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制度・法令|

ストレスチェック制度とは?義務化の対象・実施手順・よくある疑問を徹底解説

ストレスチェック制度の基礎から実施手順まで徹底解説。50人以上の事業場は年1回の実施が義務。対象企業、関係者の役割、労基署報告の流れを分かりやすく説明します。

ストレスチェック制度とは?義務化の対象・実施手順・よくある疑問を徹底解説

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ 常時50人以上の事業場は年1回のストレスチェック実施が法律義務​。50人未満も2028年頃に義務化予定なので、今から準備を。

対象読者: 人事労務担当者、衛生管理者、経営者(初めて実施する方〜見直したい方)

実施の7ステップ

  1. 実施体制の整備(実施者・実施事務従事者の選任)
  2. 実施計画の策定(衛生委員会で審議)
  3. 従業員への周知(不利益取扱い禁止の説明)
  4. ストレスチェックの実施(調査票で回答収集)
  5. 結果の通知と面接指導(本人同意なしに事業者へ通知されない)
  6. 集団分析と職場環境改善(10人以上の単位で実施)
  7. 労働基準監督署への報告(年1回、様式第6号の2)

よくある誤解3つ

  • ✗「会社が結果を見れる」→ ○ 本人同意がなければ事業者は結果を見られない
  • ✗「高ストレス者=病気」→ ○ あくまでリスク指標、面談でケアするための目安
  • ✗「人事担当者が実施事務をすればいい」→ ○ 人事権を持つ者は実施事務従事者になれない

根拠: 労働安全衛生法第66条の10、厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」


数字・期限・保存年限 早見表

項目数値・期限
義務対象常時50人以上の事業場
50人未満義務化2028年頃​(2025年5月公布の改正法により)
実施頻度年1回以上
結果保存期間5年間
労基署報告1年以内ごとに1回
集団分析の最小単位10人以上
面接指導の申出期限結果通知後おおむね1か月以内が望ましい
面接指導後の意見聴取おおむね1か月以内

そもそもストレスチェック制度とは何か?

ストレスチェック制度とは、従業員のメンタルヘルス不調を「未然に防ぐ」ための法定検査です。​

労働安全衛生法第66条の10に基づき、2015年12月から施行されました。年に1回、調査票を使って労働者の心理的負担(ストレス)の程度を把握し、本人へのセルフケア促進と、職場環境改善につなげることを目的としています。

なぜ「予防」が重視されるのか?

従来のメンタルヘルス対策は、不調が発生してから対応する「事後対応」が中心でした。ストレスチェック制度は、不調を未然に防ぐ「一次予防」に重点を置いています。

目的内容
一次予防労働者自身がストレス状況に気づき、セルフケアを行うきっかけにする
職場環境改善集団分析の結果を活用し、部署ごとの課題を把握して改善する

法的根拠は?

法令内容
労働安全衛生法 第66条の10ストレスチェック実施の義務
労働安全衛生規則 第52条の9〜21実施方法の詳細規定
厚労省指針実施に関するガイドライン(面接指導、集団分析等)

どの企業が義務対象か?50人のカウント方法は?

常時50人以上の労働者を使用する「事業場」が義務対象です。​

「事業場」とは?

企業全体ではなく、​工場、支店、営業所など拠点単位を指します。同じ企業でも、50人以上の事業場と50人未満の事業場が混在することがあります。

「常時50人」のカウント方法

  • パートタイム労働者、派遣労働者を含めてカウント
  • 繁忙期だけ50人を超える場合は、​通常の状態で判断

50人未満の事業場はどうなる?

現時点では努力義務ですが、2025年5月公布の改正労働安全衛生法により、​2028年頃に義務化されることが決まりました。

50人未満の事業場向けに、産業保健総合支援センターが無料支援サービスを提供しています。義務化前の今から体制を整えておくことをおすすめします。


実施の7ステップとは?各ステップで何をする?

ステップ1: 実施体制の整備—誰が何をするか?

