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実施手順・運用|

メンタルヘルス教育研修の進め方|管理職・従業員向け研修の内容

厚労省指針に基づくメンタルヘルス教育研修の進め方を解説。管理監督者向けラインケア研修、従業員向けセルフケア研修の内容から、こころの耳の無料eラーニング活用法、ストレスチェックとの連携まで。研修担当者向けの実践ガイド。

メンタルヘルス教育研修の進め方|管理職・従業員向け研修の内容

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ メンタルヘルス教育研修は、厚労省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき、労働者・管理監督者それぞれに適切な内容で実施する必要がある。厚労省「こころの耳」では無料のeラーニングが提供されており、ストレスチェックと組み合わせた効果的な研修が可能。

この記事の対象読者

  • メンタルヘルス研修を企画・実施する人事・総務担当者
  • 部下向けの研修を検討している管理職
  • 産業保健体制の教育研修を担当する衛生管理者

ポイント(研修の3つの柱)​

  1. 管理監督者向け研修: ラインケア、部下の変化への気づき、傾聴スキル
  2. 一般従業員向け研修: セルフケア、ストレスへの気づき、相談窓口の活用
  3. 階層別・目的別の実施: 役職・職種に応じた研修内容の設計

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 研修は一度やれば十分 → 実際は継続的・計画的な実施が必要
  • 誤解2: 外部講師を呼ばないと研修はできない → 実際はこころの耳のeラーニングで無料実施可能
  • 誤解3: ストレスチェックと研修は別物 → 実際は組み合わせることで相乗効果が得られる

根拠: 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月策定、平成27年11月改正)

メンタルヘルス教育研修 早見表

対象主な研修内容推奨ツール
一般従業員セルフケア、ストレスへの気づき、相談窓口15分でわかるセルフケア
管理監督者ラインケア、部下の変化への気づき、傾聴15分でわかるラインによるケア
産業保健スタッフ計画策定、高ストレス者対応、復職支援事業場内スタッフによるケア
新入社員ストレスとは何か、相談の仕方5分研修シリーズ

事業者に求められる教育研修の義務

厚労省指針における教育研修の位置づけ

厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、メンタルヘルスケアを推進するために、労働者・管理監督者・事業場内産業保健スタッフに対して、​それぞれの職務に応じた教育研修・情報提供を行うことが求められています。

教育研修は「心の健康づくり計画」に基づき、​継続的かつ計画的に実施することが重要です。単発の研修ではなく、年間計画に組み込んで定期的に実施しましょう。

教育研修の目的

メンタルヘルス教育研修には、以下の3つの予防段階に対応した目的があります。

予防段階目的研修内容例
一次予防メンタルヘルス不調の未然防止ストレス対処法、職場環境改善
二次予防早期発見・早期対応部下の変化への気づき、相談対応
三次予防職場復帰支援・再発防止復職者への配慮、受け入れ体制

第14次労働災害防止計画との関連

厚生労働省の「第14次労働災害防止計画」(2023年4月〜2028年3月)では、メンタルヘルス対策の推進が8つの重点施策の1つとして位置づけられています。計画ではメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を2027年までに80%以上とする目標が設定されており、教育研修を含めた総合的な取り組みが求められています。


管理監督者向け研修の内容

ラインケア研修で学ぶべき項目

厚労省指針では、管理監督者に対して以下の内容について教育研修を実施することが求められています。

研修項目内容
メンタルヘルスケアに関する事業場の方針会社としての取り組み姿勢を理解する
職場環境等の評価及び改善の方法ストレス要因の把握と改善方法を学ぶ
労働者からの相談対応傾聴スキル、声かけの方法を習得する
心の健康問題により休業した者の職場復帰への支援復職支援の流れと配慮点を理解する

「いつもと違う」への気づき

ラインケア研修で最も重視されるのは、​部下の「いつもと違う」変化に気づく力を養うことです。

​「いつもと違う」サインの例:

カテゴリ具体例
勤怠遅刻・早退・欠勤が増える、残業が急増する
業務遂行ミスが増える、仕事の効率が落ちる、報告が遅れる
態度・表情表情に活気がない、元気がない、口数が減る
対人関係職場での会話が減る、孤立している

変化に気づくためには、まず「いつも」を知っておくことが必要です。日頃から部下に関心を持ち、表情・体調・勤務態度を観察しておきましょう。

傾聴スキルの習得

管理監督者には、部下からの相談に対応するための傾聴スキルが求められます。

傾聴の5つのポイント:

