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実施手順・運用|

ストレスチェックの担当者と役割分担|誰が何をできる?一覧表で解説

ストレスチェック制度の4種類のキーパーソン(事業者・実施者・実施事務従事者・面接指導医師)の役割と権限を一覧表で解説。人事権を持つ者は個人結果にアクセス不可という最重要ルールから、「実施の事務」と「その他の事務」の区別、情報アクセス権限マトリクスまで網羅。

ストレスチェックの担当者と役割分担|誰が何をできる?一覧表で解説

この記事のまとめ

結論(2行で分かる)​ ストレスチェック制度には4種類のキーパーソン​(事業者・実施者・実施事務従事者・面接指導医師)がおり、それぞれ「できること」「できないこと」が法令で明確に定められている。​人事権を持つ者は個人結果にアクセスできないことが最重要ルール。

この記事の対象読者

  • ストレスチェックの実施体制を構築する人事・総務担当者
  • 「誰が何をできるか」を正確に把握したい衛生管理者
  • 外部委託か自社実施かを判断するために役割分担を理解したい方

ポイント(5つ)​

  1. 事業者: 制度全体を統括するが、個人結果には本人同意なしでアクセス不可
  2. 実施者: 医師・保健師等の有資格者。結果の評価・高ストレス者選定を行う
  3. 実施事務従事者: 実施者の指示で事務を担当。人事権を持つ者は就任不可
  4. 面接指導医師: 高ストレス者の面談を実施。産業医が望ましい
  5. 全員に守秘義務あり。違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

よくある誤解3つ

  • 誤解1: 人事部員は全員ストレスチェックに関われない → 人事権を持たなければ実施事務従事者になれる
  • 誤解2: 産業医だけが実施者になれる → 保健師や研修修了した看護師等も可能
  • 誤解3: 外部委託すれば社内の誰も関与不要 → 共同実施者として産業医等の関与が望ましい

根拠: 労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生規則第52条の9〜21、厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」


4種類のキーパーソン 早見表

役割担当者例人事権個人結果へのアクセス
事業者経営者、人事部門あり本人同意後のみ
実施者産業医、保健師不可可能(職務上必要な範囲)
実施事務従事者衛生管理者、総務担当不可可能(事務処理に必要な範囲)
面接指導医師産業医、専門医不可可能(面談実施に必要な範囲)

事業者の役割とは?何ができて何ができない?

事業者ができること

事業者(経営者・人事部門)は、ストレスチェック制度の全体統括を担う。

できること具体的内容
基本方針の決定実施時期、対象者範囲、使用する調査票の決定
実施計画の策定衛生委員会での審議、社内規程の整備
外部委託の契約委託先との契約締結、費用負担
実施日程の調整実施者との連絡調整、従業員への周知
調査票の配布受検案内の送付(内容は見ない)
未受検者への勧奨受検率向上のための働きかけ
労基署への報告様式第6号の2の提出
就業上の措置面接指導後の医師意見に基づく措置の実施

事業者ができないこと

できないこと理由
本人同意なしでの結果閲覧労働安全衛生法第66条の10第2項で禁止
高ストレス者の選定実施者の専権事項
結果を理由とした不利益取扱い解雇・降格・配置転換等は法令で禁止

重要: 事業者は制度を統括しますが、​個人の検査結果は本人の同意がなければ見ることができません​。これはストレスチェック制度の根幹をなすルールです。


実施者の役割とは?誰がなれる?

実施者になれる資格

資格研修の要否
医師不要
保健師不要
看護師厚生労働大臣指定研修の修了が必要
精神保健福祉士厚生労働大臣指定研修の修了が必要
歯科医師厚生労働大臣指定研修の修了が必要
公認心理師厚生労働大臣指定研修の修了が必要

経過措置: 2015年11月30日までに3年以上、労働者の健康管理業務に従事した経験がある看護師・精神保健福祉士は、研修なしで実施者になれます。

実施者の業務内容

業務内容
調査票の選定57項目版・80項目版等の選定に関与
評価方法の決定ストレスの程度の評価方法を決定
高ストレス者の選定基準決定選定基準の策定に関与
結果の評価・判定回答データから高ストレス者を判定
面接指導の要否判断医師による面接指導が必要かを判断
結果の本人通知実施者から本人へ直接通知
面接指導対象者への勧奨面接指導の申出を勧める

実施者の制限事項

制限理由
人事権を持つ者は不可結果が人事評価に影響することを防ぐため
本人同意なしでの事業者への結果提供不可労働安全衛生法第66条の10第2項

→ 実施者の詳細は「ストレスチェック実施者の要件とは?」をご覧ください。


実施事務従事者の役割とは?人事部員はなれる?

