ストレス反応の種類と対処法|心身に現れるサインを理解する
ストレス反応の3分類(心理的・身体的・行動的)と各症状を解説。ストレッサーとストレス反応の関係、慢性ストレスによる健康被害、ストレスチェックで測定できる6尺度まで。早期発見のポイントと対処法を紹介。

結論(2行で分かる) ストレス反応は「心理的反応」「身体的反応」「行動的反応」の3つに分類される。自分のストレスサインに早く気づき、2週間以上続く場合は専門家への相談が必要。
この記事の対象読者
- ストレスの仕組みを理解したい人事・総務担当者
- 自分や部下のストレスサインに気づきたい管理職
- ストレスチェック結果の読み解き方を知りたい方
ポイント(5つ)
- ストレスとは「ストレッサー(原因)」と「ストレス反応(結果)」で構成される
- ストレス反応は心理面・身体面・行動面の3つの側面で現れる
- 活気低下 → イライラ・不安 → 抑うつと段階的に進行する
- 慢性ストレスは心身症(胃潰瘍、高血圧など)を引き起こす
- ストレスチェックは心身のストレス反応を6尺度で測定する
よくある誤解3つ
- 誤解1: ストレスは悪いもの → 適度なストレスはパフォーマンス向上に必要
- 誤解2: ストレス反応は精神的なものだけ → 身体症状や行動変化も重要なサイン
- 誤解3: ストレスに強い人は反応が出ない → 誰でもストレス反応は出る、気づきが重要
根拠: 厚生労働省「こころの耳」ストレス軽減ノウハウ、厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」
ストレス反応 早見表
| 反応の種類 | 主な症状例 |
|---|---|
| 心理的反応 | 活気低下、イライラ、不安、抑うつ、集中力低下 |
| 身体的反応 | 頭痛、肩こり、動悸、胃痛、睡眠障害、疲労感 |
| 行動的反応 | 飲酒・喫煙増加、ミス増加、遅刻、欠勤、引きこもり |
ストレスとは何か?—ストレッサーとストレス反応の関係
ストレスの定義
ストレスは、もともと金属学で使われていた「歪み(ひずみ)」を意味する言葉です。現在では、外部からの刺激(ストレッサー)と、それに対する心身の反応(ストレス反応)の両方を含む概念として使われています。
風船の例えで理解する
厚生労働省「こころの耳」では、ストレスを風船に例えて説明しています。
| 要素 | 風船の例え | 説明 |
|---|---|---|
| ストレッサー | 風船を押す指 | ストレスの原因となる外部刺激 |
| ストレス反応 | 風船の歪み | ストレッサーによって生じる心身の変化 |
適度なストレスは人間の成長やパフォーマンス向上に必要です。問題となるのは、過度なストレスが長期間続く場合です。
ストレッサーの3つの分類
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 物理的刺激 | 暑さ、寒さ、騒音、照明 |
| 化学的刺激 | 公害物質、アルコール、たばこ |
| 心理・社会的刺激 | 人間関係、仕事の量や質、昇進・配置転換 |
職場で最も多いストレッサー
厚生労働省「こころの耳」によると、労働者の約6割がストレスを感じており、その最大の原因は人間関係(約41%)です。職場における主要なストレッサーは以下の通りです。
- 対人関係の葛藤(部署内の意見の食い違い、パワーハラスメント)— 約41%
- 仕事の質的負担(高度な知識や技術が必要なむずかしい仕事)
- 仕事の量的負担(非常にたくさんの仕事をしなければならない)
- 昇進・配置転換・単身赴任などの変化
ストレス反応の3分類—心理面・身体面・行動面
ストレッサーを受けると、人は「ストレス反応」として様々な変化を示します。この反応は大きく3つの側面に分類されます。
心理的反応(こころの面)
心理的反応は、感情や思考の変化として現れます。
| 症状 | 具体的な状態 |
|---|---|
| 活気の低下 | 元気がない、生き生きしない、やる気が出ない |
| イライラ感 | 怒りを感じる、内心腹立たしい、些細なことで苛立つ |
| 不安感 | 気が張り詰めている、落ち着かない、将来が心配 |
| 抑うつ感 | ゆううつ、何をするのも面倒、気分が晴れない |
| 集中力低下 | 物事に集中できない、仕事が手につかない |
心理的反応には進行パターンがあります。まず「活気」が低下して元気がなくなり、次に「イライラ」や「不安」を感じ、最終的に「抑うつ」状態に近づいていきます。
