事業場外資源によるケア|外部相談窓口・EAPの活用方法
事業場外資源によるケアを徹底解説。産業保健総合支援センター(無料)、地域産業保健センター(50人未満向け・無料)、EAP、医療機関など外部相談窓口の活用方法。中小企業向けの無料支援、ストレスチェック後の相談先、心の健康づくり計画への位置づけまで。

結論(2行で分かる) 事業場外資源によるケアとは、外部の専門機関や専門家を活用したメンタルヘルス支援のこと。産業保健総合支援センター(無料)やEAP、医療機関等を活用することで、社内では相談しにくい内容への対応や専門的支援が可能になる。
この記事の対象読者
- 外部相談窓口の導入を検討している人事・総務担当者
- 産業医がいない中小企業の経営者・担当者
- 4つのケアの体制構築を進めている衛生管理者
ポイント(事業場外資源活用の3つのメリット)
- 専門的支援: 医療機関やEAPによる高度な専門知識を活用できる
- 匿名性の確保: 社内では相談しにくい内容も外部なら話しやすい
- 中立性: 事業場から独立した立場でのアドバイスが得られる
よくある誤解3つ
- 誤解1: 外部資源は費用がかかる → 産業保健総合支援センターや地域産業保健センターは無料
- 誤解2: 大企業向けのサービス → 50人未満の中小企業こそ地域産業保健センターが活用可能
- 誤解3: 自社の問題を外部に知られたくない → プライバシー保護が徹底されている
根拠: 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月策定、平成27年11月改正)
事業場外資源によるケア 早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、その支援を受けること |
| 位置づけ | 厚労省指針「4つのケア」の1つ |
| 主な外部資源 | 産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、EAP、医療機関、精神保健福祉センター |
| メリット | 専門的支援、匿名性の確保、中立的アドバイス |
| 中小企業向け | 地域産業保健センター(50人未満事業場向け・無料) |
事業場外資源によるケアとは?
厚労省指針における定義
厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、事業場外資源によるケアを以下のように位置づけています。
事業場外資源によるケアとは、会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、その支援を受けることです。
具体的には、産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、医療機関などの事業場外でメンタルヘルスケアへの支援を行う機関および専門家とのネットワークを日頃から形成して活用することが重要とされています。
4つのケアにおける位置づけ
厚生労働省指針では、メンタルヘルスケアを「4つのケア」で推進することが示されています。
| ケア | 主体 | 主な役割 |
|---|---|---|
| セルフケア | 労働者自身 | ストレスへの気付き、予防対処 |
| ラインによるケア | 管理監督者 | 職場環境改善、部下の相談対応 |
| 事業場内産業保健スタッフ等によるケア | 産業医・保健師等 | 専門的支援、計画策定 |
| 事業場外資源によるケア | 外部専門機関 | 専門的サービス提供 |
事業場外資源によるケアは、他の3つのケアを補完する重要な役割を担っています。特に、社内では相談しにくい内容への対応や、事業場内で対応困難な高度な専門知識が必要な場合に効果を発揮します。
なぜ事業場外資源が必要なのか?
事業場外資源が必要な3つの理由:
-
専門性の確保: 精神科医、臨床心理士、精神保健福祉士など、高度な専門知識を持つ専門家の支援を受けられる
-
匿名性・プライバシーの確保: 社内の人に知られたくない悩みも、外部機関であれば相談しやすい
-
中小企業への支援: 産業医がいない50人未満の事業場でも、地域産業保健センター等を活用すれば専門的支援が受けられる
利用できる事業場外資源一覧
無料で利用できる公的機関
| 機関 | 対象 | 主なサービス |
|---|---|---|
| 産業保健総合支援センター(さんぽセンター) | 全事業場 | 相談、研修、情報提供 |
| 地域産業保健センター(地さんぽ) | 50人未満事業場 | 面接指導、健康相談、訪問指導 |
| 精神保健福祉センター | 全事業場・労働者 | 精神保健に関する相談 |
| こころの耳相談窓口 | 労働者・家族・人事担当者 | 電話・SNS・メール相談 |
民間サービス
| 機関 | 特徴 | 主なサービス |
|---|---|---|
| EAP(従業員支援プログラム) | 事業者との契約 | カウンセリング、研修、復職支援 |
| 医療機関(精神科・心療内科) | 診断・治療が可能 | 診察、治療、リワークプログラム |
| 登録相談機関(有料) | 専門スタッフ配置 | 面接による心の健康相談 |
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)の活用
さんぽセンターとは?