実施事務従事者とは

実施事務従事者は、​実施者の指示のもとで事務作業を行う者です。特別な資格は不要ですが、​人事権を持つ者は就任できません​。

実施事務従事者の業務内容

業務内容
調査票の回収記入済み調査票の回収(内容確認を含む)
データ入力・集計回答データのシステム入力、集計処理
評価点数の算出集計プログラムによる点数算出
結果の出力評価基準に基づく結果出力
結果の封入・通知結果を封筒に入れて本人に通知
未受検者への勧奨受検していない従業員への受検案内
記録の保存結果記録の5年間保存
面接指導対象者への勧奨高ストレス者への面接指導申出の勧奨
集団分析作業集団分析のためのデータ処理

人事部員は実施事務従事者になれるか?

結論: 人事権を持たなければ就任可能

役職就任可否理由
人事部長不可人事権(解雇・昇進・異動の決定権限)を持つ
人事課長不可人事権を持つ
人事部の一般社員可能人事権を持たない
衛生管理者可能人事権を持たない(通常)
総務部の担当者可能人事権を持たない(通常)

人事課に所属しているだけでは除外されません​。重要なのは「解雇・昇進・異動に関する直接の権限を持つ監督的地位にあるかどうか」です。

→ 実施事務従事者の詳細は「実施事務従事者の役割と選任要件」をご覧ください。


面接指導を行う医師の役割とは?

面接指導医師の業務

高ストレス者から面接指導の申出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務がある。

業務内容
勤務状況の確認労働時間、業務内容、休日取得状況
心理的負担の確認ストレスの原因、対処状況
心身の状況の確認自覚症状、既往歴、生活習慣
就業上の措置に関する意見事業者への意見書作成

産業医が面接指導を行うメリット

メリット理由
職場環境を熟知日頃から事業場を巡視している
労働者との関係構築既に信頼関係がある場合が多い
継続的フォロー産業保健活動との連携が容易
具体的な措置提案職場の実情を踏まえた意見が可能

→ 産業医の役割詳細は「産業医とストレスチェック」をご覧ください。


「実施の事務」と「その他の事務」の区別

ストレスチェック制度の事務は、​人事権を持つ者が従事できるかどうかで2種類に分かれる。

実施の事務(人事権を持つ者は従事不可)

個人の健康情報を直接取り扱う業務

業務内容
調査票の回収・内容確認記入内容を確認する作業
データ入力・集計回答データの入力・集計処理
結果の出力・通知評価結果の出力、本人への通知
記録の保存個人結果の保存管理
面接指導の勧奨高ストレス者への個別勧奨

その他の事務(人事権を持つ者も従事可能)

個人の健康情報に直接触れない業務

業務内容
実施計画の策定スケジュール、予算の策定
外部委託先との契約委託先との連絡調整、契約締結
実施日時の周知従業員への実施案内(内容は含まない)
調査票の配布封入状態での配布(内容は見ない)
封入状態での回収・通知内容を把握できない状態での事務
受検率の集計個人を特定しない形での集計

判断基準: 「その業務を通じて、特定の個人の検査結果を知り得るか」で区別できます。知り得る業務は「実施の事務」、知り得ない業務は「その他の事務」です。


情報アクセス権限の整理—誰が何を見られる?

職務と情報の取扱いに関する整理

以下の表は、各立場の者が把握・取得できる情報の範囲を示している(神奈川労働局資料に基づく)。

情報種別受検本人管理監督者実施者実施事務従事者人事労務部門
受検の有無
結果(同意なし)××
結果(同意あり)×
面接申出あり×
面接指導に基づく就業意見
集団分析の結果-

○:把握・取得可(本人の同意なしで把握・取得可) △:就業上の措置実施等に必要な範囲・内容に限って把握・取得可 ×:把握・取得不可 ※:各事業場で検討

: 管理監督者とは、受検労働者の直属の上司等を指す。人事労務部門(人事権者)は結果へのアクセスが制限されており、本人同意があっても実施事務従事者にはなれない。

10人未満の集団分析に関する注意

集団分析を行う場合、個人が特定されるおそれがあるため、以下のルールが設けられている。

集団規模分析の可否条件
10人以上可能特段の条件なし
10人未満原則不可全員の同意がある場合のみ可能

10人未満の集団分析は要注意: 個人が特定されるおそれがあるため、全員の同意がない限り事業者は結果を見てはいけません。

→ 情報アクセスの詳細は「ストレスチェックの個人情報保護」をご覧ください。


守秘義務と罰則—全員が負う責任

守秘義務の対象者

対象者守秘義務根拠法令
実施者あり労働安全衛生法第104条
実施事務従事者あり労働安全衛生法第104条
面接指導医師あり労働安全衛生法第104条
外部委託先の関係者あり労働安全衛生法第104条

罰則規定

違反内容罰則
守秘義務違反6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

上司からの指示でも守秘義務は免除されません​。たとえ経営者や人事部長から「結果を教えろ」と指示されても、本人の同意がない限り結果を伝えることは法令違反です。


記録の保存義務—誰が何年保存する?

