50人未満の事業場もストレスチェックを|小規模企業のメンタルヘルス対策
50人未満の事業場のストレスチェックは努力義務だが、2028年までに義務化が決定。地域産業保健センター(無料)の活用方法、小規模事業場ならではの実施ポイント、低コストで導入できるサービスの選び方を解説。

結論(2行で分かる) 50人未満の事業場のストレスチェックは現在「努力義務」だが、2028年までに義務化が決定している。地域産業保健センター(無料)や産業保健総合支援センターを活用すれば、コストを抑えて実施可能。
この記事の対象読者
- 従業員50人未満の中小企業・小規模事業場の経営者、人事・総務担当者
- ストレスチェック義務化に備えて準備を始めたい方
- 限られた予算でメンタルヘルス対策を進めたい方
ポイント(3つの要点)
- 50人未満でも「やるべき理由」がある(義務化対応、離職防止、生産性向上)
- 地域産業保健センターで面接指導が無料で受けられる
- 小規模ならではの工夫で効果的な運用が可能
よくある誤解3つ
- 誤解1: 努力義務だからやらなくてよい → 実際は2028年までに全事業場が義務化
- 誤解2: 産業医がいないと実施できない → 実際は地域産業保健センター等を活用すれば可能
- 誤解3: 小規模企業には費用負担が大きい → 実際は無料支援や低コストサービスが充実
根拠: 労働安全衛生法第66条の10、厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」、こころの耳Q&A
数字・期限 早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現在の50人未満の位置付け | 努力義務 |
| 義務化の施行期限 | 2025年5月公布後3年以内(最遅2028年5月14日まで) |
| 50人未満事業場の実施率 | 約32〜58%(調査・事業場規模により幅あり) |
| 50人以上事業場の実施率 | 約85〜90% |
| 実施頻度 | 年1回以上 |
| 結果保存期間 | 5年間 |
| 地域産業保健センター | 全国約350か所、利用料無料 |
なぜ50人未満でもストレスチェックを実施すべきなのか?
2028年義務化への準備という観点
2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満事業場へのストレスチェック義務拡大が正式に決定した。施行は「公布後3年以内」とされており、最遅でも2028年5月14日までには義務化される。
義務化直前に慌てて体制を整えるよりも、今から準備を進めておくことで、スムーズな運用開始が可能になる。
努力義務でも実施すべき3つの理由
1. 従業員の離職防止・定着率向上
小規模事業場では1人の離職が業務に与える影響が大きい。ストレスチェックで従業員の心身の状態を把握し、早期に対応することで離職を防止できる。
2. 生産性の維持・向上
メンタルヘルス不調による欠勤や作業効率の低下は、小規模事業場ほど深刻な影響を与える。予防的なアプローチで生産性を維持できる。
3. 安全配慮義務の履行
労働契約法第5条に基づく安全配慮義務は、事業場規模に関係なく課せられている。ストレスチェックの実施は、この義務を果たすための有効な手段となる。
小規模事業場の実施率の現状
厚生労働省の調査によると、ストレスチェックの実施率には事業場規模による差がある。
| 事業場規模 | 実施率 |
|---|---|
| 50人以上 | 約85〜90% |
| 10〜49人 | 約32〜58%(調査により幅あり) |
50人未満の事業場では「努力義務」という位置付けから実施率が低いが、義務化を見据えて実施率は上昇傾向にある。なお、厚生労働省の第14次労働災害防止計画では「2027年までに50人未満の企業でのストレスチェック実施率を50%以上にする」という目標が設定されている。
50人未満の事業場が活用できる公的支援制度
地域産業保健センター(地さんぽ)とは?
