復職後のフォローアップ|再発予防とストレスチェックの活用
復職後のフォローアップは再発予防の要。うつ病の再発率は約60%と高く、管理監督者による継続的な観察、産業保健スタッフによる定期面談、ストレスチェックを活用した客観的なモニタリングが再休職を防ぐ鍵となります。

結論(2行で分かる) 復職後のフォローアップは再発予防の要。うつ病の再発率は約60%と高く、管理監督者による継続的な観察と産業保健スタッフによる定期面談、そしてストレスチェックを活用した客観的なモニタリングが再休職を防ぐ鍵となる。
対象読者: 人事・総務担当者、衛生管理者、管理監督者、産業保健スタッフ
復職後フォローアップの5つの柱
- 管理監督者による日常的な観察(勤怠・業務遂行・態度の変化)
- 産業保健スタッフによる定期面談(復帰後1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)
- 職場復帰支援プランの評価と見直し(就業制限の段階的解除)
- 再発サインの早期発見と対応(睡眠障害、集中力低下、欠勤増加)
- ストレスチェックによる経年モニタリング(客観的なデータで状態を把握)
よくある誤解3つ
- 誤解1: 復職したら通常業務に戻してよい → 実際は段階的な業務負荷の調整が必須
- 誤解2: 復職後は本人任せでよい → 実際は6ヶ月〜1年以上の継続フォローが必要
- 誤解3: 元気そうなら問題ない → 実際は外見では判断できず、定期的なモニタリングが重要
根拠: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」第5ステップ
復職後フォローアップ 早見表
| 時期 | 主なフォローアップ内容 | 担当者 |
|---|---|---|
| 復帰直後〜1週間 | 出勤状況の確認、体調ヒアリング | 管理監督者 |
| 1ヶ月後 | プラン進捗確認、就業制限の見直し | 産業保健スタッフ |
| 3ヶ月後 | 業務負荷の段階的引き上げ検討 | 管理監督者、産業医 |
| 6ヶ月後 | 通常勤務への移行判断 | 産業医、人事 |
| 1年後以降 | ストレスチェックでの経年比較 | 産業保健スタッフ |
第5ステップとは何か?—復職後フォローアップの位置づけ
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援を5つのステップで示しています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 第1ステップ | 病気休業開始及び休業中のケア |
| 第2ステップ | 主治医による職場復帰可能の判断 |
| 第3ステップ | 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成 |
| 第4ステップ | 最終的な職場復帰の決定 |
| 第5ステップ | 職場復帰後のフォローアップ |
第5ステップは、復職してからの継続的な支援を指します。復職はゴールではなくスタートであり、この段階でのフォローアップが再発防止の成否を左右します。
メンタルヘルス不調は、さまざまな原因が重なり合っていることが多いため、万全な支援体制を整えて職場復帰の準備を行っていても、実際に職場復帰をしてみると当初のプランどおりに進まないこともあります。そのため、復職後の経過観察と適宜のプラン見直しが不可欠です。
なぜフォローアップが重要なのか?—再発率60%の現実
うつ病の再発率は約60%
こころの耳(厚生労働省)によると、うつ病の再発率は約60%とされています。さらに、再発を繰り返すとその後の再発率はさらに高くなることが知られています。
| 再発回数 | 再発リスク |
|---|---|
| 初回発症後 | 約60% |
| 2回目以降 | さらに上昇 |
| 3回目以降 | より高リスク |
この高い再発率を踏まえると、復職後のフォローアップを「形だけ」で終わらせることは危険です。継続的かつ計画的なモニタリングが必要となります。
フォローアップ不足がもたらすリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 再休職 | フォローアップ不足で症状が再燃し、再度休職に至る |
| 長期化 | 早期発見・対応の遅れにより、回復に時間がかかる |
| 安全配慮義務違反 | 適切なフォローを怠った場合、法的責任を問われる可能性 |
| 職場全体への影響 | 他の従業員の負担増、モチベーション低下 |
フォローアップの具体的な内容—何をすればよいか?
