セルフケアの基本と実践|自分でできるストレス対処法
セルフケアの基本と実践方法を徹底解説。労働者の82.7%がストレスを感じる今、自分でできるメンタルヘルスケアが重要。厚労省指針に基づく4つのケアの位置づけ、ストレスサインの見つけ方、3つのR(レスト・レクリエーション・リラックス)によるストレス対処法、ストレスチェックの活用方法まで網羅。2028年50人未満義務化にも対応。

結論(2行で分かる) セルフケアとは、労働者が自らのストレスに気付き、予防対処すること。ストレスへの気づき、3つのR(レスト・レクリエーション・リラックス)、ストレスチェックの活用が基本となる。
この記事の対象読者
- 自分のストレス状態を把握したい働く人
- セルフケアの方法を学びたい方
- 部下にセルフケアを推奨したい管理職
- 従業員のセルフケア支援を検討している人事担当者
ポイント(セルフケアの3本柱)
- ストレスへの気づき: 心身のサインを見逃さない
- ストレス対処(3つのR): レスト・レクリエーション・リラックス
- 自発的な相談: 困ったときは専門家や相談窓口を活用
よくある誤解3つ
- 誤解1: セルフケアは自己責任 → 実際は事業者が教育研修・情報提供で支援する義務がある1
- 誤解2: ストレスを感じたら弱い → 実際はストレス反応は誰にでも起こる自然な反応
- 誤解3: 我慢すれば治る → 実際は早期対処が重要。放置すると悪化する
なぜ今、セルフケアが注目されるのか?
メンタルヘルス不調の現状
厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活に関して強い不安やストレスを感じる労働者の割合は82.7%に達しています1。また、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所は10.4%、退職者がいた事業所は6.4%でした1。
こうした状況の中、労働者自身がストレスに気づき、早期に対処する「セルフケア」の重要性がますます高まっています。
2028年からは50人未満の事業場も義務化
2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だった50人未満の事業場にもストレスチェック実施が義務化されます(施行は公布から3年以内、最長で2028年5月)2。
この法改正により、今後はより多くの労働者がストレスチェックを受検する機会を得ることになります。セルフケアの知識を身につけ、ストレスチェック結果を活用できるようになることが重要です。
セルフケア早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 労働者が自らのストレスに気付き、予防対処すること3 |
| 位置づけ | 4つのケアの基盤となる最も重要なケア4 |
| 具体的方法 | ストレスへの気づき、3つのR、ストレスチェック活用、相談 |
| 事業者の役割 | 教育研修の実施、情報提供、相談窓口の設置3 |
4つのケアにおけるセルフケアの位置づけ
4つのケアとは?
厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、職場のメンタルヘルス対策として4つのケアを示しています3。
| ケア | 主体 | 内容 |
|---|---|---|
| セルフケア | 労働者自身 | ストレスへの気づき、予防対処 |
| ラインケア | 管理監督者 | 職場環境改善、部下への相談対応 |
| 事業場内スタッフによるケア | 産業医・保健師等 | 専門的支援、計画策定 |
| 事業場外資源によるケア | 外部専門機関 | 専門的サービス提供 |
セルフケアは4つのケアの基盤となるものです。労働者一人ひとりが自分のストレスに気付き、適切に対処できることが、メンタルヘルス対策全体の土台となります。
なぜセルフケアが重要なのか?
