点を取り入れています。

例外・特殊ケースの対応

建設業でストレスチェックを実施する際には、以下のような例外・特殊ケースへの対応が必要になることがあります。

50人未満事業場の場合

労働者数50人未満の事業場ではストレスチェックの実施は努力義務ですが、建設業では小規模事業者が多いため、該当する企業は多いでしょう。

なお、2028年度より50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化される方針が決定しています。今のうちから体制を整えておくことをお勧めします。

地域産業保健センター(無料)を活用することで、50人未満の事業場でも専門家のサポートを受けながらストレスチェックを実施できます。

派遣労働者の場合

ストレスチェックの実施義務は雇用主(派遣元)にありますが、建設現場での集団分析を効果的に行うためには、派遣先事業者において派遣労働者を含めた集団分析を行うことが望ましいとされています。

有期雇用・短期労働者の場合

建設業では有期雇用や短期労働者が多いですが、「常時使用する労働者」の判断は、契約期間や労働時間を総合的に考慮して行います。期間の定めのない労働契約により使用される者、または1年以上使用される予定の者で、1週間の所定労働時間が通常の労働者の3/4以上の者が対象となります。

一人親方の場合

一人親方は労働者ではないため、ストレスチェックの対象外です。ただし、元請企業が現場全体の安全衛生管理の一環として、一人親方にもストレスチェックの受検機会を提供することは可能です。

ミニ用語集

用語意味
実施者ストレスチェックを実施する医師、保健師等の資格を持つ者
高ストレス者ストレスチェックの結果、高いストレスを抱えていると判定された者
集団分析部署や職種など集団ごとにストレスチェック結果を集計・分析すること
重層下請構造元請から一次下請、二次下請と多層的に請負関係が形成される建設業特有の構造
建災防建設業労働災害防止協会の略称。建設業の労働災害防止を推進する団体
健康KY健康に関する危険予知活動。作業前に体調や心身の状態を確認する取り組み
特定技能人手不足が深刻な特定の産業分野において外国人労働者を受け入れる在留資格

MentalMapで建設業のストレスチェックを効率化

建設業特有の課題を解決するために、MentalMapは以下の機能を提供しています。

現場分散への対応

  • スマートフォン対応: 現場にいながらスマートフォンで回答可能。QRコードから簡単にアクセス
  • クラウドベース: インターネット環境があればどこからでも実施可能

外国人労働者への対応

  • 12カ国語対応: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語、タガログ語、韓国語、ネパール語、マレー語、インドネシア語、ミャンマー語、タイ語、ポルトガル語に対応
  • 追加料金なし: 多言語対応に追加費用は不要

調査票の選択肢

  • 複数の調査票に対応: 厚生労働省の57項目版だけでなく、80項目版、120項目版、141項目版にも対応
  • カスタム質問: 建設業特有の質問を追加することも可能

集団分析と職場環境改善

  • 集団分析レポート: 部署別・現場別・属性別の分析結果を自動生成
  • 経年比較: 過去の結果との比較で改善効果を可視化
  • 全国平均比較: 自社の結果を全国平均と比較可能

無料で始められます

MentalMapは無料でアカウント登録が可能です。まずはお試しいただき、建設業の現場でのストレスチェック実施にお役立てください。

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よくある質問

A. スマートフォン対応のストレスチェックサービスを利用すれば、現場にいながらQRコードから回答可能です。クラウドベースのサービスなら、インターネット環境があればどこからでも実施できます。

A. 常時使用する労働者(契約期間1年以上、週所定労働時間が3/4以上)であれば、外国人労働者もストレスチェックの対象となります。日本語が母語でない労働者には、多言語対応のサービスを利用することで適切に実施できます。

A. ストレスチェックの実施義務は、それぞれの事業者(雇用主)にあります。下請企業の労働者であっても、実施責任は各下請企業にあります。ただし、元請が統括管理の一環として、下請を含めた集団分析を行うことは可能です。

A. 集団分析結果から「仕事の量的負担」「上司からのサポート」などの数値を把握し、職場環境改善につなげることで、疲労や注意力低下による労働災害のリスクを低減できます。建災防が推進する「健康KY」と組み合わせる方法も効果的です。

A. 現在は努力義務ですが、2028年度より50人未満事業場でも義務化される方針が決定しています。地域産業保健センター(無料)を活用すれば、専門家のサポートを受けながら今から体制を整えることができます。

A. まずは厚生労働省の57項目版から始めることが一般的です。より詳細な分析が必要な場合は80項目版、職場のいきいき度(ワークエンゲージメント)も測定したい場合は120項目版や141項目版を検討できます。

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