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導入事例|

業種別ストレスチェック活用事例|IT・製造・医療・介護・サービス業の取り組み

IT・製造・医療・介護・サービス業の業種別ストレスチェック活用事例を紹介。厚生労働省・こころの耳の事例を基に、各業種特有のストレス要因と効果的な対策、集団分析の活用ポイントを解説。

業種別ストレスチェック活用事例|IT・製造・医療・介護・サービス業の取り組み

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ 業種ごとにストレス要因は大きく異なり、IT業界は長時間労働と納期プレッシャー、製造業は人間関係と世代間ギャップ、医療・介護は感情労働と身体的負担、サービス業は顧客対応ストレスが特徴的。各業種の特性を踏まえた集団分析と職場環境改善が成果につながる。

この記事の対象読者

  • 業種特有のストレス要因を把握したい人事・総務担当者
  • 集団分析結果を職場改善に活かしたい衛生管理者
  • 他業種の事例を参考に自社の取り組みを改善したい担当者

ポイント(4つの業種別特徴)​

  1. IT・情報通信業: 長時間労働、納期プレッシャー、リモートワークによる孤立感
  2. 製造業: 人間関係、世代間ギャップ、中途採用者の適応困難
  3. 医療・介護: 感情労働、バーンアウト、身体的負担、対人ストレス
  4. サービス業: 顧客クレーム対応、感情抑制、不規則勤務

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 同じ調査票なら業種に関係なく同じ分析でよい → 実際は業種特有のストレス要因に着目した分析が必要
  • 誤解2: 高ストレス者への面談だけで十分 → 実際は集団分析による職場環境改善が一次予防として重要
  • 誤解3: ストレスチェックは義務だからやるだけ → 実際は活用次第でメンタルヘルス不調者が5分の1に減少した事例あり(厚労省ヒアリング調査の個別報告)

根拠: 厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」、こころの耳「職場のメンタルヘルス対策の取組事例」

業種別のストレスチェック実施率と精神障害労災の現状は?

厚生労働省の調査によると、業種によってストレスチェックの実施率やメンタルヘルス不調の発生状況には大きな差があります。

業種別ストレスチェック実施率(50人以上事業場・令和4年調査)

業種実施率
金融業・保険業96.7%
電気・ガス・熱供給・水道業高い
製造業全体平均やや下回る
医療・福祉全体平均やや下回る
宿泊業・飲食サービス業66.2%(最低)
全体平均(50人以上の事業所)84.7%

精神障害による労災請求件数(業種別・令和5年度)

順位業種請求件数支給決定件数
1位医療・福祉887件219件
2位製造業499件121件
3位卸売業・小売業491件103件

メンタルヘルス不調による休業・退職者がいた事業所の割合

業種割合
情報通信業32.4%(最高)
学術研究・専門技術サービス業23.4%
電気・ガス・熱供給・水道業23.3%
金融業・保険業22.3%
教育・学習支援業20.8%

注目すべき傾向: 情報通信業(IT業界)は、ストレスチェック実施率は高いものの、メンタルヘルス不調による休業・退職者の割合が全業種で最も高い(32.4%)。実施するだけでなく、結果を活用した職場環境改善が重要です。

IT・情報通信業ではどのような取り組みをしている?

IT業界特有のストレス要因

厚生労働省の調査によると、情報通信業(IT業)はメンタルヘルス上の理由により休業または退職した労働者の割合が特に高いとされています。

主なストレス要因

  • 長時間労働と納期プレッシャー
  • 技術の急速な変化への対応
  • リモートワークによるコミュニケーション不足
  • 顧客からの仕様変更や要求への対応

事例: 情報通信企業A社(東京都・従業員約200名)

こころの耳で紹介されている情報通信企業A社は、IT業界では珍しく離職者数が非常に少ない企業として取り上げられています。

取り組み内容

施策内容
一次予防の重視「業務の適正化」と「良好な人間関係」の2つを核に据える
研修の工夫セルフケア研修にハラスメント対策も含め、職場環境改善につなげる
相談窓口社内窓口と外部EAP機関を併用、入社1〜2年目には年4回、外部EAPカウンセラーによる電話での声かけ
職場復帰基準「定時まで仕事ができる状態」を明確な基準として文書化
採用時の配慮説明会での先輩社員との座談会で相互理解を深め、ミスマッチを防止

成功のポイント: 「良い職場の文化」を醸成していくことがメンタルヘルス不調の一次予防につながり、結果的に離職者数の少なさにつながっています。相談窓口は従業員からの相談を待つだけでなく、必要に応じて相談員から直接働きかけることも重要です。

製造業ではどのような取り組みをしている?