メンタルヘルス不調は、放置すると段階的に悪化していきます。
ストレスの3段階
| 段階 | 状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1段階(警告期) | 初期サイン | 肩こり、イライラ、集中力低下 |
| 第2段階(抵抗期) | 表面上は元気に見える | 実際は無理をしている危険な状態 |
| 第3段階(疲弊期) | 自力で回復困難 | 専門家による治療が必要 |
セルフケアにより第1段階で気付いて対処することで、悪化を防ぐことができます。
ストレスへの気づき方
ストレス反応のサインを知る
ストレスを感じていると、心身にさまざまな反応が現れます。自分のストレスサインを知ることが、セルフケアの第一歩です。
| 反応の種類 | 具体的なサイン |
|---|---|
| 身体面 | 肩こり、頭痛、胃腸の不調、動悸、不眠、食欲変化 |
| 心理面 | イライラ、不安、落ち込み、集中力低下、無気力 |
| 行動面 | ミスの増加、遅刻、仕事効率の低下、飲酒・喫煙の増加 |
自分のストレス状態を客観的に観察する習慣をつけましょう。「いつもと違う」感覚を見逃さないことが大切です。
ストレス状態のセルフチェック
厚生労働省「こころの耳」では、5分でできる職場のストレスセルフチェックを提供しています。57問の質問に答えることで、以下の4つの観点から自分のストレス状態を把握できます。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕事のストレス要因 | 仕事の量、質、裁量度、職場環境 |
| 心身のストレス反応 | 活気、イライラ、疲労、不安、抑うつ、身体症状 |
| 周囲のサポート | 上司・同僚・家族からのサポート状況 |
| 満足度 | 仕事や家庭生活への満足度 |
定期的にセルフチェックを行うことで、自分のストレス状態の変化に気付くことができます。
ストレス対処法(コーピング)
3つのR:基本のストレス対処法
厚生労働省「こころの耳」では、ストレス対処の基本として3つのRを推奨しています5。
| R | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| Rest(レスト) | 休息・休養・睡眠 | 十分な睡眠、休憩、有給休暇の取得 |
| Recreation(レクリエーション) | 趣味娯楽・気分転換 | 運動、旅行、趣味活動 |
| Relax(リラックス) | リラクセーション | ストレッチ、深呼吸、音楽鑑賞 |
睡眠の重要性
睡眠は心身の回復に最も重要な要素です。快適な睡眠とは、起きたときに気持ちがいい睡眠を指します。
睡眠改善のポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 規則正しいリズム | 毎日同じ時間に起床する |
| 睡眠環境の整備 | 温度・照明・寝具を適切に |
| 就寝前の習慣 | カフェイン・スマホを控える |
| 昼寝の活用 | 15分程度の昼寝は仕事効率向上に効果的 |
睡眠の問題が2週間以上続く場合は、専門家への相談を検討してください。
運動によるストレス解消
運動はストレス解消に効果的ですが、重要なのは競争ではなく楽しむことです。
運動のポイント
- 好きな運動を選ぶ(ウォーキング、ヨガ、水泳など)
- 楽しい環境で行う
- 無理のない範囲で継続する
- 仲間と一緒に行うとより効果的
リラクセーション技法
腹式呼吸
自宅や職場の自席でも短時間で簡単に行えるリラクセーション法です。
- 楽な姿勢で座る
- ゆっくり鼻から息を吸う(お腹を膨らませる)
- ゆっくり口から息を吐く(お腹をへこませる)
- 5〜10回繰り返す
その他のリラクセーション
- ストレッチで筋肉の緊張を緩和
- ヨガ・瞑想
- 好きな音楽を聴く
コーピング(ストレス対処行動)
ストレスコーピングとは、物事の受け止め方を柔軟にすることです。ネガティブな考え方を、柔軟で合理的な考え方に変える工夫をすることで、ストレスを軽減できます。
| 考え方の例 | ネガティブ → 柔軟な考え方 |
|---|---|
| 失敗した時 | 「自分はダメだ」→「次に活かそう」 |
| 批判された時 | 「嫌われた」→「改善のヒントかも」 |
| 忙しい時 | 「無理だ」→「優先順位をつけよう」 |
笑いの効果
笑いには自律神経のバランスを改善する効果があります。日常生活に笑いを取り入れることも、セルフケアの一つです。
ソーシャルサポートの活用
人との支え合いも重要なストレス対処法です。
- 家族や友人に話を聞いてもらう
- 親しい人との交流で不安を整理する
- 困ったときは専門家(カウンセラー等)に相談する
ストレスチェックを活用したセルフケア
ストレスチェック制度とは?
