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実施手順・運用|

メンタルヘルス推進担当者の役割|事業場内産業保健スタッフによるケア

メンタルヘルス推進担当者は、厚労省指針に基づき事業場のメンタルヘルスケア推進実務を担当する者。産業医の助言のもと心の健康づくり計画の策定・実行、教育研修の企画、相談窓口としての調整役を担う。衛生管理者や人事労務管理スタッフから選任され、4つのケアが効果的に機能するよう連携を図る。

メンタルヘルス推進担当者の役割|事業場内産業保健スタッフによるケア

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ メンタルヘルス推進担当者とは、厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき、事業場のメンタルヘルスケアの推進実務を担当する者である。産業医等の助言・指導のもと、心の健康づくり計画の策定・実行、教育研修の企画、相談窓口としての役割を担い、4つのケアが効果的に機能するよう調整する。

この記事の対象読者

  • メンタルヘルス推進担当者に選任された衛生管理者・人事担当者
  • 事業場内のメンタルヘルス体制を構築しようとしている総務担当者
  • 産業医・保健師と連携しながらメンタルヘルス対策を進めたい方

ポイント(5つ)​

  1. メンタルヘルス推進担当者は衛生管理者や常勤の保健師等から選任することが望ましい
  2. 教育や相談を直接担当するのではなく、メンタルヘルス対策がスムーズに推進されるよう調整する役割
  3. 心の健康づくり計画の策定・実行・評価の実務を担う
  4. 産業医・保健師・衛生管理者と連携して4つのケアを推進する
  5. 50人未満の事業場では人事労務管理スタッフが担当することも可能

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 推進担当者が全ての相談対応をする → 実際は調整役であり、専門的な相談は産業医等につなぐ
  • 誤解2: 医療資格がないとなれない → 衛生管理者や人事労務担当者でも選任可能
  • 誤解3: 50人未満の事業場では不要 → 全ての事業場で選任が望ましいとされている

根拠: 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月策定、平成27年11月改正)

メンタルヘルス推進担当者 早見表

項目内容
正式名称事業場内メンタルヘルス推進担当者
法的根拠労働者の心の健康の保持増進のための指針
選任対象衛生管理者、常勤の保健師等(人事労務管理スタッフも可)
主な役割心の健康づくり計画の推進実務、調整機能
位置づけ事業場内産業保健スタッフ等の一員
産業医との関係産業医等の助言・指導を受けながら実務を担当

事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは

4つのケアにおける位置づけ

厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、メンタルヘルスケアを「4つのケア」で推進することが示されています。

ケア主体主な役割
セルフケア労働者自身ストレスへの気付き、予防対処
ラインによるケア管理監督者職場環境改善、部下の相談対応
事業場内産業保健スタッフ等によるケア産業医・保健師・衛生管理者等専門的支援、計画策定、調整
事業場外資源によるケア外部専門機関専門的サービス提供

事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、​セルフケアとラインによるケアが効果的に実施されるよう支援するとともに、心の健康づくり計画の実施において中心的な役割を担います。

事業場内産業保健スタッフ等の構成

スタッフ主な役割
産業医健康管理全般の統括、面接指導、意見具申、専門的助言
保健師・看護師健康相談、保健指導、健康教育、個別支援
衛生管理者職場巡視、衛生委員会運営、労働者への情報提供
心の健康づくり専門スタッフ心理職等による専門的支援(配置している場合)
人事労務管理スタッフ制度運用、職場復帰支援の調整、労務管理
メンタルヘルス推進担当者メンタルヘルスケア推進の実務・調整

事業場内産業保健スタッフ等は、心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を果たします。

事業場内産業保健スタッフの具体的業務

厚生労働省「こころの耳」のeラーニング「15分でわかる事業場内産業保健スタッフ等によるケア」では、以下の業務が示されています。

業務領域内容
職場状況把握メンタルヘルス対策の実施状況の確認・評価
組織対応職場組織としてのメンタルヘルス対策の実施
個人相談労働者からの相談対応、専門機関への橋渡し
職場復帰支援休職者の復職プロセスへの支援
専門知識国のメンタルヘルスケア推進施策の理解・活用

メンタルヘルス推進担当者とは

指針における定義

厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、メンタルヘルス推進担当者(事業場内メンタルヘルス推進担当者)を以下のように定義しています。

産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する者

メンタルヘルス推進担当者には、教育や相談そのものを直接担当することまでは求められていません。事業場内で行われるメンタルヘルス対策がスムーズに推進されるよう調整する機能を果たすことが求められています。

選任の位置づけ

指針では、事業場内産業保健スタッフ等の中からメンタルヘルス推進担当者を選任するよう努めることとされています。

事業場規模推奨される選任者
50人以上衛生管理者、常勤の保健師等
50人未満人事労務管理スタッフでも可

全ての事業場で選任されることが望ましいとされています。50人未満の事業場や、保健師・看護師等が不在の事業場では、人事労務管理スタッフをメンタルヘルス推進担当者に充てることも想定されています。


