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パワハラ防止法とストレスチェック|80項目調査票のハラスメント設問を解説

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)は2022年4月から全企業に適用。80項目版ストレスチェックにはハラスメント設問が含まれ、集団分析でリスクの高い部署を特定可能。パワハラの定義・3要件・6類型、事業主の措置義務、ストレスチェックとの連携方法を解説。

パワハラ防止法とストレスチェック|80項目調査票のハラスメント設問を解説

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ パワハラ防止法(労働施策総合推進法)により全企業にパワハラ防止措置が義務化。ストレスチェック80項目版では「職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」という設問でハラスメントリスクを数値化できる。

この記事の対象読者

  • パワハラ防止対策とストレスチェックを連携させたい人事担当者
  • 80項目版調査票の導入を検討している事業場
  • ハラスメント対策の実効性を高めたい産業保健スタッフ

ポイント(5つ)​

  1. パワハラ防止法は2022年4月から全企業に適用
  2. パワハラは「優越的関係」「業務上必要な範囲を超える」「就業環境を害する」の3要件で定義
  3. 80項目版調査票にはハラスメント関連設問が含まれる
  4. 集団分析でハラスメントリスクの高い部署を特定可能
  5. ストレスチェックとパワハラ防止対策を連携させると効果的

よくある誤解3つ

  • 誤解1: パワハラ防止法に違反しても罰則はない → 是正勧告、企業名公表のリスクあり
  • 誤解2: 57項目版でもハラスメントが分かる → ハラスメント設問は80項目版以上
  • 誤解3: 相談窓口を設置すれば対策完了 → 周知・研修・事実確認体制も必要

根拠: 労働施策総合推進法第30条の2、厚生労働省告示第5号(パワハラ防止指針)

数字・要件 早見表

項目内容
パワハラ防止法 施行日大企業:2020年6月1日、中小企業:2022年4月1日
パワハラの3要件優越的関係・業務上必要な範囲超過・就業環境を害する
パワハラの6類型身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害
ハラスメント設問がある調査票80項目版・120項目版
措置義務違反是正指導→助言→勧告→企業名公表

パワハラ防止法とは何か?

法律の正式名称と経緯

パワハラ防止法とは、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働施策総合推進法)の通称です。

2019年5月の法改正により、事業主に対してパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられました。

施行日対象
2020年6月1日大企業
2022年4月1日中小企業(全企業に適用)

パワハラの定義(3要件)

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものをいいます。

要件内容
①優越的な関係を背景とした言動労働者が抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係での言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動社会通念に照らし、業務上の必要性がない、または態様が相当でないもの
③労働者の就業環境が害される身体的・精神的に苦痛を与えられ、就業に重大な支障が生じること

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワーハラスメントには該当しません。

パワハラの6類型とは?

厚生労働省は、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、パワハラの典型例として6つの類型を示しています。

類型具体例
①身体的な攻撃暴行・傷害(殴る、蹴る、物を投げつける)
②精神的な攻撃脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(人格否定、長時間の叱責)
③人間関係からの切り離し隔離・仲間外し・無視(別室に隔離、挨拶を無視)
④過大な要求業務上明らかに不要または遂行不可能なことの強制
⑤過小な要求能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない
⑥個の侵害私的なことに過度に立ち入る(プライベートへの詮索)

上記は典型例であり、これらに該当しない言動でもパワハラに該当する場合があります。個別の事案ごとに3要件を満たすか判断する必要があります。

事業主の措置義務とは?

4つの措置義務

パワハラ防止法により、事業主は以下の措置を講じることが義務づけられています。

措置内容
①方針の明確化と周知・啓発パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知する
②相談体制の整備相談窓口を設置し、相談に対応できる体制を整備する
③事後の迅速かつ適切な対応事実確認、被害者への配慮措置、行為者への措置、再発防止策
④プライバシー保護と不利益取扱い禁止相談者・行為者のプライバシー保護、相談を理由とした不利益取扱いの禁止

措置義務違反のリスク

パワハラ防止法には直接の罰則規定はありませんが、措置を講じない事業主には以下の行政指導プロセスがあります。

段階内容
1. 助言・指導都道府県労働局から改善を求められる
2. 勧告改善されない場合、是正勧告が出される
3. 企業名公表勧告に従わない場合、企業名が公表される

2024年までに42社の企業名が公表されており、株価下落や採用難を招いたケースも報告されています。

ストレスチェックとの関係は?