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。また、2028年までに50人未満の事業場にも義務化が拡大される予定です2。
ストレスチェック結果の活用方法
ストレスチェックの結果は、自分自身のストレス状態を客観的に知るための重要なツールです。
| 活用方法 | 内容 |
|---|---|
| 自己理解 | 自分のストレス状態を客観的に把握 |
| 変化への気づき | 前回との比較で変化に気付く |
| 対処のきっかけ | 高ストレス状態なら早めに対処 |
| 面接指導の活用 | 高ストレス者は医師面談を申し出られる |
ストレスチェックの結果は本人のみに通知されます。本人の同意がない限り、事業者に知られることはありません。安心して正直に回答してください。
高ストレス判定を受けたら
高ストレス者と判定された場合は、以下の対応を検討してください。
- 医師による面接指導の申出:希望すれば医師(産業医等)と面談できる
- セルフケアの実践:3つのRを意識して生活を見直す
- 相談窓口の活用:社内相談窓口やEAPを利用する
- 専門家への相談:症状が続く場合は医療機関を受診
事業者が行うべきセルフケア支援
セルフケアは「個人の責任」ではありません。事業者には、労働者がセルフケアを行えるよう支援する義務があります。
事業者に求められる支援
| 支援内容 | 具体例 |
|---|---|
| 教育研修 | セルフケア研修の実施 |
| 情報提供 | ストレスやメンタルヘルスに関する情報の提供 |
| ストレスチェック | 定期的な実施と結果の通知 |
| 相談窓口 | 社内相談窓口の設置と周知 |
| 環境整備 | セルフケアを実践しやすい職場環境づくり |
専門家への相談が必要なとき
以下のような症状が2週間以上続く場合は、「うつ」が疑われます。専門家への早めの相談をおすすめします。
- 気分が落ち込む、憂うつ
- 何をしても楽しくない
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がない、または食べすぎる
- 疲れやすい、体がだるい
- 集中できない
- 自分を責める
相談窓口
| 相談先 | 特徴 |
|---|---|
| 社内相談窓口 | 職場の状況を理解している |
| EAP(従業員支援プログラム) | 外部の専門家に相談できる |
| こころの耳相談窓口 | 無料で電話・メール相談可能 |
| 医療機関 | 診断・治療が必要な場合 |
脚注
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ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| セルフケア | 労働者が自らのストレスに気付き、予防対処すること |
| ストレス反応 | ストレスによって生じる心身の変化(身体面・心理面・行動面) |
| 3つのR | レスト(休息)・レクリエーション(気分転換)・リラックスの総称 |
| コーピング | ストレスに対処するための行動や考え方の工夫 |
| ストレスチェック | 労働者のストレス状態を把握するための検査 |
| EAP | Employee Assistance Program(従業員支援プログラム) |
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Footnotes
参考文献・出典
よくある質問
A. セルフケアとは、労働者が自らのストレスに気付き、予防対処することです。厚労省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に示された4つのケアの一つで、メンタルヘルス対策の基盤となります。
A. いいえ。事業者には、労働者がセルフケアを行えるよう教育研修の実施や情報提供を行う義務があります。セルフケアを「自己責任」として放置することは適切ではありません。
A. 身体面では肩こり・頭痛・不眠、心理面ではイライラ・不安・集中力低下、行動面ではミスの増加・仕事効率の低下などがあります。「いつもと違う」感覚を見逃さないことが大切です。
A. ストレス対処の基本として、Rest(休息・休養・睡眠)、Recreation(趣味娯楽・気分転換)、Relax(リラクセーション)の3つを指します。厚生労働省「こころの耳」で推奨されています。
A. いいえ。ストレスチェックの結果は本人のみに通知されます。本人の同意がない限り、事業者に知られることはありません。安心して正直に回答してください。
A. 気分の落ち込み、不眠、食欲低下、集中力低下などの症状が2週間以上続く場合は、「うつ」が疑われます。早めに専門家に相談することをおすすめします。