1. 疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認
復職後は、症状が再燃していないか、新たな問題が発生していないかを継続的に確認します。
確認すべきポイント
- 睡眠は十分に取れているか
- 食欲に変化はないか
- 気分の落ち込みや不安はないか
- 業務への集中力は維持できているか
- 人間関係で困っていることはないか
2. 勤務状況及び業務遂行能力の評価
復職者が業務を適切に遂行できているかを評価します。
| 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 出勤状況 | 遅刻・早退・欠勤の有無、頻度 |
| 業務遂行 | 担当業務の処理状況、ミスの有無 |
| コミュニケーション | 周囲との関係性、報連相の状況 |
| 疲労度 | 業務後の疲労感、休日の過ごし方 |
3. 職場復帰支援プランの実施状況の確認
第3ステップで作成した職場復帰支援プランが予定どおり実施されているかを確認します。
- 就業制限(時間外労働の禁止等)は守られているか
- 業務量は適切に調整されているか
- 段階的な負荷増加は計画どおりに進んでいるか
4. 治療状況の確認
主治医への通院や服薬が継続されているかを確認します。
復職後に「元気になった」と感じて自己判断で通院や服薬を中止するケースがありますが、これは再発リスクを高める大きな要因です。治療継続の重要性を本人と共有し、必要に応じて主治医と連携を取りましょう。
5. 職場復帰支援プランの評価と見直し
当初のプランと実際の状況にズレが生じた場合は、プランを見直します。
見直しが必要な場合の例
- 予想より回復が順調で、業務負荷を早めに上げられそう
- 特定の業務でストレスを感じており、業務内容の調整が必要
- 勤務時間の延長が負担になっており、ペースを緩める必要がある
6. 職場環境等の改善等
休職の原因となった職場環境要因がある場合は、再発防止のために改善を行います。
| 要因 | 改善例 |
|---|---|
| 業務量過多 | 業務分担の見直し、人員配置の調整 |
| 人間関係 | 配置転換、コミュニケーション改善 |
| 長時間労働 | 業務効率化、残業削減 |
| 役割の曖昧さ | 業務範囲の明確化、期待値の共有 |
7. 管理監督者、同僚等への配慮等
復職者だけでなく、周囲の従業員への配慮も必要です。
- 復職者の業務を代行していた同僚の負担軽減
- 管理監督者のストレスケア
- 職場全体への適切な情報共有(プライバシーに配慮)
管理監督者の役割とは?—日常的な観察と支援
管理監督者は、復職者の最も身近な存在として、日常的な観察と支援の中心的役割を担います。
自然な態度で迎える
復職初日から、根掘り葉掘り質問したり、過度に気を遣いすぎたりすることは避けます。
挨拶など自然な態度で接し、「困ったことがあればいつでも相談してね」と伝える程度にとどめましょう。普段どおりの態度が、復職者にとって最も安心できる環境です。
同僚への配慮事項の共有
管理監督者は、同僚に対して復職者の勤務上の配慮事項を明確に伝え、職場全体でスムーズに働けるよう配慮します。
伝えるべき内容
- 当面の業務範囲と制限事項
- 時間外労働や出張の制限
- 体調確認の声かけは管理監督者が行うこと
- 腫れ物に触るような態度は不要であること
定期的な面談の実施
復職後は、管理監督者が定期的に面談の機会を設けます。
| 時期 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 復帰後1ヶ月 | 週1回 | 業務負荷、体調、困りごとの確認 |
| 復帰後3ヶ月 | 隔週 | 業務遂行状況、段階的負荷増加の検討 |
| 復帰後6ヶ月以降 | 月1回 | 通常業務への移行状況、今後の見通し |
変化の早期発見
管理監督者は、復職者の「いつもと違う」変化に注意を払います。
再発のサイン—何に注意すべきか?