産業保健総合支援センターは、独立行政法人労働者健康安全機構が運営する公的機関です。全国47都道府県に設置されており、産業保健に関する様々な支援を無料で提供しています。
提供サービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 相談対応 | 産業保健に関する専門的な相談 |
| 研修・セミナー | メンタルヘルス対策、産業保健に関する研修 |
| 情報提供 | 情報誌「産業保健21」、リーフレット、教材 |
| ストレスチェック制度サポートダイヤル | ストレスチェック制度に関する相談 |
| 職場復帰支援 | メンタルヘルス不調者の復職支援 |
さんぽセンターは全てのサービスが無料です。産業医の選任義務がある50人以上の事業場はもちろん、50人未満の事業場も利用可能です。まずは最寄りのセンターに問い合わせてみましょう。
活用のポイント
さんぽセンター活用の具体例:
- 心の健康づくり計画の策定について相談する
- 管理職向けラインケア研修の講師派遣を依頼する
- ストレスチェック制度の運用方法について助言を受ける
- 職場復帰支援プログラムの作成を支援してもらう
地域産業保健センター(地さんぽ)の活用
地さんぽとは?
地域産業保健センターは、労働者数50人未満の小規模事業者を対象とした支援機関です。独立行政法人労働者健康安全機構が運営し、全国47都道府県に設置されています。全てのサービスは無料で利用できます。
提供サービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 医師による面接指導相談 | 長時間労働者への面接指導に関する相談 |
| 健康相談窓口 | 健康診断結果に基づく健康管理、メンタルヘルスに関する相談 |
| 個別訪問指導 | 医師等による事業場訪問、健康管理指導、作業環境巡視 |
| 産業保健情報提供 | 専門機関や相談窓口のリスト提供 |
地さんぽは、産業医の選任義務がない50人未満の事業場にとって、産業保健の専門家に無料で相談できる貴重な窓口です。事前申し込みが必要ですので、各都道府県の地さんぽに問い合わせてください。
中小企業が地さんぽを活用すべき理由
50人未満事業場の課題と地さんぽの解決策:
| 課題 | 地さんぽによる解決 |
|---|---|
| 産業医がいない | 医師による面接指導相談が無料で利用可能 |
| 専門知識がない | 健康相談窓口で専門家に相談できる |
| 何から始めればよいかわからない | 個別訪問指導で総合的な助言を受けられる |
| 予算がない | 全てのサービスが無料 |
EAP(従業員支援プログラム)の活用
EAPとは?
厚生労働省「こころの耳」によると、EAP(Employee Assistance Program)は「従業員支援プログラム」と訳され、事業場外資源によるケアの一つの手段として位置付けられるメンタルヘルス支援サービスです。カウンセリング等を提供しています。
EAPの主なサービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| カウンセリング | 電話・メール・対面による相談対応 |
| メンタルヘルス研修 | 管理職向け、一般従業員向け研修 |
| 職場復帰支援 | 休職者の復職プログラム |
| 組織コンサルテーション | 職場環境改善へのアドバイス |
| ストレスチェック実施支援 | ストレスチェック制度の運用サポート |
EAPを提供する専門職
EAPサービス機関では、以下の専門職がカウンセラーとして活動しています。
- 臨床心理士・公認心理師
- 精神保健福祉士
- 産業カウンセラー
EAPは民間サービスのため費用がかかりますが、メンタルヘルス不調による休職・離職のコスト削減という観点から、費用対効果を検討することが重要です。
こころの耳 相談窓口の活用
こころの耳とは?
