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導入事例|

製造業のストレスチェック活用事例|工場・現場労働者への実施と職場環境改善

製造業の高ストレス者率は全国平均を上回り、交代勤務・現場環境・外国人労働者対応など特有の課題があります。スマホ対応・12カ国語対応のストレスチェックと集団分析による職場環境改善の成功事例を紹介します。

製造業のストレスチェック活用事例|工場・現場労働者への実施と職場環境改善

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ 製造業は高ストレス者率が全国平均を上回る傾向にあり、交代勤務・現場環境・外国人労働者対応など特有の課題がある。スマートフォン対応・多言語対応のストレスチェックと集団分析に基づく職場環境改善で、高ストレス者率の低減と離職防止を実現できる。

この記事の対象読者

  • 製造業の人事・総務・安全衛生担当者
  • 工場・現場労働者のメンタルヘルス対策に課題を感じている方
  • 外国人労働者へのストレスチェック実施方法を検討している方

ポイント(3つの成功パターン)​

  1. スマートフォン・タブレット対応で現場労働者の受検率を向上
  2. 多言語対応で外国人労働者も含めた全員受検を実現
  3. 集団分析から交代勤務・作業環境の改善につなげる

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 現場にPCがないからストレスチェックは難しい → 実際はスマートフォン対応で解決可能
  • 誤解2: 外国人労働者は対象外でよい → 実際は全従業員が対象、多言語版調査票が厚生労働省から提供されている
  • 誤解3: 製造業はメンタルヘルス不調が少ない → 実際は製造業のメンタルヘルス不調者発生率は全業種平均を上回る

根拠: 厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」、こころの耳「職場のメンタルヘルス対策の取組事例」

製造業のメンタルヘルス・ストレスの現状は?

統計データで見る製造業の課題

指標製造業全業種平均
メンタルヘルス不調者(休職・退職)発生率18.6%13.5%
高ストレス者率19.4%約15%
総合健康リスク104100
ストレスを感じている労働者の割合-82.7%

厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、製造業ではメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は18.6%で、全業種平均の13.5%を大きく上回っています。

製造業の中分類別 高ストレス者率

業種(中分類)高ストレス者率
印刷・同関連業25.1%
食料品製造業20%超
金属製品製造業20%超
生産用機械器具製造業20%超
輸送用機械器具製造業20%超
電気機械器具製造業15.4%

食料品製造業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業、輸送用機械器具製造業では4〜5人に1人が高ストレス者という状況です。

製造業特有のストレス要因とは?

1. 交代勤務・夜勤による健康影響

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、​交代勤務睡眠障害とは「交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁に変化することにより、睡眠をはじめ精神・身体機能の障害がもたらされる症状」と定義されています。

交代勤務による健康への影響(厚生労働省調査)​

項目割合
深夜業務で体調変化があった労働者36.1%
深夜業務後に医師の診断を受けた労働者17.3%

診断内容の内訳:

  • 胃腸病: 51.0%
  • 高血圧症疾患: 22.6%
  • 睡眠障害: 18.8%

交代勤務はサーカディアンリズム(体内時計)の乱れを引き起こし、睡眠障害だけでなく、冠動脈疾患や糖尿病のリスク増加とも関連があると指摘されています。ストレスチェックと合わせて、勤務間インターバルの確保や夜勤中の仮眠体制の整備が重要です。

2. 現場環境でのPC不足

製造現場では、従業員一人ひとりにPCが割り当てられていないことが多く、従来のWebベースのストレスチェックでは以下の課題が発生していました。

  • 共用PCでの受検は待ち時間が発生
  • 休憩時間内に受検が完了しない
  • プライバシーが確保しにくい
  • 受検率の低下につながる

3. 騒音・温度環境

工場内の騒音や高温・低温環境は、身体的な疲労だけでなく精神的なストレスの原因にもなります。ストレスチェックの集団分析で「仕事の身体的負担」が高く出る場合、作業環境の改善が必要なサインです。

