ストレスチェック実施規程の作り方|社内規程のひな形と記載事項
ストレスチェック実施規程の作成方法を解説。衛生委員会で審議すべき11項目、規程に盛り込むべき記載事項、厚労省ひな形の活用方法、作成手順を網羅。規程の届出は不要で形式も自由。全社共通規程を使う場合の注意点も。【2025年法改正で50人未満も義務化】

結論(2行で分かる) ストレスチェック実施規程は、衛生委員会で11の審議事項を決定し、文書化したもの。厚生労働省がひな形(実施規程例)を公開しており、穴埋め形式で作成できる。
この記事の対象読者
- ストレスチェックの社内規程を作成する人事・総務担当者
- 衛生委員会で審議事項を取りまとめる衛生管理者
- 制度導入にあたり規程整備を進める事業場責任者
ポイント(5つ)
- 実施規程は衛生委員会での調査審議を経て策定する
- 審議すべき事項は指針で11項目が定められている
- 規程の形式は自由(就業規則への届出は不要)
- 厚労省の「実施規程例」をベースに作成できる
- 規程は実施前に労働者へ周知する必要がある
よくある誤解3つ
- 誤解1: 実施規程は就業規則として届け出が必要 → 届出不要、形式も自由
- 誤解2: 全社共通の規程があれば各事業場の審議は不要 → 各事業場の衛生委員会で確認・周知が必要
- 誤解3: 規程は一度作れば変更不要 → 毎年の実施後に見直し・改善を審議
根拠: 労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生規則第52条の9〜21、厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」
【2025年法改正】50人未満の事業場も義務化へ
2025年5月14日、労働安全衛生法の一部改正が公布されました。これにより、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることになりました。施行日は公布から3年以内(遅くとも2028年5月まで)に政令で定められます。
50人未満の事業場でも、規程の整備を含めた準備を計画的に進めることが推奨されます。
数字・用語 早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審議すべき事項 | 11項目(指針で規定) |
| 審議の場 | 衛生委員会(または安全衛生委員会) |
| 規程の届出 | 不要(就業規則に該当しない) |
| 規程の形式 | 自由(文書化されていれば可) |
| 周知の対象 | 全労働者(実施前に周知) |
| 議事録保存期間 | 3年間 |
| ひな形 | 厚労省「ストレスチェック制度実施規程例」 |
ストレスチェック実施規程とは何か?
実施規程の位置づけ
ストレスチェック実施規程とは、事業場におけるストレスチェック制度の運用ルールを文書化したものです。
厚生労働省の指針では、事業者は衛生委員会等での調査審議の結果を踏まえ、法令に則った上で、当該事業場におけるストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、これをあらかじめ労働者に対して周知することとされています。
規程の形式は自由
実施規程は、特に形式を問いません。何らかの形で文書化されていれば問題ありません。就業規則に該当するものでもないため、労働基準監督署への届出も不要です。
(参照: こころの耳「ストレスチェック制度関係Q&A」)
なぜ規程が必要なのか?
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 法令遵守 | 指針により規程の策定と周知が求められている |
| 運用の統一 | 実施方法、結果の取り扱い等を明確にする |
| 労働者の安心 | 不利益取扱い禁止、プライバシー保護を明示 |
| 継続的改善 | 毎年の見直しの基準となる |
衛生委員会で審議すべき11項目とは?
衛生委員会の役割
労働安全衛生規則第22条では、衛生委員会の付議事項として「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」が規定されています。ストレスチェック制度に関する事項は、この付議事項として審議します。
事業者は、ストレスチェックの実施前に衛生委員会で実施体制・実施方法等を審議・決定し、社内規程を定めます。また、実施後には実施状況やそれを踏まえた改善等について調査審議し、次回の実施に活かします。
審議すべき11項目
厚生労働省の指針では、衛生委員会で調査審議すべき事項として以下の11項目が挙げられています。
| No. | 審議事項 | 主な決定内容 |
|---|---|---|
| 1 | ストレスチェック制度の目的に係る周知方法 | 制度の趣旨(一次予防が目的)の周知方法 |
| 2 | ストレスチェック制度の実施体制 | 実施者・実施事務従事者・面接指導医師の選任 |
| 3 | ストレスチェック制度の実施方法 | 調査票の選定、高ストレス者の選定基準、実施時期・頻度 |
| 4 | ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析の方法 | 集団分析の実施有無、対象単位、方法 |
| 5 | ストレスチェックの受検の有無の情報の取扱い | 事業者による受検状況の把握方法 |
| 6 | ストレスチェック結果の記録の保存方法 | 保存場所、保存期間(5年間)、保存担当者 |
| 7 | ストレスチェック、面接指導及び集団分析の結果の利用目的及び利用方法 | 結果の活用範囲と方法 |
| 8 | ストレスチェック、面接指導及び集団分析に関する情報の開示、訂正、追加又は削除の方法 | 労働者からの請求への対応方法 |
| 9 | ストレスチェック、面接指導及び集団分析に関する情報の取扱いに関する苦情の処理方法 | 苦情窓口、処理手順 |
| 10 | 労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること | 受検は労働者の任意であることの周知 |
| 11 | 労働者に対する不利益な取扱いの防止 | 不利益取扱い禁止の具体的内容と周知方法 |
「高ストレス者」選定基準の決定
第3項の「実施方法」には、高ストレス者の選定基準(数値基準)の決定が含まれます。各事業場の衛生委員会で調査審議の上、事業場ごとに決定する必要があります。厚労省マニュアルでは評価基準の例が示されていますが、そのまま採用するか、修正するかは事業場の判断です。
規程に盛り込むべき記載事項とは?