製造業特有のストレス要因

製造業では、精神障害による労災請求件数が業種別で2位(499件)と高い水準にあります。

主なストレス要因

  • 人間関係の問題(特に事務職で顕著)
  • 世代間ギャップによるコミュニケーション不足
  • 中途採用者の環境変化への適応困難
  • 年下新入社員との競争意識

事例: 大手製造業B社(西日本・従業員約1,000名)

こころの耳で紹介されている大手製造業B社は、技術職約700名、事務職約300名の構成で、継続的なメンタルヘルス対策に取り組んでいます。

課題の特定

  • 40代前半〜50代前半の層が少なく、世代間のコミュニケーションが困難
  • 中途採用者が環境変化に適応できず、成果が出ないことへの葛藤

取り組み内容

施策内容
相談窓口の整備健康推進センターに産業医1名、保健師2名、看護師1名を配置、あらゆる相談を受ける窓口として機能
研修体系新入社員にセルフケア研修、管理職に新任時・4年ごとのラインケア研修
中途採用者支援入社後の節目年齢での研修機会を創設
職場復帰支援最長3ヶ月間の短時間勤務制度(基本は6時間勤務から開始)
周知活動独自メッセージカード配布、月刊「健康だより」発行

中小製造業での環境改善事例

ストレスチェックの結果を踏まえて、遮熱塗装などの設備投資を行い職場環境を改善した結果、高ストレス者が減少した事例も報告されています。健康経営や障害者雇用に積極的に取り組んだことが、社員の変化をもたらし、好業績の継続と離職率の低減につながっています。

医療・介護業の特徴と対策は?

医療・介護業特有のストレス要因

医療・福祉分野は、精神障害による労災請求件数が全業種で最多(887件)であり、特にメンタルヘルス対策が重要な業種です。

主なストレス要因

  • 感情労働: 利用者やご家族からの理不尽な要求にも感情を抑えて対応することが求められる
  • 身体的負担: 介護では腰痛や肩こりなどの健康面での不調
  • バーンアウト(燃え尽き症候群)​: 肉体的・精神的苦痛により心身のエネルギーが枯渇する状態
  • 人命に関わる責任: 医療現場での緊張感と責任の重さ

対人援助職へのメンタルヘルスケア

こころの耳では「対人援助職の方のメンタルヘルスケア―医療職・介護職・教職の方などへ―」というコンテンツを提供し、特にこれらの職種に向けた支援を行っています。

推奨される対策

対策内容
セルフケアの強化自らのストレスに気付き、予防対処する力を養う
ラインによるケア管理監督者による職場環境の把握と改善、部下の相談対応
事業場内産業保健スタッフによるケア産業医、保健師による専門的サポート
事業場外資源の活用専門機関や専門家との連携

バーンアウト予防のポイント: 真面目で完璧主義の人がなりやすいとされるバーンアウト。「自分だけで抱え込まない」「適切に休息を取る」「相談できる環境を整える」ことが重要です。

サービス業(小売・宿泊・飲食)の特徴と対策は?

サービス業特有のストレス要因

宿泊業・飲食サービス業はストレスチェック実施率が66.2%と全業種で最も低い一方、対人ストレスが大きい業種です。

主なストレス要因

  • 顧客からのクレーム対応: 「顧客、取引先等からのクレーム」のストレス割合が全業種平均で前回調査から4.7ポイント上昇(26.6%)
  • 感情抑制の負担: 接客業務では高度なコミュニケーション能力が要求される
  • 不規則な勤務形態: シフト勤務による生活リズムの乱れ
  • 燃えつき症候群のリスク: 対人サービス業では消耗感、離人感、達成感の欠如が生じやすい

小売業における対策のポイント

こころの耳で紹介されている小売業向けの対策では、以下が重要とされています。

チェーンストアにおける効果的な取り組み

  • 店舗をまたいで同じ職種に共通したストレスを把握する取り組みが有効
  • 本部や地域拠点に産業保健スタッフを配置し、各店舗を定期的に巡回
  • 保健指導や健康相談等を行う体制の構築

職場復帰支援での配慮

  • 小売業では接客をしない業務はほとんどないため、復帰時のストレスが大きい
  • 段階的な業務復帰と配慮が必要

業種別に集団分析をどう活用する?