役割担当者主な業務
実施者医師、保健師等調査票の選定、高ストレス者の選定基準決定、面接指導
実施事務従事者人事権を持たない者調査票の配布・回収、データ入力、結果保存
事業者経営者、人事部門実施計画の策定、予算確保、結果に基づく措置

成果物: 実施体制表(役割・担当者一覧)

人事権を持つ者は実施事務従事者になれません。​ 解雇・昇進・異動等の決定権限を持つ者(人事課長、部門長など)が個人結果にアクセスできる状態は、法の趣旨に反します。総務担当者や衛生管理者など、人事権を持たない者を選任してください。

ステップ2: 実施計画の策定—衛生委員会で何を決める?

衛生委員会等で以下の事項を審議・決定します。

  • 実施時期
  • 対象者の範囲
  • 使用する調査票(57問版/80問版/120問版/141問版)
  • 高ストレス者の選定基準
  • 結果の保存方法(5年間保存が義務)
  • 集団分析の方法

成果物: 実施規程、衛生委員会議事録

ステップ3: 従業員への周知—何を伝えるべきか?

以下の3点を必ず明確に伝えます。

  1. 結果は本人の同意なく事業者に通知されないこと
  2. 結果を理由とした不利益取扱いは禁止されていること
  3. 面接指導を申し出たことによる不利益取扱いも禁止されていること

成果物: 周知文書、説明会資料

ステップ4: ストレスチェックの実施—どの調査票を使う?

厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」は、以下の領域で構成されています。

領域設問例57問版の設問数
仕事のストレス要因「非常にたくさんの仕事をしなければならない」17問
心身のストレス反応「活気がわいてくる」「ひどく疲れた」29問
周囲のサポート「上司はどのくらい気軽に話ができますか」9問
満足度「仕事に満足だ」2問

設問数の選び方: 法定義務を満たすだけなら57問版で十分ですが、職場環境改善に活かすなら80問版以上がおすすめです。120問版・141問版では「ハラスメント」「ワークエンゲージメント」など、より詳細な分析が可能になります。詳しくは「設問数の違いを徹底比較」をご覧ください。

成果物: 回答データ、受検率レポート

ステップ5: 結果の通知と面接指導—高ストレス者にはどう対応する?

検査結果は、​実施者から直接本人に通知されます。事業者が結果を確認するには、​本人の同意が必要です。

高ストレス者と判定された労働者は、医師による面接指導を申し出ることができます。申出があった場合、事業者は面接指導を実施しなければなりません。

成果物: 個人結果通知書、面接指導記録、医師意見書

→ 高ストレス者への対応詳細は「高ストレス者対応ガイド」をご覧ください。

ステップ6: 集団分析と職場環境改善—どう活用する?

個人が特定されない形で、部署や職種ごとに結果を集計・分析します。

  • 集団分析は努力義務ですが、職場環境改善に活用することが推奨されています
  • 10人以上の単位で実施(10人未満は個人特定のおそれ)

成果物: 集団分析レポート、仕事のストレス判定図、職場環境改善計画

ステップ7: 労働基準監督署への報告—何を報告する?

報告書(様式第6号の2)に以下を記載して提出します。

項目内容
検査を実施した年月ストレスチェック実施年月
検査を受けた労働者数受検者数
面接指導を受けた労働者数面接指導実施人数
集団分析の実施有無実施した/しなかった

成果物: 労基署報告書(様式第6号の2)


実施者・産業医・実施事務従事者の役割は?

実施者になれるのは誰か?

以下の資格を持つ者に限られます。

  • 医師
  • 保健師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師

実施者は、調査票の選定、高ストレス者の選定基準の確認、面接指導の必要性の判断などを行います。

産業医の役割は?

産業医が選任されている事業場では、産業医が実施者となることが一般的です。

  • 実施者としてストレスチェックに関与
  • 高ストレス者への面接指導の実施
  • 面接指導結果に基づく意見書の作成
  • 事業者への助言・指導

実施事務従事者の守秘義務は?

実施事務従事者には守秘義務が課せられています。知り得た情報を漏らした場合は罰則の対象となります(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)。


例外・特殊ケースの対応

派遣社員のストレスチェックは派遣元?派遣先?