「こころの耳」は厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。匿名で無料で相談できる相談窓口を提供しています。
相談窓口の種類
| 相談方法 | 利用時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電話相談 | 平日17:00-22:00、土日10:00-16:00 | 話し言葉でコミュニケーションを取りたい方向け |
| SNS相談 | 平日17:00-22:00、土日10:00-16:00 | 文字でのやり取りを希望する方向け |
| メール相談 | 24時間受付(1週間以内に返信) | 自分のペースで相談内容をまとめたい方向け |
祝日・年末年始(12月29日-1月3日)は休止となります。電話相談は2026年1月より非通知電話を受け付けない設定となっています。
相談できる内容
対象者: 働く方、そのご家族、企業の人事労務担当者
相談内容の例:
- 仕事上のストレスや悩み
- 職場の人間関係の問題
- メンタルヘルス不調への対応方法
- 部下のメンタルヘルスケアについて
- 職場復帰支援について
登録相談機関(有料)の活用
登録相談機関とは?
登録相談機関は、事業者と契約を結び、有料で、面接による労働者の心の健康に関する相談を行う専門機関です。全国47都道府県に設置されており、「こころの耳」のサイトで一覧を確認できます。
登録相談機関の特徴
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 専門スタッフ配置 | 十分な経験を有する常勤の相談対応者が在籍 |
| 透明性 | サービス内容、料金体系、相談対応者の資格が公開 |
| 医学的サポート | 職場メンタルヘルスに詳しい精神科医がサポート |
| プライバシー保護 | 相談室が整備され、プライバシーが確保される |
ストレスチェック後の相談先
ストレスチェック結果と相談先の関係
ストレスチェック制度において、事業場外資源は重要な役割を担っています。
| 状況 | 推奨される相談先 |
|---|---|
| 高ストレス者と判定された | 産業医(面接指導)、EAP、こころの耳相談窓口 |
| 自分のストレス状態が気になる | こころの耳相談窓口、EAP、医療機関 |
| 社内には相談しにくい | こころの耳相談窓口(匿名・無料)、EAP |
| 専門的な治療が必要 | 精神科・心療内科等の医療機関 |
高ストレス者と判定された場合は、まず産業医等による面接指導を受けることをお勧めします。ただし、面接指導は労働者の申出が必要であり、強制ではありません。申出をためらう場合は、まず外部の相談窓口に相談することも選択肢の一つです。
50人未満事業場のストレスチェック後対応
50人未満の事業場では産業医の選任義務がないため、ストレスチェック後の対応に困るケースがあります。
地域産業保健センター(地さんぽ)を活用しましょう:
- 医師による面接指導相談が無料で利用可能
- 健康相談窓口でメンタルヘルスに関する相談ができる
- 事前申し込みが必要なため、ストレスチェック実施前から連携体制を構築しておくことが重要
事業場外資源活用のメリット
企業にとってのメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 専門性の活用 | 自社にはない専門知識・技術を活用できる |
| 中立的アドバイス | 事業場から独立した立場での客観的な助言が得られる |
| コスト効率 | 常勤の専門職を雇用するより効率的な場合がある |
| 法的リスク軽減 | 適切な対応により、安全配慮義務違反リスクを軽減 |
従業員にとってのメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 匿名性の確保 | 社内の人に知られたくない内容も相談しやすい |
| 専門家への相談 | 精神科医、心理士等の専門家に直接相談できる |
| 選択肢の拡大 | 社内相談窓口と外部相談窓口を選べる |
| 継続的支援 | 医療機関やEAPによる継続的なフォローが受けられる |
心の健康づくり計画への位置づけ
計画に含めるべき事項
厚生労働省指針では、心の健康づくり計画に「メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること」を含めることとされています。