地域産業保健センターは、産業医の選任義務がない50人未満の事業場を対象に、産業保健サービスを原則無料で提供する機関である。全国に約350か所設置されている。
提供サービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 健康相談窓口 | 健康診断結果に基づく健康管理、メンタルヘルスに関する相談 |
| 面接指導 | ストレスチェック結果に基づく医師による面接指導(無料) |
| 個別訪問指導 | 医師等が事業場を訪問し、健康管理に関する指導を実施 |
| 長時間労働者への面接指導 | 疲労が蓄積した労働者への医師による面接指導 |
| 産業保健情報提供 | 地域の関係機関リストの提供など |
地域産業保健センターの活用ポイント: ストレスチェック自体の実施は行っていないが、高ストレス者への面接指導を無料で依頼できる。ストレスチェックの実施は外部サービスに委託し、面接指導は地域産業保健センターを活用するという組み合わせが効率的。
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)とは?
産業保健総合支援センターは、各都道府県に1か所ずつ(全国47か所)設置され、産業保健に関する様々な支援を提供している。
主なサービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 専門相談 | 産業医、保健師、衛生管理者等への専門的相談対応 |
| 研修 | メンタルヘルス対策、ストレスチェック制度に関する研修 |
| 情報提供 | 産業保健に関する最新情報の提供 |
| 調査研究 | 地域の産業保健ニーズの調査研究 |
| 助成金情報 | 各種助成金制度の案内 |
助成金制度の活用
労働者健康安全機構では、小規模事業場によるストレスチェックや面接指導の実施費用を助成する制度を設けている。
団体経由産業保健活動推進助成金
事業主団体等を通じて、傘下の中小企業に対して産業保健サービスを提供した場合に助成を受けられる制度がある。詳細は労働者健康安全機構のウェブサイトで確認できる。
50人未満の事業場でのストレスチェック実施手順
手順1: 実施体制を決める
50人未満の事業場では産業医の選任義務がないため、以下の方法で実施体制を構築する。
実施者の確保方法
| 方法 | 概要 | メリット |
|---|---|---|
| 外部委託サービス | ストレスチェックサービスの実施者を活用 | 準備が簡単、専門性が高い |
| 嘱託産業医 | 任意で産業医を選任し実施者とする | 継続的な支援が可能 |
| 地域の医師 | 産業保健に理解のある医師に依頼 | 地域密着型の対応 |
実施事務従事者の選任
- 人事権を持たない者を選任(人事考課に関与しない総務担当者など)
- 外部委託サービスに一括で依頼することも可能
手順2: 実施計画を策定する
以下の項目を決定する。
- 実施時期(健康診断と同時期が効率的)
- 使用する調査票(57項目版が基本)
- 高ストレス者の選定基準(厚労省の標準基準を推奨)
- 結果の保存方法
50人未満の事業場には衛生委員会の設置義務がないが、従業員への説明会等を通じて周知・合意形成を行うことが望ましい。
手順3: 従業員への周知を行う
小規模事業場では、経営者から直接説明することで理解を得やすい。以下の点を必ず伝える。
- 結果は本人のみに通知され、本人の同意なく事業者には開示されないこと
- 不利益取扱いは禁止されていること
- 面接指導を申し出ても不利益を受けないこと
手順4: ストレスチェックを実施する
実施方法の選択
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Web回答 | スマホ対応、自動集計、リマインド自動化 | インターネット環境が必要 |
| 紙回答 | インターネット環境不要 | 配布・回収・入力の手間 |
小規模事業場では、Web対応のクラウドサービスを活用することで、少ない人数でも効率的に実施できる。
手順5: 結果通知と面接指導を行う
- 実施者から本人へ結果を通知
- 高ストレス者には面接指導の案内
- 面接指導を希望する従業員には医師による面接を実施
面接指導の実施方法
| 方法 | 費用 |
|---|---|
| 地域産業保健センター | 無料 |
| 外部委託サービス | 有料(サービスによる) |
| 嘱託産業医 | 契約内容による |
手順6: 記録を保存する
- 保存期間: 5年間
- 保存対象: 個人ごとのストレスチェック結果、面接指導結果記録
- 保存責任者: 実施事務従事者または事業者