派遣元事業者が実施します。ただし、派遣先の職場環境が原因でストレスが生じている場合、派遣先も対策を講じる必要があります。

休職中・育休中の従業員は対象か?

対象外にできます。​ ストレスチェックは「現に就業している労働者」が対象のため、長期休職中・育休中の従業員は除外しても問題ありません。

出向者はどちらの会社で受ける?

出向先で受検するのが一般的です。実際に業務を行っている事業場でストレス状況を把握することが、制度の趣旨に沿っています。

外国人従業員への対応は?

多言語対応の調査票を用意することが望ましいです。厚生労働省の調査票は日本語のみですが、MentalMapでは12カ国語に対応しています(追加料金なし)。

パートタイマーも対象か?

対象です。​ 契約期間が1年以上、または1年以上の雇用が見込まれ、週の労働時間が正社員の3/4以上のパートタイマーは対象となります。


不利益取扱いの禁止とは?違反するとどうなる?

以下の行為は法律で禁止されています。

禁止される行為具体例
ストレスチェックを受けないことを理由とした不利益取扱い「受検しないなら評価を下げる」
ストレスチェックの結果を理由とした不利益取扱い「高ストレス者だから異動させる」
面接指導の申出を理由とした不利益取扱い「面談を希望したから昇進させない」
面接指導の結果を理由とした不利益取扱い「医師の意見を理由に解雇する」

具体的には、解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な配置転換、降格などが該当します。


手作業とシステム活用—どちらが効率的か?

作業内容手作業(Excel・紙)システム活用
調査票の配布・回収メール送付・督促を手動URL配布のみ、自動リマインド
回答データの集計Excel手入力、集計式作成リアルタイム自動集計
高ストレス判定判定式を手動計算厚労省基準で自動判定
個人結果通知PDF作成・個別送付システムから自動通知
集団分析部署別データ抽出・グラフ作成ワンクリックでレポート生成
労基署報告書様式に手入力自動作成・ダウンロード

特に100人以上の事業場では、手作業で数日〜数週間かかる作業が、システム活用で数時間に短縮できます。


ミニ用語集

用語意味
ストレスチェック労働者の心理的負担の程度を把握するための検査(労働安全衛生法第66条の10)
実施者ストレスチェックを実施する医師・保健師等
実施事務従事者調査票の配布・回収等の事務を行う者(人事権を持たない者に限る)
高ストレス者ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者
面接指導高ストレス者が希望した場合に医師が行う面談
集団分析部署・職種単位でストレスチェック結果を集計・分析すること(努力義務)
職業性ストレス簡易調査票厚生労働省が推奨する標準的な調査票。57問版〜141問版がある

まとめ—ストレスチェック制度の要点

押さえるべきポイント

  1. 常時50人以上の事業場は年1回の実施が義務
  2. 結果は本人同意なく事業者に通知されない
  3. 高ストレス者には医師による面接指導を提供
  4. 労働基準監督署への報告が年1回必要
  5. 50人未満の事業場も2028年頃に義務化予定

ストレスチェックは単なる義務ではなく、職場環境改善のきっかけとして活用することで、従業員の健康と企業の生産性向上の両方に貢献します。


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よくある質問

A. 現時点では努力義務ですが、2025年5月公布の改正労働安全衛生法により、2028年頃に義務化されることが決まっています。早めの体制整備がおすすめです。

A. 実施方法により異なりますが、クラウドサービスを活用すると1人あたり300〜800円程度で実施できます。MentalMapは1回答あたり500円、基本料金0円です。

A. 年1回以上の実施が義務付けられています。多くの企業では健康診断と同時期に実施しています。

A. 面接指導の申出は労働者の任意です。メリットを説明し申出を促すこと、社内相談窓口や外部EAPサービスの情報提供が有効です。

A. 派遣社員のストレスチェックは派遣元事業者が実施します。ただし、派遣先も職場環境の改善に協力する必要があります。

A. 1年以内ごとに1回、定期に報告する義務があります。MentalMapでは労基署報告書を自動生成できます。

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