なぜストレスチェックでハラスメントを把握するのか

パワハラは被害者が声を上げにくい問題です。ストレスチェックの匿名性を活用することで、相談窓口だけでは把握できない実態を数値化できます。

ストレスチェックでハラスメントを把握するメリット:

  • 匿名で回答できるため、被害を報告しやすい
  • 集団分析により、リスクの高い部署を特定できる
  • 経年比較により、対策の効果を測定できる
  • 従業員全体の傾向を把握できる

調査票の種類とハラスメント設問

調査票ハラスメント設問特徴
23項目版なし高ストレス者判定のみ
57項目版なし厚労省推奨の標準版
80項目版ありハラスメント・ワークエンゲージメントを測定可能
120項目版ありより詳細な分析が可能

パワハラ防止法の施行に伴い、80項目版を導入する企業が増加しています。57項目版から80項目版への移行を検討する価値があります。

80項目版調査票の特徴は?

57項目版との違い

80項目版は、57項目版に23項目を追加した「新職業性ストレス簡易調査票」です。以下の項目を追加で測定できます。

追加される尺度測定内容
ワークエンゲージメント仕事への積極的な関わり、働きがい
ハラスメント職場でのいじめ・パワハラ・セクハラの有無
上司のマネジメント上司のリーダーシップ、公正さ
人事評価の公正さ評価・処遇への納得感
経営層との関係経営方針への信頼
職場の一体感職場の協力体制

ハラスメント関連の設問

80項目版には「職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)​」という設問が含まれています。

この設問でわかること:

  • ハラスメントを受けていると感じている従業員の割合
  • 部署ごとのハラスメントリスクの違い
  • 経年でのハラスメント状況の変化

1つの設問だけでハラスメントの有無を断定することはできませんが、リスクの高い部署を特定し、重点的な対策を講じるための指標として活用できます。

集団分析での活用

80項目版の集団分析では、部署ごとにハラスメントリスクを可視化できます。

集団分析での確認ポイント:

観点確認内容
部署間比較ハラスメントリスクの高い部署を特定
経年比較対策前後での変化を確認
相関分析上司のマネジメント・職場の一体感との関連
他指標との比較高ストレス者率・離職率との関連

パワハラ防止対策の効果的な進め方は?

ストレスチェックと連携させるポイント

施策ストレスチェックとの連携
方針の周知ストレスチェック実施時に合わせて周知
研修の実施集団分析結果を踏まえた研修内容の設計
相談窓口の周知結果通知時に相談窓口を案内
職場環境改善集団分析結果をもとに優先順位を決定

PDCAサイクルでの改善

サイクル内容
Plan80項目版でハラスメントリスクを測定
Doリスクの高い部署を重点的に対策
Check翌年のストレスチェックで効果を確認
Act結果を踏まえて対策を見直し

2025年以降の法改正動向は?

カスタマーハラスメント対策の義務化

2025年3月には、カスタマーハラスメント(カスハラ)と就活ハラスメントを防止措置として対策が追加される動きがあります。

新たな対策義務概要
カスタマーハラスメント顧客・取引先からのハラスメントへの対策
就活ハラスメント求職者等に対するセクハラ防止措置

就活ハラスメントについては、改正案が成立すれば2026年目途での施行が予定されています。

関連記事

ミニ用語集

用語意味
パワハラ防止法労働施策総合推進法の通称。事業主にパワハラ防止措置を義務づける
3要件パワハラ該当性を判断する3つの要素(優越的関係・範囲超過・就業環境害)
6類型パワハラの典型例(身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係からの切り離し等)
80項目版ハラスメント・ワークエンゲージメントを測定できるストレスチェック調査票
新職業性ストレス簡易調査票80項目版の正式名称。57項目版に23項目を追加

MentalMapでどのようにハラスメント対策を強化できる?

MentalMapは、80項目版調査票に対応し、ハラスメントリスクを可視化できるストレスチェックサービスです。

80項目版対応

  • 57項目・80項目・120項目・141項目の調査票に対応
  • ハラスメント・ワークエンゲージメントの集団分析
  • 部署別のリスク可視化

パワハラ防止対策との連携

  • 集団分析レポートで重点対策部署を特定
  • 経年比較で対策効果を測定
  • 上司のマネジメント・職場の一体感との相関分析

多言語対応

  • 12言語対応(追加料金なし)
  • 外国人従業員も母語で回答可能

運用サポート

  • 受検案内・リマインドメールの自動送信(終了1週間前・終了前日の2回)
  • 基本料金0円、1回答500円のシンプルな料金体系

よくある質問

A. パワハラ防止法には直接の罰則規定はありませんが、措置を講じない事業主は都道府県労働局から助言・指導を受け、改善されない場合は是正勧告、さらに勧告に従わない場合は企業名が公表されます。2024年までに42社の企業名が公表されています。

A. 57項目版にはハラスメントを直接測定する設問がありません。ハラスメントを把握するには、「職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」という設問が含まれる80項目版以上の調査票が必要です。

A. はい、パワハラと認定されるには「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」「労働者の就業環境が害される」の3要件をすべて満たす必要があります。ただし、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲の指導は該当しません。

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