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実施手順・運用|

ストレスチェック実施者の要件とは?資格・役割・研修を徹底解説

ストレスチェック実施者になれる資格は医師・保健師(研修不要)、看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師(研修必要)。人事権を有する者は実施者・実施事務従事者になれない。実施者養成研修の内容、産業医が望ましい理由、外部委託時の注意点まで解説。

ストレスチェック実施者の要件とは?資格・役割・研修を徹底解説

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ ストレスチェックの実施者になれるのは、医師・保健師(研修不要)、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師に限られる。人事権を有する者は実施者・実施事務従事者になれない。

この記事の対象読者

  • ストレスチェックの実施体制を構築する人事・総務担当者
  • 実施者として従事することを検討している保健師・看護師等
  • 外部委託か自社実施かを判断したい事業場

ポイント(5つ)​

  1. 医師・保健師は研修なしで実施者になれる
  2. 看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師は研修修了が必要
  3. 人事権を有する者は実施者・実施事務従事者になれない
  4. 産業医が実施者を務めるのが望ましい
  5. 外部委託も可能(共同実施者として産業医等の関与推奨)

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 看護師なら誰でも実施者になれる → 実際は研修修了が必要
  • 誤解2: 人事部長が実施事務従事者になれる → 人事権を有する者は不可
  • 誤解3: 実施者は社内にいなければならない → 外部委託も可能

根拠: 労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生規則第52条の10


数字・要件 早見表

項目内容
実施者の資格医師・保健師・研修修了した看護師等
研修不要の資格医師、保健師
研修必要の資格看護師、精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師
実施者になれない者人事権を有する者
望ましい実施者事業場選任の産業医
研修時間約6〜8時間(1日程度)

ストレスチェック実施者とは何か?

実施者の役割は?

ストレスチェックの実施者とは、ストレスチェックを企画し、結果の評価を行う者です。具体的には以下の役割を担います1

実施者の主な役割:

  • 調査票の選定・決定への関与
  • 高ストレス者の選定基準の決定への関与
  • ストレスチェック結果の評価
  • 高ストレス者の判定
  • 面接指導の要否の判断
  • 個人結果の本人への通知

実施者は、労働者の個人情報を適切に管理し、本人の同意なく事業者に結果を提供してはなりません(労働安全衛生法第66条の10第2項)。

実施事務従事者との違いは?

項目実施者実施事務従事者
資格要件医師・保健師等の有資格者資格不要
主な役割結果の評価・判定事務作業の補助
人事権を有する者なれないなれない
産業医、保健師衛生管理者、総務担当者

実施事務従事者の主な業務:

  • 調査票の配布・回収
  • データ入力
  • 受検状況の管理
  • 結果の保存

→ 役割分担の詳細は「ストレスチェックの担当者と役割分担」をご覧ください。


実施者になれる資格は?

研修不要で実施者になれる資格

資格備考
医師産業医に限らず、すべての医師が対象
保健師産業保健師に限らず、すべての保健師が対象

医師・保健師は、特別な研修を受けなくてもストレスチェックの実施者になることができます2

研修修了で実施者になれる資格

資格研修の正式名称追加時期
看護師厚生労働大臣が定める研修制度開始時
精神保健福祉士厚生労働大臣が定める研修制度開始時
歯科医師厚生労働大臣が定める研修平成30年8月追加
公認心理師厚生労働大臣が定める研修平成30年8月追加

研修免除の経過措置があります。平成27年(2015年)11月30日までに3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師または精神保健福祉士は、研修を受けなくても実施者となることができます3。この経過措置は現在も有効です。


実施者養成研修とは?

研修の概要

項目内容
研修時間約6〜8時間(1日程度)
受講対象看護師、精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師
開催形式対面またはオンライン(Zoom等)
費用無料〜約2万円(実施機関による)

研修内容

研修では以下の内容を学びます3

カリキュラム例:

  1. 労働衛生関係法令
  2. 職場の労働衛生管理体制
  3. 産業医等産業保健スタッフの役割と職務
  4. 労働者の健康管理の基本的考え方
  5. 労働者の健康情報とその評価
  6. 労働者の健康情報の保護
  7. 事業場におけるメンタルヘルス対策の基本的考え方
  8. 労働者のメンタルヘルス不調の予防と対応
  9. 職場復帰支援
  10. 職場のストレス要因と職場環境の改善

研修実施機関

以下の機関で研修が実施されています。

機関開催形式費用
中央労働災害防止協会(JISHA)対面・オンライン有料(約1〜2万円)
産業保健総合支援センター対面無料
日本精神保健福祉士協会対面・オンライン有料
日本公認心理師協会対面・オンライン有料
民間研修機関対面・オンライン有料

産業保健総合支援センター​では、無料で研修を受講できます。各都道府県に設置されているので、まずは最寄りのセンターに問い合わせてみることをおすすめします。


人事権を有する者が実施者になれない理由は?

法令の規定

労働安全衛生規則第52条の10第2項では、「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない」と規定されています4

該当する者の例

役職実施者実施事務従事者
人事部長なれないなれない
人事課長なれないなれない
直属の上司なれないなれない
経理部長△(人事権がなければ可)△(人事権がなければ可)
衛生管理者(人事権なし)資格があれば可なれる
人事部の一般社員資格があれば可なれる

人事権を有する者が関与すると法令違反になります。労働者が安心してストレスチェックを受検できるよう、人事に関する情報と検査結果を分離する必要があります。

人事課に所属しているだけでは除外されません​。重要なのは「解雇・昇進・異動に関する直接の権限を持つ監督的地位にあるかどうか」です6


望ましい実施者は誰か?