計画への記載例:
- 活用する事業場外資源のリスト(産業保健総合支援センター、EAP等)
- 各資源の役割と連携方法
- 相談窓口の従業員への周知方法
- 緊急時の対応フロー
ネットワーク形成の重要性
厚生労働省指針では、「事業場外でメンタルヘルスケアへの支援を行う機関及び専門家とのネットワークを日頃から形成して活用する」ことが重要とされています。問題が発生してから連絡先を探すのではなく、平常時からネットワークを構築しておくことが求められます。
ネットワーク形成のステップ:
- 利用可能な事業場外資源をリストアップする
- 各資源の担当者と事前に面談・情報交換を行う
- 連携方法・連絡フローを明確化する
- 従業員に相談窓口を周知する
- 定期的に連携状況を確認・見直す
関連記事
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- ラインによるケアの基本と実践|管理監督者が行うメンタルヘルス対策
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- ストレスチェック実施者の要件とは?資格・役割・研修を解説
- 職場復帰支援の進め方|復職プログラムから再発防止まで
ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 事業場外資源 | 外部の専門機関・専門家(EAP、産業保健総合支援センター、医療機関等) |
| 産業保健総合支援センター(さんぽセンター) | 全国47都道府県に設置された産業保健支援の公的機関(無料) |
| 地域産業保健センター(地さんぽ) | 50人未満事業場向けの産業保健支援機関(無料) |
| EAP | Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)。事業者と契約してカウンセリング等を提供 |
| 4つのケア | セルフケア、ラインケア、事業場内スタッフによるケア、事業場外資源によるケア |
| 心の健康づくり計画 | メンタルヘルスケアを推進するための事業場の計画 |
MentalMapで事業場外資源との連携を支援
MentalMapは、事業場外資源によるケアを効果的に推進するためのストレスチェックサービスです。
外部相談窓口への連携支援
- ストレスチェック結果画面から相談窓口情報を表示
- 高ストレス者への面接指導案内を自動送信
- 従業員が外部相談窓口に相談しやすい導線を設計
50人未満事業場もサポート
- 50人未満の事業場でも利用可能なサービス設計
- 地域産業保健センターとの連携を想定した運用
- 外部実施者による実施も可能
事業場内産業保健スタッフとの連携
- 高ストレス者の判定結果を実施者・実施事務従事者に共有
- 面接指導の申出管理機能
- 集団分析結果を産業医・衛生委員会で活用可能
多言語対応で外国人従業員もサポート
- 12カ国語対応で外国人従業員も受検可能(追加料金なし)
- 言語の壁を越えたメンタルヘルスケアを実現
参考文献・出典
よくある質問
A. 産業保健総合支援センター(さんぽセンター)と地域産業保健センター(地さんぽ)は全てのサービスが無料です。こころの耳の相談窓口も無料で匿名利用が可能です。EAPや登録相談機関は有料ですが、費用対効果を考慮して導入を検討してください。
A. はい、利用できます。特に地域産業保健センター(地さんぽ)は50人未満の事業場を対象とした支援機関です。産業医がいなくても、医師による面接指導相談や健康相談を無料で利用できます。
A. EAPはカウンセリングや研修、復職支援などの予防・支援サービスを提供します。医療機関は診断・治療を行うことができます。症状が重い場合や治療が必要な場合は医療機関への受診が必要ですが、EAPから医療機関への紹介も行われます。
A. 高ストレス者と判定された場合は、まず産業医等による面接指導の申出をご検討ください。産業医がいない事業場では、地域産業保健センターに相談できます。社内に相談しにくい場合は、こころの耳相談窓口(匿名・無料)やEAPも選択肢となります。
A. まず利用可能な資源をリストアップし、各資源の担当者と事前に面談・情報交換を行います。連携方法・連絡フローを明確化し、従業員に相談窓口を周知してください。厚労省指針では、問題発生前から日頃よりネットワークを形成しておくことが重要とされています。