再発のサインを早期に発見し、適切に対応することが、再休職を防ぐ最も重要なポイントです。
勤怠面のサイン
| サイン | 具体例 |
|---|---|
| 遅刻の増加 | 朝起きられない、出社に時間がかかる |
| 欠勤の増加 | 体調不良を理由とした欠勤が増える |
| 早退 | 午後になると辛くなり早退する |
| 月曜日の休み | 週明けに欠勤することが増える |
業務面のサイン
| サイン | 具体例 |
|---|---|
| ミスの増加 | 以前はしなかったようなミスが増える |
| 効率の低下 | 同じ業務に時間がかかるようになる |
| 報連相の減少 | 報告・連絡・相談が減る |
| 締め切り遅れ | 期限に間に合わないことが増える |
態度・行動面のサイン
| サイン | 具体例 |
|---|---|
| 元気がない | 挨拶の声が小さい、表情が暗い |
| 口数が減る | 会話が減り、一人でいることが増える |
| イライラ | 些細なことで怒りっぽくなる |
| 落ち着きがない | そわそわしている、集中できない |
身体面のサイン
| サイン | 具体例 |
|---|---|
| 疲労感 | 常にだるそう、疲れが取れない |
| 顔色が悪い | 血色が悪い、やつれた印象 |
| 体重変化 | 急激な増減がある |
| 睡眠障害 | 眠れない、逆に寝すぎる |
これらのサインに気づいた場合は、本人に声をかけ、必要に応じて産業保健スタッフや人事部門と連携して対応します。早期発見・早期対応が再発予防の鍵です。
ストレスチェックでどうモニタリングする?
年1回のストレスチェックは、復職者の状態を客観的に把握する有効な手段です。
ストレスチェック活用のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 客観的なデータ | 主観に頼らず、数値で状態を把握できる |
| 経年比較 | 復職前後や年度ごとの変化を追跡できる |
| 早期発見 | 再度高ストレス状態になっていれば早期介入 |
| セルフケア促進 | 本人が自身の状態を振り返るきっかけになる |
復職者のストレスチェック結果の見方
復職者のストレスチェック結果を見る際は、以下のポイントに注目します。
経年変化の確認
- 休職前と比べて改善しているか
- 復職後、ストレス状態が悪化していないか
- 高ストレス判定から外れたか、維持されているか
注目すべき尺度
| 尺度 | 注目ポイント |
|---|---|
| 心身のストレス反応 | 疲労感、不安感、抑うつ感の程度 |
| 仕事の量的負担 | 業務量が負担になっていないか |
| 上司・同僚のサポート | 職場のサポートを感じられているか |
| 仕事のコントロール | 自分のペースで仕事ができているか |
高ストレス判定時の対応
復職後のストレスチェックで再度高ストレスと判定された場合は、以下の対応を検討します。
- 産業医面談の勧奨
- 職場復帰支援プランの再評価
- 就業制限の見直し(緩和ペースの調整)
- 職場環境要因の再確認
- 主治医との連携強化
MentalMapの経年比較機能をどう活用する?