メンタルヘルス推進担当者の4つの役割

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」では、メンタルヘルス推進担当者の主な役割として以下の4点が示されています。

1. 心の健康づくり計画の策定・推進

業務内容
計画策定衛生委員会での審議を経て心の健康づくり計画を策定
労働者への周知計画内容を全従業員に周知する
実行状況の把握計画に基づく取り組みの進捗を管理する
評価・見直し実施状況を評価し、計画を見直す

2. 教育研修の企画・実施支援

対象研修内容
労働者向けセルフケアに関する教育(ストレスへの気付き、対処法)
管理監督者向けラインによるケアに関する教育(部下の変化への気付き、相談対応)

メンタルヘルス推進担当者が研修を直接実施する必要はありません。研修の計画・立案・実施調整・評価の実務を担当します。研修の講師は産業医や外部専門家に依頼することが一般的です。

3. 相談窓口としての役割

役割内容
窓口の設置事業場内のメンタルヘルスに関する相談窓口を整備
一次対応相談を受け付け、適切な対応先に振り分ける
専門家への橋渡し必要に応じて産業医・保健師・外部専門機関につなぐ

メンタルヘルス推進担当者が専門的なカウンセリングや医療的判断を行うことは想定されていません。相談内容に応じて、適切な専門家につなぐ調整役としての機能が重要です。

4. 事業場外資源との連携

連携先活用場面
産業保健総合支援センター研修、相談、情報提供(無料)
地域産業保健センター50人未満事業場向け支援(無料)
EAP機関カウンセリング、復職支援
医療機関診断・治療、リワークプログラム

産業医・保健師との連携

産業医との連携

メンタルヘルス推進担当者は、産業医等の助言、指導等を得ながら実務を担当します。

連携場面産業医の役割推進担当者の役割
心の健康づくり計画策定専門的見地からの助言計画書の作成、衛生委員会での説明
ストレスチェック実施者としての判定、面接指導実施スケジュール調整、受検勧奨
高ストレス者対応面接指導の実施、意見書作成面接指導の日程調整、フォローアップ
職場復帰支援復職可否の判断、就業上の配慮に関する意見復職支援プログラムの調整、関係者との連絡

保健師・看護師との連携

連携場面保健師等の役割推進担当者の役割
健康相談個別相談対応、保健指導相談窓口の周知、相談者の振り分け
健康教育セルフケア研修の講師研修の企画調整、参加者管理
ストレスチェック実施者または共同実施者事務手続き、結果の保存管理

衛生管理者との連携(兼務の場合も多い)

連携場面衛生管理者の役割推進担当者の役割
衛生委員会委員会の運営、議題提案メンタルヘルスに関する議題の準備
職場巡視職場環境の確認、改善提案メンタルヘルスの視点での情報収集
労働者への情報提供衛生に関する情報の周知メンタルヘルスに関する情報の周知

衛生管理者がメンタルヘルス推進担当者を兼務するケースが多くあります。この場合、両方の役割を意識しながら業務を遂行することで、効率的なメンタルヘルス対策が可能になります。


ストレスチェック制度における役割

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法に基づき、50人以上の事業場で年1回の実施が義務付けられています。メンタルヘルス推進担当者は、この制度の円滑な運用において重要な役割を担います。

ストレスチェック制度における役割分担

役割担当者主な業務
実施者産業医・保健師等結果の評価、高ストレス者の選定
実施事務従事者衛生管理者・人事担当者等調査票配布・回収、データ入力
推進担当者衛生管理者等実施計画の策定、関係者との調整
事業者経営層・人事部門制度の決定、結果に基づく措置

メンタルヘルス推進担当者の具体的業務

実施前

  • 実施計画の策定、衛生委員会での審議
  • 実施者・実施事務従事者の選任調整
  • 調査票の選定、高ストレス者の選定基準の検討
  • 労働者への事前周知

実施中

  • 受検勧奨、回答状況の確認
  • 問い合わせ対応、トラブル対応

実施後

  • 集団分析結果の取りまとめ
  • 衛生委員会への報告、職場環境改善の調整
  • 労働基準監督署への報告書提出
  • 次年度に向けた改善点の整理

ストレスチェック制度は、メンタルヘルス推進担当者にとって4つのケアを推進するための重要なツールです。個人結果はセルフケアに、集団分析結果はラインによるケアと事業場内産業保健スタッフ等によるケアに活用できます。


心の健康づくり計画の策定

心の健康づくり計画とは

事業者は、メンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定する必要があります。メンタルヘルス推進担当者は、この計画の策定・実行の実務を担当します。