ポイント内容
環境を整える周囲に聞こえない場所、余裕のある時間を確保
非言語を意識する穏やかな表情・視線、落ち着いた姿勢
うなずき・相槌心のこもったうなずきを返す
最後まで聴いて確認話を遮らず、理解した内容を確認する
誠意ある対応回答できない場合は素直に伝える

管理監督者がやってはいけないこと:

  • 病気の診断や治療方法について判断すること
  • 「気にしすぎ」「甘え」と決めつけること
  • 相談内容を本人の同意なく他者に漏らすこと


一般従業員向け研修の内容

セルフケア研修で学ぶべき項目

厚労省指針では、労働者に対して以下の内容について教育研修を実施することが求められています。

研修項目内容
メンタルヘルスケアに関する事業場の方針会社の取り組みと労働者の役割を理解する
ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識ストレスの仕組みと心身への影響を学ぶ
セルフケアの重要性及び心の健康問題に対する正しい態度自己管理の重要性を理解する
ストレスへの気づき方自分のストレスサインを知る
ストレスの予防、軽減及びストレスへの対処の方法具体的な対処法を習得する
自発的な相談の有用性相談窓口の活用方法を知る
事業場内の相談先及び事業場外資源に関する情報利用できる支援制度を知る

ストレスへの気づきと対処

セルフケア研修では、労働者が自分のストレスに気づき、適切に対処する力を養います。

ストレスサインの例:

種類具体例
心理面不安、イライラ、憂うつ、集中力低下
身体面頭痛、肩こり、不眠、食欲不振、疲労感
行動面飲酒量の増加、仕事のミス、遅刻

ストレス対処法の例:

  • リラクゼーション(呼吸法、ストレッチ)
  • 適度な運動
  • 趣味や気分転換
  • 十分な睡眠
  • 誰かに話を聴いてもらう

相談窓口の周知

研修では、以下の相談窓口について情報提供を行います。

相談先特徴
産業医・保健師事業場内の専門家に相談できる
社内相談窓口人事・総務の担当者に相談できる
EAP(従業員支援プログラム)外部の専門家に匿名で相談できる
産業保健総合支援センター各都道府県に設置、無料で利用可能
こころの耳電話相談厚労省委託事業、無料で相談可能

研修の実施方法

研修形式の比較

形式メリットデメリット適した対象
集合研修参加者同士の交流、講師への質問日程調整が困難、コスト高管理監督者
eラーニング好きな時間に受講、低コスト質問ができない、モチベーション維持全従業員
オンライン研修在宅勤務者も参加、移動不要通信環境に依存、集中力維持拠点が分散する企業
5分研修隙間時間で学習、負担が少ない体系的な学習は困難忙しい従業員

効果的な研修設計のポイント

階層別・目的別の研修設計:

対象目的推奨頻度
新入社員基礎知識の習得、相談窓口の周知入社時(必須)
一般従業員セルフケアスキルの維持・向上年1回以上
管理監督者ラインケアスキルの習得・更新年1回以上
新任管理職ラインケアの基本習得昇進時(必須)

研修実施のタイミング:

  • ストレスチェック実施前: セルフケアの重要性を理解し、受検率向上につなげる
  • ストレスチェック結果通知後: 結果の読み方、相談窓口の活用を促す
  • 集団分析結果報告時: 管理監督者に職場環境改善の意識を持たせる


こころの耳のeラーニング紹介

厚生労働省の「こころの耳」では、​無料で利用できるeラーニングコンテンツが提供されています。

主なeラーニングコンテンツ

コンテンツ名対象所要時間
15分でわかるセルフケア労働者約15分
15分でわかるセルフケア(英語版)外国人労働者約15分
15分でわかる働く人の睡眠と健康労働者約15分
15分でわかるラインによるケア管理監督者約15分
15分でわかる職場復帰支援管理監督者・人事担当約15分
15分でわかる事業場内産業保健スタッフ等によるケア産業保健スタッフ約15分
15分でわかる法に基づくストレスチェック制度事業者・担当者約15分

15分でわかるセルフケアの内容

「15分でわかるセルフケア」は6つのモジュールで構成されています。

内容所要時間
第1章いつもと違う自分に気づこう1分
第2章ストレスってなに?2分
第3章ストレスとつき合う方法5分
第4章職場のメンタルヘルスケアが必要な理由3分
第5章メンタルヘルス不調は防ぐことができます2分
第6章国を挙げてメンタルヘルスケアを推進しています2分