厚労省「実施規程例」の構成
厚生労働省が公開している「ストレスチェック制度実施規程例」は、以下のような構成になっています。
| 章 | 内容 |
|---|---|
| 第1章 総則 | 目的、適用範囲、用語の定義 |
| 第2章 ストレスチェック制度の実施体制 | 実施者、実施事務従事者、面接指導医師 |
| 第3章 ストレスチェックの実施方法等 | 実施時期、対象者、調査票、実施方法 |
| 第4章 ストレスチェックの結果の通知及び保存等 | 結果通知、記録保存、事業者への提供 |
| 第5章 集団ごとの集計・分析等 | 集団分析の方法、結果の活用 |
| 第6章 面接指導 | 申出方法、実施方法、事後措置 |
| 第7章 不利益取扱いの禁止 | 禁止事項の明示 |
| 第8章 記録の保存 | 保存期間、保存方法 |
| 第9章 情報管理 | 守秘義務、情報の取扱い |
| 第10章 苦情の申出 | 苦情窓口、処理方法 |
| 附則 | 施行日、経過措置 |
必ず盛り込むべき事項
以下の事項は、実施規程に必ず盛り込む必要があります。
1. 実施体制に関する事項
- 実施者の職名(または氏名)
- 実施事務従事者の職名(または氏名)
- 面接指導を実施する医師の職名(または氏名)
担当者の氏名は規程本文に記載しなくても、「別途通知文書を配布、または社内掲示板に掲載する等の方法により周知する」という形式でも問題ありません。人事異動等で担当者が変更になった場合は、その都度同様の方法で周知します。
2. 実施方法に関する事項
- 実施時期(毎年○月など)
- 対象者の範囲
- 使用する調査票(57項目版など)
- 高ストレス者の選定基準(数値基準)
3. 結果の取り扱いに関する事項
- 結果の通知方法
- 記録の保存方法・保存期間
- 事業者への結果提供の条件(本人同意の取得方法)
4. 面接指導に関する事項
- 申出の方法・窓口
- 実施時期(申出後おおむね1か月以内など)
- 事後措置の手順
5. 不利益取扱いの禁止
- 受検しないことを理由とした不利益取扱いの禁止
- 結果を理由とした不利益取扱いの禁止
- 面接指導の申出を理由とした不利益取扱いの禁止
6. 情報管理に関する事項
- 守秘義務
- 情報の開示・訂正・削除の手続き
- 苦情処理の窓口・手順
規程作成の手順は?
5つのステップ
| ステップ | 内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 1 | 厚労省のひな形を入手 | 実施規程例(PDF) |
| 2 | 自社の状況に合わせて修正 | 規程案 |
| 3 | 衛生委員会で審議・決定 | 議事録、決定事項 |
| 4 | 規程を最終化 | 実施規程(確定版) |
| 5 | 労働者へ周知 | 周知文書、説明会 |
ステップ1: 厚労省のひな形を入手
厚生労働省のWebサイトから「ストレスチェック制度実施規程(例)」をダウンロードします。
入手先: 厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策」ページ
穴埋め形式で作成可能
厚労省のひな形は、事業場名や実施者名などを穴埋めするだけで使えるよう配慮されています。全てを一から作成する必要はありません。
ステップ2: 自社の状況に合わせて修正
以下の点を自社の状況に合わせて修正・決定します。
| 項目 | 検討事項 |
|---|---|
| 実施時期 | 健康診断と同時期か、別時期か |
| 調査票 | 57項目版、80項目版、120項目版、141項目版のいずれか |
| 高ストレス者基準 | 厚労省マニュアルの基準をそのまま使うか、修正するか |
| 集団分析 | 実施するか、対象単位(部署・職種など) |
| 外部委託 | 委託する場合の委託先、委託範囲 |
ステップ3: 衛生委員会で審議・決定
規程案を衛生委員会に提出し、11の審議事項について調査審議します。
衛生委員会での確認ポイント:
- 実施者の意見を聴取しているか
- 産業医の意見を反映しているか
- 労働者側委員の意見を反映しているか
- 法令に則った内容になっているか
議事録の作成・保存
衛生委員会の議事については、労働安全衛生規則第23条に基づき、開催の都度議事の概要を労働者に周知し、重要なものに係る記録を3年間保存する必要があります。
ステップ4: 規程を最終化
衛生委員会での審議結果を反映し、規程を最終化します。事業者(代表者)の承認を得て、正式な規程として確定します。
ステップ5: 労働者へ周知
規程の内容を全労働者に周知します。周知方法は以下のいずれかが一般的です。
| 周知方法 | 特徴 |
|---|---|
| 社内掲示板への掲示 | 閲覧可能な状態を維持 |
| 社内イントラネットへの掲載 | 検索・閲覧が容易 |
| 文書の配布 | 全員に確実に届く |
| 説明会の開催 | 質疑応答が可能 |
全社共通の規程を作る場合の注意点は?