産業医が実施者を務めるメリット

厚生労働省は「事業場の状況を日頃からよく知っている産業医等をストレスチェック実施者にすることが望ましい」としています5

産業医が実施者を務めるメリット:

  • 事業場の労働環境を熟知している
  • 労働者の健康状態を把握している
  • 面接指導にスムーズにつなげられる
  • 職場環境改善の提言ができる

産業医がいない場合の対応

50人未満の事業場など、産業医の選任義務がない場合は、以下の方法で実施者を確保します。

方法特徴
外部委託ストレスチェックサービスの実施者を利用
地域産業保健センター無料で相談・支援を受けられる
嘱託保健師保健師を個別契約で依頼

外部委託する場合の注意点は?

共同実施者の設定

外部機関に委託する場合でも、事業場の産業医等を「共同実施者」として関与させることが推奨されています6

共同実施者を設定するメリット:

  • 事業場の状況を踏まえた判定ができる
  • 面接指導への連携がスムーズ
  • 職場環境改善の提言につなげやすい

委託先選定のポイント

チェック項目確認内容
実施者の資格医師・保健師等の有資格者がいるか
個人情報管理適切なセキュリティ体制があるか
結果の取り扱い本人同意なく事業者に提供しない体制か
面接指導対応面接指導まで対応可能か

→ 外部委託時の体制構築については「ストレスチェックの担当者と役割分担」をご覧ください。


実施体制の構築チェックリスト

自社実施の場合

  • 実施者(医師・保健師等)を選任したか
  • 実施者の資格・研修修了を確認したか
  • 実施事務従事者を選任したか(人事権を持たない者)
  • 面接指導を行う医師を確保したか(産業医等)
  • 衛生委員会で実施体制を審議したか
  • 社内規程で役割分担を明文化したか
  • 守秘義務について関係者に周知したか

外部委託の場合

  • 委託先に実施者がいることを確認したか
  • 共同実施者(産業医等)を置くか検討したか
  • 委託先の個人情報管理体制を確認したか
  • 面接指導の実施方法(委託先 or 自社産業医)を決めたか
  • 結果の保存方法・保存場所を確認したか

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ミニ用語集

用語意味
実施者ストレスチェックを企画し、結果の評価を行う有資格者
実施事務従事者実施者の指示のもとで事務を行う者。人事権を有する者は就任不可
共同実施者外部委託時に事業場側から参加する実施者
人事権解雇、昇進、異動に関する直接の決定権限
産業保健総合支援センター​各都道府県に設置された産業保健の相談・支援機関
地域産業保健センター​50人未満事業場向けの無料支援機関

脚注


MentalMapでストレスチェックを効率化

MentalMapは、実施者要件を満たした体制でストレスチェックを実施できるサービスです。

実施体制の柔軟性

  • 貴社の産業医・保健師を実施者として登録可能
  • 外部委託での実施にも対応
  • 実施者・実施事務従事者の権限分離機能

法令対応

  • 厚生労働省基準に準拠した高ストレス者判定
  • 人事権を有する者のアクセス制限機能
  • 全操作履歴の監査ログ

運用支援

  • 57項目・80項目・120項目・141項目の調査票に対応
  • 受検案内・リマインドメールの自動送信(終了1週間前・終了前日の2回)
  • 労基署報告書(様式第6号の2)の自動出力

料金体系

  • 基本料金0円、ストレスチェック500円/回答
  • 12カ国語に対応(追加料金なし)

Footnotes

  1. 厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和3年2月改訂)p.22-23

  2. 労働安全衛生規則第52条の10第1項第1号・第2号

  3. 厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A」Q4-5

  4. 労働安全衛生規則第52条の10第2項

  5. 厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

  6. 厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和3年2月改訂)p.32

よくある質問

A. 厚生労働大臣が定める研修を修了すれば実施者になれます。ただし、平成27年(2015年)11月30日までに3年以上労働者の健康管理業務に従事した経験がある看護師は、研修免除の経過措置があります。この経過措置は現在も有効です。

A. なれません。労働安全衛生規則により、人事権を有する者(解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ者)は、実施者にも実施事務従事者にもなれません。ただし、人事課に所属しているだけでは除外されず、人事権を持たない一般社員は就任可能です。

A. 中央労働災害防止協会(JISHA)、産業保健総合支援センター(無料)、日本精神保健福祉士協会、日本公認心理師協会、民間研修機関などで受講できます。オンライン開催もあり、研修時間は約6〜8時間(1日程度)です。

A. 実施者は医師・保健師等の有資格者で、結果の評価・高ストレス者の選定を行います。実施事務従事者は資格不要で、実施者の指示のもと調査票の回収・データ入力・結果通知などの事務を担当します。どちらも人事権を持つ者は就任できません。

A. 法的には外部委託のみでも実施可能ですが、事業場の産業医等を「共同実施者」として関与させることが推奨されています。職場の状況を踏まえた判定や、面接指導への連携がスムーズになるためです。

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