計画に盛り込むべき事項

厚生労働省指針では、以下の事項を盛り込むこととされています。

事項内容
1. 事業者の表明メンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
2. 体制の整備事業場における心の健康づくりの体制の整備
3. 問題点の把握と実施事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施
4. 人材確保と外部活用必要な人材の確保及び事業場外資源の活用
5. 健康情報の保護労働者の健康情報の保護
6. 評価と見直し計画の実施状況の評価及び計画の見直し
7. ストレスチェック制度ストレスチェック制度の実施方法等に関する規程

計画策定のプロセス

ステップ1: 現状把握

  • ストレスチェックの集団分析結果の確認
  • 長時間労働の状況、休職者数の推移
  • 過去のメンタルヘルス対策の実施状況

ステップ2: 課題の特定

  • 高ストレス部署の特定
  • 教育研修の実施状況
  • 相談体制の整備状況

ステップ3: 目標設定

  • 数値目標(受検率、高ストレス者割合等)
  • 実施項目の設定

ステップ4: 計画策定

  • 衛生委員会での審議
  • 計画書の作成

ステップ5: 実行・評価

  • 計画に基づく実施
  • 定期的な進捗確認
  • 年度末の評価と次年度計画への反映

計画は毎年見直しを行い、PDCAサイクルを回すことが重要です。ストレスチェックの集団分析結果を活用し、前年との比較で改善効果を検証しましょう。


メンタルヘルス推進担当者に求められる知識・スキル

習得すべき知識

分野内容
法令・指針労働安全衛生法、心の健康の保持増進のための指針
メンタルヘルス基礎ストレスの基礎知識、4つのケアの理解
ストレスチェック制度制度の仕組み、実施方法、集団分析の活用
職場復帰支援復職支援の流れ、関係者との連携
個人情報保護健康情報の取り扱い、守秘義務

活用できる研修・リソース

厚生労働省「こころの耳」では、無料で利用できる研修コンテンツが提供されています。

コンテンツ内容時間
15分でわかるセルフケアセルフケアの基本約15分
15分でわかるラインによるケア管理監督者向けケア約15分
15分でわかる事業場内産業保健スタッフ等によるケア産業保健スタッフの役割約15分
15分でわかる法に基づくストレスチェック制度制度の概要約15分
こころの耳5分研修シリーズ短時間の動画研修各3-5分

産業保健総合支援センターでは、事業者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者向けの研修を無料で開催しています。各都道府県に設置されていますので、積極的に活用しましょう。


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ミニ用語集

用語意味
メンタルヘルス推進担当者産業医等の助言のもと、事業場のメンタルヘルスケア推進の実務を担当する者
事業場内産業保健スタッフ等産業医、保健師、衛生管理者、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等
心の健康づくり計画メンタルヘルスケアを推進するための事業場の計画
4つのケアセルフケア、ラインケア、事業場内スタッフによるケア、事業場外資源によるケア
衛生委員会労使の代表で構成される、労働者の健康障害防止等を審議する委員会
産業保健総合支援センター各都道府県に設置された産業保健の支援機関(無料相談・研修)

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心の健康づくり計画の推進を支援

  • ストレスチェック結果の集団分析で現状把握
  • 経年比較で改善効果を可視化
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産業医・保健師との連携をスムーズに

  • 実施者・実施事務従事者の権限分離
  • 高ストレス者の自動判定と面接指導勧奨
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運用負荷を大幅軽減

  • 受検案内・リマインドメールの自動送信
  • 回答状況のリアルタイム確認
  • 労基署報告書(様式第6号の2)の自動作成

全従業員が使いやすいシステム

  • スマートフォン・PC両対応
  • 12カ国語対応で外国人従業員も受検可能(追加料金なし)
  • 直感的な操作で迷わない設計

よくある質問

A. 特別な資格は必要ありません。指針では衛生管理者や常勤の保健師等から選任することが望ましいとされていますが、50人未満の事業場や保健師等が不在の場合は、人事労務管理スタッフが担当することも想定されています。

A. いいえ。推進担当者には、教育や相談そのものを直接担当することまでは求められていません。メンタルヘルス対策がスムーズに推進されるよう調整する機能を果たすことが重要であり、専門的な相談は産業医や保健師、外部専門機関につなぐ役割を担います。

A. 同一人物が兼務することは可能であり、実際に多くの事業場で衛生管理者がメンタルヘルス推進担当者を兼務しています。衛生管理者は労働者の健康管理に関する知識があり、衛生委員会の運営にも携わるため、推進担当者としても適任といえます。

A. 全ての事業場で選任されることが望ましいとされています。50人未満の事業場では衛生管理者や産業医の選任義務がないため、人事労務管理スタッフをメンタルヘルス推進担当者に充てることが想定されています。地域産業保健センターの支援を活用することも有効です。

A. 厚生労働省「こころの耳」のサイトで無料のeラーニングが提供されています。また、各都道府県の産業保健総合支援センターでも無料の研修が実施されています。中央労働災害防止協会でも事業場内メンタルヘルス推進担当者養成研修を開催しています。

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