身体的反応(からだの面)
ストレスは様々な身体症状として現れます。「原因不明の体調不良」の背景にストレスがあることも少なくありません。
| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 頭部 | 頭痛、頭が重い、めまい |
| 目 | 目の疲れ、視力低下 |
| 首・肩 | 首筋や肩のこり |
| 胸部 | 動悸、息切れ |
| 消化器 | 胃痛、胃腸の具合が悪い、食欲不振、便秘・下痢 |
| 全身 | だるい、疲れやすい、体のふしぶしの痛み |
| 睡眠 | 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める |
行動的反応(行動面)
行動の変化は、周囲の人が気づきやすいサインです。
| カテゴリ | 症状 |
|---|---|
| 嗜好品 | 飲酒量の増加、喫煙量の増加 |
| 勤怠 | 遅刻・早退の増加、欠勤が増える |
| 業務 | ミスが増える、能率が落ちる、報告が遅れる |
| 対人関係 | 人との交流を避ける、口数が減る |
| 身だしなみ | 服装や髪型に気を使わなくなる |
| 活動性 | 消極的になる、趣味への関心が薄れる |
管理職の方へ: 部下の「いつもと違う」行動変化に気づくことがラインケアの第一歩です。特に勤怠の乱れ、ミスの増加、口数の減少は重要なサインです。
急性ストレス反応と慢性ストレス—何が違うのか?
急性ストレス反応
急性ストレス反応は、一時的なストレッサーに対する短期的な反応です。
特徴
- 原因となる出来事の直後に発生
- 通常、数時間から数日で軽減
- 適切な休息やサポートで回復可能
例: 重要なプレゼン前の緊張、締め切り直前のプレッシャー
慢性ストレス
慢性ストレスは、ストレッサーが長期間続くことで、心身に持続的な影響を与える状態です。
特徴
- 数週間から数ヶ月以上持続
- 心身症(ストレス関連疾患)を引き起こすリスク
- 専門家による介入が必要な場合が多い
慢性ストレスが引き起こす疾患(心身症)
長期間のストレスは、以下のような身体疾患を引き起こしたり悪化させたりします。
| 系統 | 疾患 |
|---|---|
| 循環器系 | 本態性高血圧症、狭心症、心筋梗塞 |
| 消化器系 | 胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群 |
| 呼吸器系 | 気管支喘息、過換気症候群 |
| 神経系 | 片頭痛、自律神経失調症 |
| 皮膚 | 蕁麻疹、アトピー性皮膚炎 |
| その他 | 糖尿病(悪化)、腰痛症 |
2週間以上症状が続く場合は専門家へ相談
気分の落ち込み、睡眠障害、疲れやすさなどの症状が2週間以上続く場合は、「うつ病」の可能性があります。精神科や心療内科への相談を検討してください。
ストレスチェックで測定できる項目—6つの尺度で心身の反応を可視化
ストレスチェックの構造
厚生労働省推奨の職業性ストレス簡易調査票(57項目版)では、領域B「心身のストレス反応」として29問が設定されています。これらは6つの尺度に集約されます。
| 尺度 | 該当設問数 | 測定内容 |
|---|---|---|
| 活気 | 3問 | 元気、生き生き感 |
| イライラ感 | 3問 | 怒り、苛立ち |
| 疲労感 | 3問 | 身体的・精神的疲労 |
| 不安感 | 3問 | 緊張、不安 |
| 抑うつ感 | 6問 | 気分の落ち込み、うつ傾向 |
| 身体愁訴 | 11問 | 身体的な不調 |
ストレス反応の進行と尺度の関係
ストレス反応は段階的に進行します。この進行パターンはストレスチェックの尺度と対応しています。
【初期段階】活気の低下
↓
【中期段階】イライラ感・不安感の増加
↓
【進行段階】抑うつ感の増加、身体愁訴
早期発見のポイント: まず「活気」の低下に注目してください。活気が低下している状態で適切な対処をしないと、イライラや不安、そして抑うつへと進行していきます。
高ストレス判定の仕組み
ストレスチェックでは、心身のストレス反応(領域B)が高ストレス判定において最も重要な指標となります。
| 判定方法 | 条件 |
|---|---|
| 素点換算表法(厚労省推奨) | 領域B合計 ≤ 12点、または領域A+C合計 ≤ 26点かつ領域B ≤ 17点で高ストレス |