手順7: 労基署への報告(50人以上になった場合)
50人未満の事業場は現行制度では労基署への報告義務はない。ただし、義務化後の報告義務については政令・省令で確定する予定。
小規模事業場ならではの実施ポイント
個人特定リスクへの配慮
小規模事業場では、少人数ゆえに個人が特定されやすいという課題がある。
対策
| 課題 | 対策 |
|---|---|
| 集団分析で個人が特定される | 10人未満の部署は集団分析を行わない、または複数部署を統合して分析 |
| 回答内容から個人が推測される | 結果は本人のみに通知、事業者への開示は本人同意が必要であることを周知 |
| 高ストレス者であることが知られる | 面接指導の申出は本人から直接実施者へ行う仕組みを構築 |
経営者自身も受検する
小規模事業場では、経営者自身がストレスチェックを受検することで、従業員の受検率向上につながる。「経営者も一緒に受ける」というメッセージは、制度への信頼感を高める効果がある。
結果を職場改善に活かす
集団分析結果を活用して、具体的な職場環境改善につなげることが重要。
改善例
| 課題 | 改善策 |
|---|---|
| 仕事の量的負担が高い | 業務の棚卸し、優先順位の見直し |
| 上司の支援が低い | 定期的な1on1の実施、コミュニケーション機会の増加 |
| 同僚の支援が低い | チームミーティングの活性化、情報共有の仕組み構築 |
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ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 努力義務 | 法的な強制力はないが、実施することが望ましいとされる義務 |
| 地域産業保健センター | 50人未満の事業場向けに無料で産業保健サービスを提供する機関(全国約350か所) |
| 産業保健総合支援センター | 各都道府県に1か所設置され、産業保健に関する支援を行う機関 |
| 実施者 | ストレスチェックを実施する医師・保健師等の有資格者 |
| 実施事務従事者 | 実施者を補佐し、調査票の配布・回収等を行う者(人事権を持たない者に限る) |
| 高ストレス者 | ストレスチェック結果で一定の基準を超えた従業員 |
| 面接指導 | 高ストレス者の申出に基づき医師が行う面談・助言 |
MentalMapで小規模事業場のストレスチェックを効率化
MentalMapは、50人未満の小規模事業場でも導入しやすいストレスチェックサービスを提供している。
小規模事業場に選ばれる理由
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 基本料金0円 | 初期費用・月額費用なし、使った分だけの従量課金 |
| 1回答500円 | 小規模でも費用を抑えて実施可能 |
| 最低課金人数なし | 1人から利用可能 |
| 厚労省推奨調査票対応 | 57項目・80項目・120項目・141項目に対応 |
| オンライン完結 | PC・スマートフォンから回答可能 |
| 自動リマインド | 未回答者への督促を自動化 |
| 多言語対応 | 12言語に対応(追加料金なし) |
| 面接指導記録機能 | 厚労省様式準拠の記録を作成可能 |
地域産業保健センターとの併用がおすすめ
MentalMapでストレスチェックを実施し、高ストレス者への面接指導は地域産業保健センター(無料)を活用する組み合わせで、コストを最小限に抑えた運用が可能。
参考文献・出典
よくある質問
A. 現時点では努力義務ですが、2025年5月公布の改正労働安全衛生法により、2028年5月14日までに義務化されることが決まっています。早めの準備をおすすめします。
A. 実施できます。外部のストレスチェックサービスを利用することで、実施者要件を満たした体制で運用可能です。高ストレス者への面接指導は、地域産業保健センターで無料で受けられます。
A. 50人未満の事業場向けに、健康相談、ストレスチェック結果に基づく面接指導、長時間労働者への面接指導、個別訪問による産業保健指導などを原則無料で提供しています。全国約350か所に設置されています。
A. 地域産業保健センターの面接指導は無料です。クラウドサービスの利用料は300〜800円/人程度が相場です。MentalMapは基本料金0円、1回答500円の従量課金制で、小規模でも費用を抑えて導入できます。
A. 集団分析は努力義務であり必須ではありませんが、職場環境改善に活用することが推奨されています。ただし、10人未満の単位では個人が特定されるリスクがあるため、複数部署を統合するなどの配慮が必要です。