集団分析の現状

ストレスチェックを実施した事業所のうち、集団分析を実施した割合は約69%(ストレスチェック実施事業所のうち)です。集団分析を職場環境改善に活用することで、初めてストレスチェックの真価が発揮されます。

業種別の着目ポイント

業種重点的に確認すべき項目
IT・情報通信仕事の量的負担、自己裁量権、上司・同僚の支援
製造業人間関係、コミュニケーション、職場の一体感
医療・介護情緒的負担、身体的負担、仕事の意義
サービス業対人ストレス、感情労働、顧客対応負担

効果的な集団分析活用のステップ

  1. 部署別・属性別の分析: 全社平均だけでなく、部署や職種ごとの傾向を把握
  2. 全国平均との比較: 自社の立ち位置を客観的に把握
  3. 経年変化の確認: 対策の効果を検証
  4. 改善施策への落とし込み: 具体的なアクションプランを策定
  5. 経営層・管理職との共有: 組織的な改善につなげる

活用の効果: 厚生労働省のヒアリング調査では、継続的にストレスチェック制度に取り組んだ結果、実施以前と比べてメンタルヘルス不調者が5分の1に減少した事例あり(厚労省ヒアリング調査の個別報告)。

職場環境改善の成功パターンとは?

共通する成功要因

業種を問わず、職場環境改善に成功している企業には以下の共通点があります。

1. 経営層のコミットメント

  • 経営者が「なぜストレスチェックをやるのか」を理解し、自らメッセージを発信

2. 4つのケアの実践

  • セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外資源によるケアを組み合わせる

3. 相談しやすい環境づくり

  • 社内窓口と外部窓口の併用
  • 積極的なアウトリーチ(待ちの姿勢ではなく、必要に応じて声をかける)

4. 継続的な取り組み

  • 単年度で終わらず、PDCAサイクルを回す
  • 経年変化を追跡し、改善効果を検証

業種別の改善施策例

業種効果的な改善施策
ITリモートワーク下のコミュニケーション強化、1on1面談の定期実施
製造世代間交流の促進、中途採用者向け研修の充実
医療・介護感情労働への理解と支援、適切な休息確保
サービスクレーム対応マニュアル整備、相談窓口の周知

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ミニ用語集

用語意味
感情労働業務上、自分の感情をコントロールし、顧客や利用者に適切な対応をすることが求められる労働形態
バーンアウト肉体的・精神的苦痛により心身のエネルギーが燃え尽きた状態。燃え尽き症候群
ラインによるケア管理監督者が職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行うメンタルヘルス対策
集団分析ストレスチェック結果を部署単位等で集計し、職場ごとのストレス状況を把握すること
総合健康リスク量-コントロール判定図と職場の支援判定図から算出。100が全国平均、高いほどリスク大

MentalMapで業種特性に合わせたストレスチェックを

本記事で紹介した業種別の特徴を踏まえた運用を実現するために、MentalMapは以下の機能を提供しています。

部署別・属性別の集団分析

  • 部署、職種、雇用形態など多様な切り口で集団分析が可能
  • 全国平均との比較で自社の立ち位置を可視化
  • 経年変化を追跡し、改善効果を検証

業種特有のストレス要因を把握

  • 57項目の職業性ストレス簡易調査票に対応
  • 仕事の量的負担、対人関係、上司・同僚の支援など詳細な分析

職場環境改善をサポート

  • 集団分析結果に基づく改善施策の提案
  • 改善効果を経年で追跡可能

多言語対応

  • 12言語に対応(追加料金なし)
  • 外国人従業員も母国語で回答可能

よくある質問

A. 調査票自体は同じ57項目を使用しますが、集団分析の際に業種特有のストレス要因に着目することが重要です。例えばIT業界では「仕事の量的負担」、医療・介護では「情緒的負担」、サービス業では「対人ストレス」に注目して分析すると、効果的な改善施策につながります。

A. 令和5年度の調査では、精神障害による労災請求件数は「医療・福祉」が887件で最多、次いで「製造業」499件、「卸売業・小売業」491件の順です。これらの業種では特に積極的なメンタルヘルス対策が求められます。

A. 宿泊業・飲食サービス業など実施率が低い業種でも、外部サービスの活用により対応可能です。地域産業保健センター(無料)の活用や、クラウド型ストレスチェックサービスの導入で、専門スタッフがいない事業場でも実施できます。

A. 厚生労働省のヒアリング調査では、継続的にストレスチェック制度に取り組んだ結果、実施以前と比べてメンタルヘルス不調者が5分の1に減少した事例が報告されています(厚労省ヒアリング調査の個別報告)。ただし、実施するだけでなく、結果を分析して具体的な改善施策につなげることが重要です。

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