MentalMapでは、復職者を含む全従業員のストレス状態を継続的に把握し、経年変化を可視化できます。
経年比較で分かること
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 個人の経年変化 | 年度ごとのストレス状態の推移を確認 |
| 尺度別の変化 | どの尺度が改善・悪化したかを把握 |
| 部署別の傾向 | 職場環境改善の効果を検証 |
| 高ストレス者の追跡 | 過去に高ストレスだった従業員のその後の変化を確認 |
復職者フォローへの活用例
例: 復職1年後のストレスチェック結果を確認
復職者Aさんの場合:
- 休職前(2024年度): 高ストレス判定
- 復職後(2025年度): 中程度のストレス(高ストレス基準を下回る)
- 変化: 心身のストレス反応が改善、上司のサポート尺度も向上
このように、数値で改善を確認できることで、フォローアップの方針を適切に判断できます。
MentalMapの特徴
- 年1回のストレスチェックで経年変化を自動で可視化
- 部署別・属性別の集団分析で職場環境の課題を特定
- 高ストレス者の判定と面接指導管理をワンストップで対応
- 12言語対応で外国人従業員も利用可能
フォローアップ体制の整備—誰が何を担当するか
役割分担の明確化
| 担当者 | 役割 |
|---|---|
| 管理監督者 | 日常的な観察、業務調整、定期面談、変化の早期発見 |
| 産業医 | 定期面談、就業判断、主治医との連携、医学的アドバイス |
| 保健師・衛生管理者 | フォローアップ面談、プラン進捗管理、相談対応 |
| 人事労務担当者 | 就業制限の管理、制度運用、労務管理 |
| 主治医 | 治療継続、病状の評価、職場への情報提供(同意のもと) |
連携のポイント
定期的な情報共有
- 月1回程度、関係者間で復職者の状況を共有する場を設ける
- 個人情報の取り扱いに注意し、必要な範囲で情報を共有
主治医との連携
- 本人の同意を得た上で、主治医に職場での様子を伝える
- 就業上の配慮について、主治医の意見を確認する
ミニ用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 第5ステップ | 厚労省の職場復帰支援の手引きにおける「職場復帰後のフォローアップ」段階 |
| 再燃 | 一度改善した症状が再び悪化すること |
| 再発 | 回復後、一定期間を経て再度発症すること |
| 職場復帰支援プラン | 個々の労働者に対する具体的な復職計画 |
| 就業制限 | 時間外労働の禁止、業務内容の制限など |
| 経年比較 | 年度ごとのデータを比較し、変化を把握すること |
| セルフケア | 労働者自身がストレスに気づき、対処すること |
まとめ—復職後フォローアップのポイント
押さえるべきポイント
- 復職はゴールではなくスタート—継続的なフォローアップが必須
- うつ病の再発率は約60%—長期的な視点でのサポートが必要
- 管理監督者は自然な態度で—日常的な観察と定期面談が役割
- 再発のサインを見逃さない—勤怠・業務・態度・身体面の変化に注目
- ストレスチェックで客観的にモニタリング—経年比較で変化を把握
- プランは適宜見直し—状況に応じて柔軟に調整
復職後のフォローアップは、本人・管理監督者・産業保健スタッフ・人事が連携して取り組むことが重要です。再発を防ぎ、安定した職場復帰を支援するために、組織全体でフォローアップ体制を整備しましょう。
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MentalMapは、ストレスチェックの実施から結果分析、経年比較まで一貫してサポートするクラウドサービスです。復職者を含む全従業員のストレス状態を継続的に把握し、再休職防止に役立てることができます。
参考文献・出典
よくある質問
A. 明確な期限はありませんが、少なくとも6ヶ月〜1年程度は継続的なフォローアップが推奨されます。うつ病の再発率は約60%と高いため、長期的な視点でのサポートが必要です。
A. 勤怠面(遅刻・欠勤の増加)、業務面(ミスの増加、効率低下)、態度面(元気がない、口数が減る)、身体面(疲労感、睡眠障害)などがあります。これらの変化に気づいたら早めに対応しましょう。
A. 自然な態度で接することが基本です。根掘り葉掘り質問したり、腫れ物に触るような態度は避け、挨拶など普段どおりの対応を心がけましょう。定期的な面談の場で状況を確認します。
A. 一般的には復職後3〜6ヶ月程度かけて段階的に通常業務に戻していきます。回復のペースは個人差が大きいため、本人の状態や産業医の意見を踏まえて柔軟に調整することが重要です。
A. はい、年1回のストレスチェックは復職者の状態を客観的に把握する有効な手段です。経年比較により、休職前と復職後の変化や、年度ごとの推移を確認し、再発防止に役立てることができます。