詳しい判定方法は「ストレスチェック57項目の質問内容と判定方法」をご覧ください。
ストレス反応への対処法—3つのアプローチ
1. ストレスへの気づき(セルフモニタリング)
自分のストレスサインを知る
人によってストレス反応の出方は異なります。自分特有のサインを把握しておくことが重要です。
- 過去にストレスを感じたとき、どんな症状が出たか振り返る
- 定期的にセルフチェックを行う
- ストレスチェックの結果を活用する
2. ストレス対処法(コーピング)
| 方法 | 具体例 |
|---|---|
| 問題焦点型 | 問題の原因を分析し解決策を考える、周囲に相談する |
| 情動焦点型 | リラクゼーション、運動、趣味の時間を持つ |
| 社会的支援 | 上司・同僚・家族に相談する、専門家のサポートを受ける |
3. 相談・受診の目安
| 期間 | 対応 |
|---|---|
| 数日〜1週間 | セルフケアで対処、休息を取る |
| 2週間以上継続 | 産業医・保健師への相談を検討 |
| 日常生活に支障 | 精神科・心療内科への受診を推奨 |
まとめ—ストレス反応を理解して早期対処を
押さえるべきポイント
- ストレスは「ストレッサー」と「ストレス反応」で構成される
- ストレス反応は心理面・身体面・行動面の3つで現れる
- 活気低下 → イライラ・不安 → 抑うつと段階的に進行する
- 2週間以上症状が続く場合は専門家への相談が必要
- ストレスチェックは心身の反応を6尺度で測定できる
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ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ストレッサー | ストレスの原因となる外部刺激(仕事の量、人間関係など) |
| ストレス反応 | ストレッサーによって生じる心身の変化 |
| 心理的反応 | 感情や思考の変化(不安、イライラ、抑うつなど) |
| 身体的反応 | 身体に現れる症状(頭痛、動悸、睡眠障害など) |
| 行動的反応 | 行動の変化(飲酒増加、ミス増加、欠勤など) |
| 心身症 | 心理社会的ストレスが原因で発症・悪化する身体疾患 |
| 領域B | ストレスチェックにおける心身のストレス反応を測定する領域 |
MentalMapでストレス反応を可視化
MentalMapは、厚生労働省推奨の判定基準に基づき、従業員のストレス反応を6尺度で可視化します。
ストレス反応の可視化機能
- 活気・イライラ感・疲労感・不安感・抑うつ感・身体愁訴の6尺度を個別表示
- 経年比較でストレス反応の変化を追跡
- 部署別の集団分析でストレスの高い部署を特定
早期発見・早期対応を支援
- 高ストレス者の自動判定
- 中等度ストレス者(やや高ストレス)の把握で早期フォロー
- 産業医面談の記録管理機能
セルフケア支援
- 個人結果のわかりやすい表示
- ストレス反応ごとの対処法アドバイス
- 12カ国語対応で外国人従業員も利用可能
よくある質問
A. ストレス反応は大きく3つに分類されます。心理的反応(不安、イライラ、抑うつ、活気低下など)、身体的反応(頭痛、動悸、睡眠障害、胃痛など)、行動的反応(飲酒増加、ミス増加、欠勤など)です。
A. 気分の落ち込み、睡眠障害、疲れやすさなどの症状が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。精神科や心療内科への相談を検討してください。日常生活に支障をきたしている場合は、期間に関わらず早めの受診をおすすめします。
A. はい。厚労省推奨の57項目版ストレスチェックでは、「心身のストレス反応」として活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴の6尺度を測定します。この領域Bが高ストレス判定において最も重要な指標です。
A. 慢性ストレスは心身症と呼ばれる身体疾患を引き起こします。具体的には、胃・十二指腸潰瘍、高血圧、狭心症、過敏性腸症候群、気管支喘息、片頭痛、自律神経失調症、蕁麻疹などがあります。
A. はい。ストレス反応は段階的に進行します。まず「活気」が低下して元気がなくなり、次に「イライラ」や「不安」を感じるようになり、最終的に「抑うつ」状態に近づいていきます。早期の活気低下に気づくことが重要です。