活用パターン:

  • 標準パターン: ストレスチェック → eラーニング → クイズ(約25分)
  • 短時間パターン: 第1〜3章のみ学習(約13分)

5分研修シリーズ

「こころの耳 5分研修シリーズ」は、​3〜5分程度の短い動画で手軽に学べるミニ動画シリーズです。

主なカテゴリ:

カテゴリテーマ例
セルフケア全般生活習慣、呼吸法、不安・怒りへの対処
労働者の状況別女性・男性・中高年、育児・介護との両立
職種・働き方別対人援助職、交替勤務、フリーランス
シーン別新入社員、テレワーク、異動後
ラインによるケア部下の変化への気づき、相談対応
ストレスチェック個人結果の読み方、集団分析

5分研修シリーズはテーマごとに視聴できるため、朝礼や会議の冒頭に1本視聴するなど、日常業務に組み込みやすい形式です。


研修とストレスチェックの連携

ストレスチェックと研修の相乗効果

ストレスチェック制度と教育研修を組み合わせることで、以下の相乗効果が期待できます。

タイミング研修との連携効果
ストレスチェック前セルフケア研修実施受検率向上、セルフケア意識向上
結果通知後結果の読み方説明自己理解促進、相談行動の促進
集団分析報告時ラインケア研修実施職場環境改善への意識向上
面接指導後フォローアップ研修職場復帰支援、再発防止

研修プログラム設計例

年間研修スケジュール例:

時期対象内容
4月新入社員セルフケア基礎研修
5月管理監督者ラインケア研修(ストレスチェック前)
6月全従業員ストレスチェック実施
7月全従業員結果の読み方・活用方法
9月管理監督者集団分析結果報告・職場環境改善
11月管理監督者職場復帰支援研修
2月全従業員セルフケアフォローアップ

関連記事


ミニ用語集

用語意味
セルフケア労働者が自らのストレスに気付き、予防対処すること
ラインケア管理監督者が職場環境改善と部下の相談対応を行うこと
傾聴相手の話に耳を傾け、共感的に理解しようとする聴き方
こころの耳厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
eラーニングオンラインで学習できる教材・プログラム
心の健康づくり計画メンタルヘルスケアを推進するための事業場の計画

MentalMapで研修効果を可視化

MentalMapは、教育研修とストレスチェックを連携させることで、研修効果を可視化できるストレスチェックサービスです。

研修効果の測定

  • ストレスチェック結果の経年比較で研修効果を検証
  • 部署別の高ストレス者割合推移を確認
  • 集団分析で職場環境改善の効果を可視化

セルフケア支援

  • 個人結果の分かりやすい表示で自己理解を促進
  • セルフケアのアドバイス機能
  • 12カ国語対応で外国人従業員も受検可能(追加料金なし)

ラインケア支援

  • 部署別の詳細な集団分析レポート
  • 仕事のストレス判定図で高リスク部署を特定
  • 管理画面で部署の状況を一目で確認

運用負荷軽減

  • 受検案内・リマインドメールの自動送信
  • 回答状況のリアルタイム確認
  • 労基署報告書(様式第6号の2)の自動出力

よくある質問

A. 研修自体を直接義務付ける法律はありませんが、厚労省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、事業者が労働者・管理監督者に対して教育研修・情報提供を行うことが求められています。第14次労働災害防止計画では、メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を2027年までに80%以上とする目標が設定されています。

A. 厚労省「こころの耳」のeラーニングは無料で利用できます。外部講師を招いた集合研修の場合、講師料として数万円〜数十万円が一般的です。産業保健総合支援センターでは無料の研修も提供されています。

A. 部下を持つ全ての管理監督者がラインケア研修を受講することが望ましいです。日常的に部下と接する管理監督者だからこそ、部下の変化に気づき、適切な対応ができるようになることが重要です。

A. 厚生労働省「こころの耳」の公式サイト(https://kokoro.mhlw.go.jp/)から無料で受講できます。「15分でわかるセルフケア」「15分でわかるラインによるケア」などのコンテンツが用意されており、iPad・iPhoneでも利用可能です。

A. 受講前後のアンケート調査、ストレスチェック結果の経年比較、高ストレス者割合の推移、相談件数の変化などで効果を測定できます。研修内容の理解度確認には、こころの耳のクイズ機能も活用できます。

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