4. 単調作業・反復作業

ライン作業など同じ動作を繰り返す作業は、「仕事の意義」や「自己効力感」の低下につながりやすく、ストレス要因となることがあります。

5. 外国人労働者の言語問題

2024年10月末時点で、製造業で働く外国人労働者数は59.8万人​(全体の約26.0%)と最も多い業種です。言語の壁により、ストレスチェックの質問内容が正確に理解されないリスクがあります。

厚生労働省では、職業性ストレス簡易調査票(57項目)の外国語版として、英語・ポルトガル語・中国語・ベトナム語版を提供しています。さらに民間団体により、ベンガル語・インドネシア語・クメール語・ビルマ語・ネパール語・タイ語・タガログ語への翻訳も無償提供されています。

事例1: 大手製造業A社(西日本・従業員約1,000名)

企業概要

項目内容
業種製造業
従業員数約1,000名(技術職700名、事務職300名)
所在地西日本
課題交代勤務者のメンタルヘルス、職場復帰支援

取り組み内容

1. 健康推進センターの設置

産業医1名、保健師2名、看護師1名を配置した「健康推進センター」を設置。あらゆる相談を受ける窓口として機能させ、外部カウンセラーや医療機関への連携も担当しています。

2. 長時間労働者への問診と面談

一定時間を超えた労働者に対し、抑うつ気分や疲労感などメンタルヘルス関連項目を含む問診表を実施。産業医面談で早期発見・早期対応につなげています。

3. 階層別メンタルヘルス研修

対象研修内容頻度
新入社員セルフケア研修入社時
新任管理職ラインケア研修昇任時
管理職ラインケア研修4年に1回

独自のマニュアルを作成し、研修に活用しています。

4. 職場復帰支援プログラム

  • 最長3ヶ月間の時短勤務(リハビリ出勤)制度
  • 段階的な復職をサポート
  • 復職後も半年かけてアフターケアを実施

成果

  • 休職者の復職後定着率が向上
  • 相談窓口の利用が定着し、早期発見・早期対応が機能
  • 中途採用者向け研修の拡充に着手

事例2: 株式会社北川鉄工所(従業員1,431名)—集団分析とフィードバック研修

企業概要

項目内容
業種製造業(金属素形材事業、産業機械事業、工作機器事業)
従業員数1,431名(2022年3月31日現在)
所在地広島県府中市
拠点9つの生産拠点、11の支店・営業所
創業1918年(大正7年)
課題メンタル不調による休業者の増加

取り組み内容

1. 外部機関の活用

追加費用を最小限に抑えるため、産業保健総合支援センターを積極的に活用し、従業員スキルの底上げを図りました。

2. ストレスチェック集団分析の活用

アクションプランシートを用いたPDCAサイクルを実施し、高ストレス職場への改善相談を展開しました。

3. 管理職向けフィードバック研修

140名の管理職を対象に、集団分析結果に基づくフィードバック研修を実施。管理職が部下のストレス状況を理解し、早期気づきを強化しました。

4. 指導職への研修拡大

管理職向けラインケア研修を150名の指導職へも展開。3年かけて全階層への研修体系を構築しました。

5. セルフケア支援ツールの導入

個人に合わせたeラーニングやコラムを自動提案するツールを導入し、従業員のセルフケアを支援しました。

成果

2020年度と2021年度の比較では、以下の改善が確認されました。

指標成果
相談行動改善
上司同僚のサポート継続的な向上
早期気づき管理職スキル向上により強化

成功のポイント: 外部機関(産業保健総合支援センター)を活用することで、追加費用を抑えながら専門的な支援を受けることができました。中小企業でも活用できるモデルです。

事例3: 株式会社ニチレイ(従業員15,766名)—健康推進センターと全国エリア保健師配置

企業概要

項目内容
業種製造業(加工食品事業、低温物流事業、水産・畜産事業等)
従業員数15,766名(グループ全体、2023年3月現在)
所在地東京都中央区
設立1945年(昭和20年)
組織形態持株会社体制(2005年移行)
課題持株会社体制移行後の健康管理責任主体の不明確化