保存期間と保存者

記録の種類保存期間保存者(本人同意あり)保存者(本人同意なし)
ストレスチェック結果5年間事業者実施者または実施事務従事者
面接指導結果5年間事業者-
集団分析結果5年間(望ましい)事業者事業者

本人の同意がない場合、事業者は直接結果を保存できませんが、​保存場所の指定やセキュリティ確保等の措置を講じる義務があります。


外部委託する場合の役割分担

外部委託時の体制

役割自社委託先
事業者-
実施者△(共同実施者)
実施事務従事者
面接指導医師△(産業医)

共同実施者を置くメリット

外部委託する場合でも、​事業場の産業医等を「共同実施者」として関与させることが推奨されている。

メリット内容
職場状況の反映事業場の実情を踏まえた判定が可能
面接指導への連携高ストレス者への対応がスムーズ
職場改善への活用集団分析結果を具体的な改善に活かせる

実施体制の構築チェックリスト

自社実施の場合

  • 実施者(医師・保健師等)を選任したか
  • 実施事務従事者を選任したか(人事権を持たない者)
  • 面接指導を行う医師を確保したか(産業医等)
  • 衛生委員会で実施体制を審議したか
  • 社内規程で役割分担を明文化したか
  • 守秘義務について関係者に周知したか

外部委託の場合

  • 委託先に実施者がいることを確認したか
  • 共同実施者(産業医等)を置くか検討したか
  • 委託先の個人情報管理体制を確認したか
  • 面接指導の実施方法(委託先 or 自社産業医)を決めたか
  • 結果の保存方法・保存場所を確認したか

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ミニ用語集

用語意味
実施者ストレスチェックを企画し、結果の評価を行う医師・保健師等の有資格者
実施事務従事者実施者の指示のもとで事務作業を行う者。人事権を持つ者は就任不可
人事権解雇、昇進、異動に関する直接の決定権限
共同実施者外部委託時に、事業場側から参加する実施者(産業医等)
守秘義務業務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務(違反は刑事罰)
実施の事務個人の健康情報を直接取り扱う業務。人事権を持つ者は従事不可

MentalMapで役割分担を明確に管理

MentalMapは、ストレスチェック制度の役割分担を厳格に管理できるクラウドサービスです。

権限分離機能

  • 実施者・実施事務従事者・事業者の権限を明確に分離
  • 人事権を持つ者のアクセスを自動制限
  • 役割に応じた画面表示で誤操作を防止

監査ログ機能

  • 誰がいつ何を閲覧したか全操作履歴を記録
  • 守秘義務の遵守状況を可視化
  • 監査対応のためのエクスポート機能

5年間の記録保存

  • クラウド上で安全に5年間保存
  • 本人同意の有無に応じた保存管理

料金

  • 基本料金0円、ストレスチェック500円/回答
  • 12カ国語対応(追加料金なし)

よくある質問

A. 人事権(解雇・昇進・異動の決定権限)を持たなければ就任可能です。人事部長や人事課長など人事権を持つ監督的地位にある者は不可ですが、人事部の一般社員は就任できます。

A. 実施者は医師・保健師等の有資格者で、結果の評価・高ストレス者の選定を行います。実施事務従事者は資格不要で、実施者の指示のもと調査票の回収・データ入力・結果通知などの事務を担当します。どちらも人事権を持つ者は就任できません。

A. 法的には外部委託のみでも実施可能ですが、事業場の産業医等を「共同実施者」として関与させることが推奨されています。職場の状況を踏まえた判定や、面接指導への連携がスムーズになるためです。

A. 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(労働安全衛生法第119条)。上司や経営者からの指示であっても、本人同意なしに結果を漏らすことは法令違反です。

A. 本人の同意がなければ見ることができません。結果は実施者から本人に直接通知され、事業者への提供には本人の個別同意が必要です。これはストレスチェック制度の根幹をなすルールです。

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