本社で全社共通の規程を作成する場合
複数の事業場を持つ企業では、全社共通のルールを本社で策定し、各事業場に展開するケースがあります。この場合でも、以下の点に注意が必要です。
各事業場での確認・周知が必要
全社共通のルールを全社の会議体で審議して定め、それを各事業場に展開する方法は可能ですが、各事業場の衛生委員会等において確認し、労働者に周知する必要があります。
(参照: こころの耳「ストレスチェック制度関係Q&A」)
| 本社での対応 | 各事業場での対応 |
|---|---|
| 全社共通の規程案を作成 | 衛生委員会で確認・審議 |
| 全社会議体で審議・決定 | 事業場固有の事項を決定 |
| 各事業場へ展開 | 労働者へ周知 |
事業場ごとに決める必要がある事項
以下の事項は、事業場の実情に応じて各事業場で決定する必要があります。
- 実施者・実施事務従事者の選任(具体的な担当者)
- 面接指導を実施する医師(産業医など)
- 集団分析の対象単位(部署構成が事業場ごとに異なる場合)
- 周知方法(事業場の設備・環境に応じて)
規程の見直し・改善はいつ行う?
毎年の見直しサイクル
ストレスチェック制度は毎年実施するため、規程も年1回の見直しを行うことが推奨されます。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 実施前 | 前年の課題を踏まえた規程の改訂 |
| 実施後 | 実施状況の振り返り、改善点の洗い出し |
| 衛生委員会 | 改善事項の審議・決定 |
見直しのポイント
以下の点について、毎年見直しを検討します。
| 項目 | 見直しの観点 |
|---|---|
| 受検率 | 低い場合は周知方法・実施時期の改善 |
| 高ストレス者対応 | 面接指導の申出率、対応の課題 |
| 集団分析の活用 | 職場環境改善につながっているか |
| 運用上の課題 | 担当者の負担、システムの使い勝手 |
| 法令改正 | 新たな法令・指針への対応 |
MentalMapで規程策定から運用まで支援
MentalMapは、ストレスチェック制度の規程策定から運用まで一貫してサポートするサービスです。
規程策定サポート
法令準拠の運用設計
- 厚労省基準に完全準拠した高ストレス者判定
- 実施者・実施事務従事者の権限分離機能
- 人事権を有する者のアクセス制限機能
調査票の選択
- 57項目・80項目・120項目・141項目に対応
- 衛生委員会での審議に基づく選定が可能
運用効率化
自動化機能
- 受検案内・リマインドメールの自動送信
- 高ストレス者の自動判定
- 集団分析レポートの自動生成
- 労基署報告書(様式第6号の2)の自動出力
記録管理
- 結果の5年間保存に対応
- 全操作履歴の監査ログ
- 本人同意管理機能
多言語対応
- 12言語に対応(追加料金なし)
- 外国人労働者も受検可能
料金体系
- 基本料金0円、ストレスチェック500円/回答
ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 実施規程 | ストレスチェック制度の事業場内ルールを文書化したもの |
| 衛生委員会 | 労働者の健康障害防止等を調査審議する委員会(50人以上の事業場で設置義務) |
| 実施者 | ストレスチェックを企画・評価する有資格者(医師・保健師等) |
| 実施事務従事者 | 実施者の指示のもと事務を行う者(人事権を有する者は不可) |
| 高ストレス者 | ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者 |
| 集団分析 | 部署・職種単位でストレスチェック結果を集計・分析すること |
| 面接指導 | 高ストレス者が希望した場合に医師が行う面談 |
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参考文献・出典
よくある質問
A. 届出は不要です。実施規程は就業規則に該当しないため、労働基準監督署への届出は必要ありません。形式も自由で、何らかの形で文書化されていれば問題ありません。
A. 使えますが、各事業場の衛生委員会で確認し、労働者に周知する必要があります。全社共通のルールを本社で策定・展開する方法は可能ですが、各事業場での確認プロセスは省略できません。
A. 厚生労働省の指針では11項目が定められています。目的の周知方法、実施体制、実施方法、集団分析の方法、受検有無の情報取扱い、記録保存方法、結果の利用目的、情報の開示等の方法、苦情処理方法、受検の任意性、不利益取扱いの防止です。
A. 職名等で特定可能であれば、氏名の記載は必須ではありません。担当者の氏名は別途通知文書の配布や社内掲示板への掲載等により周知する形式でも問題ありません。
A. 厚生労働省の「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策」ページからPDF形式でダウンロードできます。穴埋め形式で作成できるよう配慮されています。
A. 2025年5月14日に労働安全衛生法の改正が公布され、50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されることになりました。施行日は公布から3年以内(遅くとも2028年5月まで)に政令で定められます。今から規程整備を含めた準備を計画的に進めることが推奨されます。