取り組み内容

1. 健康推進センターの設置

2018年に「健康推進センター」を設置(12名体制)。全国にエリア保健師を配置(東北、関西、九州に計5名)し、産業医約40名と連携する医療職会議を実施しています。

2. 階層別メンタルヘルス研修

対象研修内容実施形式
全従業員セルフケア研修毎月オンライン実施
役職者1,600名ラインケア研修2023年から必須化

3. こころのサポートチーム(COCOサポ)の構築

組織横断的な支援体制を構築し、切れ目のない支援を実現しました。

4. ストレスチェック後の産業医面接指導

保健師が同席する体制で、産業医による面接指導を実施。全国拠点でも対応可能な体制を整備しました。

5. 動画コンテンツの自社制作

メンタルヘルス関連のeラーニングを自社製作し、社内ネット環境に接続可能な9割以上の従業員が視聴する成果を達成しました。

6. ニチレイ健康塾の実施

2016年から実施。コロナ禍でオンライン化後、各回100名ほどが参加するセミナーへ成長しました。

成果

指標成果
健康水準従業員の年齢が上がる中で維持できている
経営層のコミットメント人財戦略5つの観点の1つに「健康経営」を位置づけ
役職者の育成全国1,600名以上が研修制度に参加
動画視聴率9割以上の従業員が視聴

大規模組織での成功例: 持株会社体制で健康管理責任が不明確になりやすい大規模組織でも、健康推進センターを中核とした全国体制を構築することで、効果的なメンタルヘルス対策を実現できます。

事例4: ロート製薬株式会社(従業員約1,500名)—全員面談制度と受検率91.6%

企業概要

項目内容
業種製造業(医薬品およびビューティー関連商品の製造販売)
従業員数約1,500名(グループ全体は約6,600名)
所在地大阪府大阪市
設立1899年創業
主要商品胃腸薬、目薬、外皮用薬など

取り組み内容

1. 全員面談制度

定期健康診断結果に基づき、健康管理室の産業医や看護職が「全社員と個別に約30分間」面談を実施しています。

対象者を限定せず、全員を面談対象とすることで信頼関係を構築し、早期発見・早期対応につなげています。

2. ストレスチェック実施前の丁寧な説明会

  • 全社員に対して事前説明会を開催
  • 実施体制を「見える化」し、個人情報保護への不安を解消
  • 受検率91.6%を達成

3. 高ストレス者への面接指導

指標実績
高ストレス者の割合約12%
面接指導実施率高ストレス者のうち約11%

4. 職場環境改善施策

働きやすい職場風土を醸成するため、以下の施策を実施しています。

  • オープンオフィス設計
  • カフェテリアスペースの設置
  • カジュアルフライデーの導入
  • 社員交流イベントの開催

成果

指標成果
ストレスチェック受検率91.6%
高ストレス者率約12%(全国平均より低い)
信頼関係の構築全員面談により産業保健スタッフとの関係が強化
職場環境オープンな風土が醸成

成功のポイント: 「全員面談制度」により、高ストレス者だけでなく全従業員との信頼関係を構築。ストレスチェック実施前の丁寧な説明で個人情報保護への不安を解消し、高受検率を実現しました。

製造業でストレスチェックを成功させる5つのポイントとは?

ポイント1: スマートフォン・タブレット対応のサービスを選ぶ

現場にPCがない環境でも、従業員個人のスマートフォンやタブレットで受検できるサービスを選ぶことで、受検率を大幅に向上できます。

ポイント2: 多言語対応で外国人労働者も含めた全員受検

外国人労働者が多い製造業では、母語での受検環境が必須です。厚生労働省提供の外国語版調査票に対応したサービスを選びましょう。

ポイント3: 勤務形態別の集団分析を実施

日勤・夜勤・交代勤務など、勤務形態別に集団分析を行うことで、どのシフトにストレスが集中しているかを可視化できます。

ポイント4: 集団分析結果を経営層に報告し、改善予算を確保

集団分析で課題が見つかっても、改善施策を実行する予算がなければ意味がありません。経営層への報告と予算確保のプロセスを整備しましょう。

ポイント5: 作業環境改善とセットで取り組む

製造業のストレスは、作業環境(温度・騒音・身体的負担)に起因することも多いです。メンタルヘルス対策と作業環境改善を連携させましょう。

製造業向けストレスチェック調査票はどう選べばよいですか?

調査票項目数特徴製造業での活用
職業性ストレス簡易調査票57項目法定の推奨調査票基本的なストレス状況の把握
新職業性ストレス簡易調査票80項目57項目+職場環境項目集団分析の精度向上
120項目版120項目ハラスメント・エンゲージメント含む詳細な職場分析
141項目版141項目最も詳細な調査大企業向け

製造業では、「身体的負担」「作業環境」に関する項目を含む80項目版以上がおすすめです。57項目版でも実施可能ですが、製造現場特有の課題を把握するには項目数が多い調査票の方が有効です。

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ミニ用語集

用語意味
交代勤務睡眠障害交代勤務による睡眠時間帯の頻繁な変化により、睡眠・精神・身体機能に障害が生じる状態
勤務間インターバル勤務終了から次の勤務開始までの休息時間。11時間以上の確保が推奨される
集団分析ストレスチェック結果を部署・属性別に集計し、職場ごとのストレス状況を把握すること
総合健康リスク量-コントロール判定図と職場の支援判定図から算出。100が全国平均、高いほどリスク大
職業性ストレス簡易調査票厚生労働省が推奨する57項目のストレスチェック調査票

MentalMapで製造業のストレスチェックを効率化

本記事で紹介した課題を解決するために、MentalMapは製造業に適した機能を提供しています。

現場労働者の受検率向上

  • スマートフォン・タブレット完全対応
  • PCがない現場でも自分のスマホで受検可能
  • QRコードで簡単アクセス

外国人労働者への多言語対応

  • 12言語対応(日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・ベトナム語・タガログ語・ポルトガル語・マレー語・インドネシア語・タイ語・ネパール語・ミャンマー語)
  • 母語での受検・結果確認が可能
  • 多言語での相談窓口案内

柔軟な調査票対応

  • 57項目・80項目・120項目・141項目すべてに対応
  • 製造業向けのカスタム項目追加も可能

勤務形態別の集団分析

  • 日勤・夜勤・交代勤務別の分析レポート
  • 工場・ライン別の集団分析
  • 経年比較で改善効果を可視化

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よくある質問

A. はい、製造業の高ストレス者率は約19.4%で、全業種平均の約15%を上回っています。特に食料品製造業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業では20%を超え、4〜5人に1人が高ストレス者という状況です。また、メンタルヘルス不調者(休職・退職)発生率も18.6%と全業種平均13.5%より高くなっています。

A. 実施できます。スマートフォンやタブレットに対応したストレスチェックサービスを利用することで、従業員個人の端末から受検可能です。QRコードでのアクセスや、自宅・通勤時間での受検も可能なため、現場にPCがなくても高い受検率を実現できます。

A. はい、ストレスチェックは雇用形態や国籍に関わらず、常時使用する労働者全員が対象です。厚生労働省では職業性ストレス簡易調査票の外国語版(英語・ポルトガル語・中国語・ベトナム語など)を提供しています。母語での受検環境を整備することで、外国人労働者も含めた全員受検が実現できます。

A. 厚生労働省の調査によると、以下の対策が有効です。1)勤務間インターバル11時間以上の確保、2)夜勤中の仮眠時間の設定(12時間夜勤では2時間推奨)、3)日勤→準夜勤→深夜勤の順のシフト編成(正循環シフト)、4)勤務形態別の集団分析による課題の可視化と改善。

A. 製造業では、「身体的負担」「作業環境」に関する項目を含む80項目版以上がおすすめです。57項目版でも法的要件は満たせますが、製造現場特有の課題(交代勤務の影響、作業環境、身体的負担など)を詳細に把握するには、項目数が多い調査票の方が集団分析の精度が向上します。

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